オーケストラ楽器のなかでダブルリードで音楽演奏するサリュソフォーンをイメージできる人はかなりのオタクとみてまちがいないです。サリュソフォーンはとても古い楽器で、近代に制作されましたが、現代ではホトンと使われることもないような古い楽器です。これは木管楽器に相当しており、姿を見ると金管楽器のようにも見えてきます。
起源と歴史
サリュソフォーン(sarrusophone)は1800年代にフランスで誕生したと言われている楽器です。吹奏楽で金属製のリードのサックスで、ベル同様に現在は同じような楽器も登場し、やや存在感は薄れています。演奏会でサリュソフォンはよく使われています。
1. 発明の経緯
- サリュソフォーンは**19世紀中頃(1856年頃)**に発明されました。
- 発明者はフランスの楽器製作者 ピエール=ルイ・ゴートロ(Pierre‑Louis Gautrot)。
- 名前は、フランスの軍楽隊長 ピエール=オギュスト・サリュス(Pierre-Auguste Sarrus) に由来。
- サリュスは軍隊の吹奏楽での低音楽器の必要性を提案したとされる。
2. 目的
- 当時の軍楽隊や屋外吹奏楽では、オーボエやファゴットの音が屋外で十分に響かず、耐久性や音量のある低音楽器が求められた。
- そこで金属製の管にダブルリードを組み合わせた新しい低音管楽器として設計された。
- ファゴットの代替として、アルト・テナー・バス・コントラバスなど複数サイズが作られ、オーケストラや軍楽隊の屋外演奏に対応。
3. 19〜20世紀の利用
- 19世紀末〜20世紀初頭には、ヨーロッパの軍楽隊・吹奏楽・オーケストラで使用された。
- 作曲家もサリュソフォーンを意識した作品を作曲:
- ジュール・マスネ
- モーリス・ラヴェル
- ポール・デュカス
- 軍楽隊での使用は音量と耐久性の面で有利だった。
4. 衰退と現代
- 20世紀中頃以降、以下の理由で使用が減少:
- ファゴットやサックスなど、扱いやすい楽器の普及
- 金属製リードの管理や音色の制約
- 現在では非常に珍しい楽器となり、愛好家や特定の作品演奏用として限定的に生産・使用されている。
- 現存するメーカー:**Orsi(イタリア)、エッペルスハイム(ドイツ)**など。
特徴と構造、サイズ
1. 特徴
- 楽器の種類:金属製のダブルリード管楽器
- 音色:
- ファゴットに似た深い音色
- 金属管による響きでシャープで明瞭な音
- 屋外や吹奏楽で存在感のある低音を発揮
- 音域:アルト〜コントラバスまで複数のサイズがあり、低音域を担当
2. 構造
- 管材:真鍮またはニッケルメッキの金属製
- リード:ファゴットと同じダブルリード(二重リード)
- キー配置:ファゴットに似たキーシステムだが、管の形状が金属製で直線的・曲管型などがある
- ベル:吹き口からベルまでの円錐管
- 持ち方:重量があるため、肩ベルトやスタンドで支える場合もある
3. サイズと種類
| 種類 | 調 | 管の長さ(目安) | 役割・音域 |
|---|---|---|---|
| ソプラニーノ | E♭ | 約1.0m | 高音域、珍しい |
| ソプラノ | B♭ | 約1.2m | 高音域、ファゴットより明るい |
| アルト | E♭ | 約1.5m | 中音域、オーケストラで使用 |
| テナー | B♭ | 約1.8m | 中低音域、吹奏楽で使用 |
| バリトン | E♭ | 約2.0m | 低音域、軍楽隊で使用 |
| バス | B♭ | 約2.5m | 低音域、屋外演奏向き |
| コントラバス | E♭ / C / B♭ | 約3.0m | 非常に低音域、珍しい |
種類についてバリエーション
では、サリュソフォーン(Sarrusophone)の種類・バリエーションについて整理します。
1. 音域・サイズによる種類
サリュソフォーンは、演奏される音域や管の長さによって複数のサイズが存在します。
| 種類 | 調 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| ソプラニーノ・サリュソフォーン | E♭ | 最も高音域。珍しく、演奏例は少ない。 |
| ソプラノ・サリュソフォーン | B♭ | 高音域。オーケストラや吹奏楽でファゴットの代替として使用。 |
| アルト・サリュソフォーン | E♭ | 中音域。軍楽隊や吹奏楽で広く使用。 |
| テナー・サリュソフォーン | B♭ | 中低音域。吹奏楽でバランスを補う役割。 |
| バリトン・サリュソフォーン | E♭ | 低音域。屋外演奏に適する。 |
| バス・サリュソフォーン | B♭ | 低音域。軍楽隊や屋外吹奏楽で使用。 |
| コントラバス・サリュソフォーン | E♭ / C / B♭ | 非常に低音域。稀少で演奏例も少ない。 |
2. 素材・仕上げによるバリエーション
- 真鍮製:一般的。丈夫で音量が出やすい。
- ニッケルメッキ/銀メッキ:防錆や見た目の美しさを重視。
- 金メッキ(高級モデル):特注品やコレクター向け。
3. キーシステム・形状の違い
- キー配置:ファゴットに近いが、製造メーカーにより微妙に異なる。
- 管の形状:直線型、曲管型、ベルの角度や長さが異なるモデルも存在。
- 演奏補助:大型モデル(バス・コントラバス)は肩掛けベルトやスタンドに対応。
4. 用途によるバリエーション
- 軍楽隊・吹奏楽用:耐久性・音量重視。
- オーケストラ用:音色の柔らかさや演奏性重視。
- 愛好家・コレクション用:特注モデルや金メッキモデルなど。

奏法、難易度
では、サリュソフォーン(Sarrusophone)の奏法と難易度について整理します。
1. 基本奏法
- リード奏法
- サリュソフォーンは**ダブルリード(二重リード)**を使用。
- ファゴットと同様に、唇でリードを挟み、息の圧力で振動させて音を出す。
- 指使い
- キーシステムはファゴットに似ているため、ファゴット経験者は比較的習得しやすい。
- 指の配置やカバーの操作は金属管特有の高さや角度に慣れる必要がある。
- 音程・音色の調整
- リードの吹き込み方や息の圧力で微妙に音色を変える。
- 金属管なので音がシャープで明瞭になりやすく、柔らかい音色は技術が必要。
2. 応用奏法
- スタッカートやアクセント
- 軍楽隊や吹奏楽では強弱やアクセントを明確に出す必要がある。
- 高音・低音の切り替え
- ソプラニーノ〜コントラバスまで幅広い音域を持つため、音域ごとに呼吸や指使いを工夫。
- 装飾音・トリル
- ファゴット同様、複雑な装飾音やトリルを入れることも可能だが、金属管の反応が速く、正確な指使いと息のコントロールが必要。
3. 難易度
初心者向け
- ダブルリード管楽器なので、息の使い方やリード操作が慣れるまで難しい
- ファゴットやオーボエ経験者であれば比較的取り組みやすい
中級者向け
- 中低音域のバスやテナーサイズを扱う場合、管の重量と長さに慣れる必要がある
- 音程や指使いを正確にする練習が必要
上級者向け
- 高度な演奏では息の圧力・口の形・指使い・リズム表現をすべてコントロールする必要がある
- 楽器の珍しさや入手困難さから、演奏機会も限られるため熟練者向き
有名な奏者
では、サリュソフォーン(Sarrusophone)の有名な奏者や使用例について整理します。
1. 歴史的な奏者
サリュソフォーンは珍しい楽器で、主に19〜20世紀初頭の軍楽隊やオーケストラで演奏されていました。
そのため、個人名よりも使用されていた楽団・編成が注目されます。
- フランス軍楽隊
- サリュス(Sarrus)の発案により、軍楽隊の低音楽器として普及
- 屋外での行進や演奏でファゴットの代替として使用
- 作曲家による使用例
- ジュール・マスネ (Jules Massenet):サリュソフォーンをオーケストラ作品で採用
- モーリス・ラヴェル (Maurice Ravel):オーケストラの低音表現として一部の作品で使用
- ポール・デュカス (Paul Dukas):珍しい編成における低音管楽器として採用
2. 現代での奏者・使用例
- 現代では非常に希少な楽器のため、専門の愛好家や吹奏楽・オーケストラの客演で使用されることが多い。
- 主にフランスやイタリア、ドイツの管楽器専門奏者が演奏。
- 具体的な個人名は少ないが、Orsi(イタリア)やエッペルスハイム(ドイツ)の製造楽器を所有する奏者が演奏することが多い。

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
サリュソフォーン(Sarrusophone/サルスフォーン)の 新品・中古の製品ラインナップと価格相場について整理します。ただし、非常に希少楽器のため、正確な在庫数や価格は流動的で、一般的な管楽器店ではまず見つからないことが多い点を注意してください。
中古・流通例と相場(実際の取り引き)
以下は、オークションやコレクター市場などで確認できたサリュソフォーンの中古例です。
| モデル | 状態 | 価格・出品例 |
|---|---|---|
| Contrabass Sarrusophone, Evette & Schaeffer (c.1920) | 中古 / アンティーク | 推定入札価格:US$800〜1,200 のオークション記録あり。 |
| Soprano Sarrusophone, Couesnon & Cie (c.1910) | 中古 | オークション推定価格:US$600〜800。 |
| Soprano Rothphone(サリュソフォーン・バリエーション) | 中古 | 約 US$6,000〜8,000(Quinn’s オークション)という記録あり。 |
新品ラインナップと入手難易度・相場感
- 現代で 新規製造されているサリュソフォーン は非常に少ない。
- 主なメーカーは Orsi(イタリア) や **エッペルスハイム(ドイツ)**など、限定受注生産が多いため、定価の公表が少ない。
- そのため 新品楽器の一般的な定価相場を示す公的なカタログやショップ掲載例は非常に限られていて、明確な「定価帯」は確立しにくい。
相場のまとめ(目安)
- 中古(アンティーク/ヴィンテージ):数百ドル〜数千ドル。例によっては非常に低め入手の可能性もあるが、状態・メーカー・年代で大きく変動。
- 新品(受注生産モデル):限定生産が多いため、価格は要問い合わせ。非常に高価になる可能性がある(コレクター向け)。
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