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ガンバン : 民族楽器の特徴、価格、歴史について最新版を解説

Instrument

ガンバンは共鳴箱上にチーク材や竹の音板を並べた旋律打楽器でインドネシアの伝統楽器として知られています。ガムランで演奏される木琴です。ジャワ、バリ島においてよく行われるガムラン音楽で使われます。ガムランは東南アジアでよく知られている楽器であることから、この楽器を知っている人も少なくありません。近年ではインドネシアの伝統音楽は広く伝播してきており、世界に知り渡ってきています。

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起源と歴史

インドネシアでこの楽器は生まれました。

■ 1. ガンバンの起源

ガンバンは インドネシアのジャワ島・バリ島を中心としたガムラン(Gamelan)音楽に属する、非常に古い打楽器です。

  • 原型は 木琴(xylophone)系の打楽器
  • 南アジア~東南アジア一帯に古来存在した「竹・木の鍵盤楽器」から発展
  • ジャワの宮廷文化(9世紀以前)に遡る可能性が高い

ガムラン楽器の多くがヒンドゥー=仏教王朝時代(古マタラム王国など)に成立しており、ガンバンもその流れに含まれます。


■ 2. 文献に現れる最古のガンバン

ガンバンと同種の木製鍵盤打楽器は、13〜15世紀頃の彫刻・レリーフ(東ジャワの寺院遺跡など)に描かれており、これが最古級の記録とされます。

  • カンダシュリ寺院(Candi Kendalisodo ほか)
    → 木琴型の鍵盤楽器が演奏される場面が彫刻されている
  • マジャパヒト王国(1293–1527)時代の宮廷音楽
    → ガムランの前身が確立し、鍵盤楽器が儀礼に使用された

このころにはすでに、ガンバンのような「木の板を並べて叩く楽器」が儀式・宮廷音楽の一部となっていました。


■ 3. ガムラン音楽の中での進化

ガンバンは、ガムランにおいて 重要な旋律装飾(オルネメント)担当楽器として発展します。

● ジャワ・ガムラン(中央ジャワ/西ジャワ)

  • 比較的落ち着いた表現において、ガンバンが細かい装飾音を連続で奏でる
  • 金属鍵盤(ジェンダー・スレントゥム)と対照的な「木の暖かい音色」が特徴

● バリ・ガムラン

  • ガンバンは「ガンバン・ガンクル(儀礼楽器)」として神聖な場で使用
  • 特に 葬送・宗教儀礼での重要性が高い
  • 技術的にはより速い動きが要求されることが多い

■ 4. 教育・宗教・宮廷での役割

● 宮廷文化におけるガンバン

ジャワのスルタン宮殿(クラトン)では、

  • 大型ガムランセットの中に必ずガンバンが含まれる
  • 花や儀礼の場で演奏され、儀式音楽として定着

● 宗教儀礼での役割

バリ島ではガンバンは特に「神聖な楽器」とみなされ、

  • 寺院の祝祭
  • 神降ろしの儀礼
  • 葬送儀式
  • 宗教的儀式の舞踊の伴奏

などに使われ、精神性が強い楽器とされました。


■ 5. 近代〜現代の歴史

● 20世紀前半

  • 民族音楽学者(クーリアン、コルン、フードなど)がガンバンを体系的に記録
  • 欧州の研究者によって楽器分類学で「木琴の東南アジア系統」として紹介される

● 20世紀後半〜現在

  • 世界中の音楽大学でガムランが教えられるようになり、ガンバンも教育の一部となる
  • 現代音楽・民族楽器アンサンブルで使用される機会が増加
  • インドネシア国内でも文化遺産として保存活動が進む

特徴と構造、サイズ

■ 1. 楽器としての特徴

ガンバンは、ガムラン音楽において木製の鍵盤を並べて叩く木琴系鍵盤打楽器です。

  • 素材は木(または竹/まれに青銅)
  • 2本のマレットを使って両手で演奏
  • 細かい装飾旋律を高速で演奏する役割
  • 音色は「乾いた」「軽やかな」「暖かい」トーン
  • ガムランの金属楽器(ゴング・ジェンダーなど)に対して、柔らかな響きで空間を埋める色彩的な存在

ジャワ・ガムランのアンサンブルでは欠かせない楽器のひとつです。

■ 2. ガンバンの構造

ガンバンは以下の要素で構成されます。

● (1) 鍵盤(Keys / Wilah)

  • 一般に 16〜25枚ほどの木製バーで構成
  • 1枚ずつ独立しており、紐やピンで枠に載せる
  • 音階は **スレンドロ(5音階)**または ペロッグ(7音階)
  • 木材の種類:
    • ジャワ産 ジャティ(Teak / チーク)
    • ジャックフルーツ(Nangka)
    • ローズウッド系 など
  • 厚みと長さで音程を調整する(柔らかく温かい音)

● (2) 共鳴箱(Resonator Box)

  • 鍵盤の下には 長い木製の箱型共鳴体が作られる
  • 各鍵盤ごとに独立した共鳴室を持たず、
    → 1つの箱で全体を響かせる構造(木琴に近い)

この共鳴箱がガンバン特有の「明るく乾いた音色」を生む。


● (3) マレット(Mallet / Bandhil)

  • 2本1組で演奏する
  • 形状は丸い円盤型のヘッドを持つ
  • ヘッド素材:角(バッファロー角)、木、ココナッツ殻など
  • 柄の長さは20〜30cmほど
  • 素材や硬さで音色が変わる

→ ガンバンはバチの弾力性によって速い「転がし演奏」が可能。

■ 3. サイズ(典型的な寸法)

ガンバンは、地域(ジャワ/バリ)や工房によって差がありますが、一般的には以下のようなサイズです。

部位標準サイズの例
全長約 90〜120 cm
幅(奥行き)約 40〜60 cm
高さ約 30〜50 cm
鍵盤の長さ20〜40 cm
鍵盤の枚数16〜25枚

大型のものは「祭礼用」や「寺院用」として、より長い(〜150cm級)ものがあります。

種類についてバリエーション

以下に、ガンバン(Gambang)の種類とバリエーションを体系的にまとめます。
素材・地域・用途によってさまざまなバリエーションが存在します。

1. 素材による分類

● ガンバン・カユ(Gambang Kayu)

  • 木製鍵盤タイプ
  • 現代でも最も一般的
  • 音色:柔らかく暖かい、乾いた響き
  • 主に ジャワ島・バリ島の宮廷・寺院音楽で使用
  • 材質:ジャティ(チーク)、ナンカ(ジャックフルーツ)、ローズウッドなど

● ガンバン・ガンサ(Gambang Gangsa)

  • 青銅製鍵盤タイプ
  • 音色:金属的で明るい響き
  • 歴史的には古い時代に存在
  • 現代ではあまり使われず、民俗資料や博物館に展示されることが多い

● ガンバン・竹製

  • 少数派
  • 材料は竹、または細長い木の棒
  • 民俗音楽や村落レベルのガムランで使用
  • 音は軽快で素朴、装飾的な旋律に向く

2. 地域・文化圏によるバリエーション

● ジャワ式ガンバン

  • 木製鍵盤(Gambang Kayu)が標準
  • 鍵盤数:16〜21枚
  • 音階:スレンドロ / ペロッグ
  • 用途:宮廷音楽(クラトン)、式典
  • 音色:落ち着きがあり、他のガムラン楽器と調和

● バリ式ガンバン

  • 木製鍵盤(Gambang Kayu)
  • 鍵盤数:18〜25枚
  • 外観:彫刻や彩色など装飾が豪華
  • 用途:寺院儀礼、葬送、宗教祭礼
  • 音色:明るく鋭い、演奏速度が速め

● 民俗・地方型

  • 小型、鍵盤数が少なめ(12〜16枚)
  • 材料は竹や軽量木材
  • 村祭りや民俗舞踊で使われる
  • 音色は素朴で装飾的、演奏技術の自由度が高い

3. 用途によるバリエーション

用途特徴鍵盤数音色
宮廷・クラトン儀礼的・正確な旋律16〜21落ち着いた暖かい音
寺院・祭礼彫刻・装飾が豪華18〜25明るく華やか
民俗・教育小型・軽量12〜16素朴で軽快、装飾的

ガンバンの音色

ガンバンは主にインドネシアの伝統音楽で演奏されることが多いです。

奏法、難易度

以下に、ガンバン(Gambang)の奏法と難易度を体系的にまとめます。
ジャワ式・バリ式・民俗型それぞれの特徴も含めています。

1. 基本的な奏法

● マレット(バチ)で演奏

  • 両手に1本ずつマレットを持って演奏
  • 打面:鍵盤の上を直接叩く
  • バチの素材(角・木・ゴムなど)で音色を変化させる
  • 2本のマレットを交互に動かして高速で旋律や装飾音を刻むことが可能

● 音の出し方

  • 鍵盤をしっかり叩くと明瞭音
  • 軽く触れると弱音・装飾音
  • 強弱・速さを調節して旋律を表現

2. ジャワ式の奏法

  • **旋律装飾(Cengkok)**が中心
  • 速度は中庸(ゆったり~中速)
  • 基本パターン:
    • 単音の高速打鍵
    • 連続パターンで旋律を補強
  • 難易度:★★★☆☆
    • マレット操作は単純だが、正確なタイミングと装飾音の表現が必要

3. バリ式の奏法

  • 高速で複雑な装飾が多い
  • 打鍵パターンが複雑で左右交互に連打
  • より速いテンポで旋律を飾る
  • 難易度:★★★★☆
    • 高速演奏の持続力
    • 複雑な装飾パターンの正確な再現
    • 宗教儀礼では演奏の正確性が重要

4. 民俗・地方型の奏法

  • 村祭り・舞踊伴奏向け
  • 鍵盤数が少ないので、シンプルな旋律やリズム補助
  • 難易度:★★☆☆☆
    • 技術は比較的容易
    • 音数や装飾が少ないので初心者でも演奏可能

5. 特殊奏法

● 連打・転がし(Roll / Tremolo)

  • 片手または両手で連続打鍵
  • ジャワ:装飾的に旋律を補う
  • バリ:高速で音の粒を密にする
  • 難易度:★★★〜★★★★☆(速度による)

● 強弱表現(Dynamics)

  • マレットの強弱で表情を付ける
  • 旋律の起伏や装飾音の強弱を調整

● 複雑な装飾音(Ornament)

  • 旋律に対して短い付加音を連続させる
  • 高度な演奏では**テンポの速い「トリル」や「装飾音列」**を入れる

6. 総合難易度

種類難易度コメント
ジャワ式★★★☆☆中速・旋律装飾が中心。タイミングと表現力が重要
バリ式★★★★☆高速・複雑な装飾多数。持久力と正確性が求められる
民俗型★★☆☆☆鍵盤が少なく単純。初心者でも入りやすい

有名な奏者

以下に、ガンバン(Gambang)の有名奏者をまとめます。

1. ジャワ式ガンバン(宮廷音楽系)

● Ki Suparman(キ・スパルマン)

  • 中央ジャワ(ソロ)クラトンのガムラン奏者
  • ガンバンの旋律装飾技術が極めて高い
  • 宮廷儀礼・舞踊伴奏の第一人者

● Rahayu Supanggah(ラハユ・スパンガー)

  • ジャワ音楽の作曲家・演奏家
  • ガンバンだけでなくガムラン全体の旋律設計に関与
  • 国際的な音楽祭でも演奏

2. バリ式ガンバン(儀礼・祭礼系)

● I Nyoman Suardana(イ・ニョマン・スアルダナ)

  • バリ島伝統ガムランの第一人者
  • 寺院儀礼・葬送儀礼でのガンバン演奏が有名
  • 高速装飾音と正確な打鍵で知られる

● Made Subandi(マデ・スバンディ)

  • バリ・ガムラン楽器教育の指導者
  • 高度な装飾旋律と複雑な演奏パターンを現代に継承

3. 民俗・教育系(国内外)

● Suwito / Suprapto

  • ジャワ/バリ両方でガンバン演奏指導
  • 現代の音楽大学でガムラン教育に携わる

● インターナショナル・ガムラン奏者

  • ヨーロッパ・北米の民族音楽研究者や教育者がガンバンを演奏
  • カリフォルニア大学バークレー校のガムランプログラムなどで紹介される

新品と中古の製品ラインナップと価格相場

ガンバン(Gambang)の 新品/中古の製品ラインナップと価格相場 について、現時点で公開されている情報をまとめます。ただし、ガンバンは非常に伝統楽器かつ地域性の強い楽器なので、流通は限定的であり「新品・中古問わずオンラインでの選択肢」が少ないことを前提にしてください。

1. 実機(本物)のガンバン:伝統楽器としての新品・オーダーモデル

以下は、インドネシアなど現地工房またはガムラン専門店が扱っている「正統派・伝統的な木製ガンバン」の価格例。

商品価格例・相場コメント
Gambang Jawa(Ethnic INA)Rp 1,950,000(約日本円で ¥18万前後/為替により変動)木製ガンバン + マレットのセット。プレオーダー(受注生産)が多い。サイズも記載あり。
Gambang(Mekar Bhuana Sourcing)Rp 4,543,000(約日本円で ¥42万前後)高級仕様または大型安定モデル。材質・製作技術によって価格が高め。
Gambang(Gamelan Kromong セット)Rp 15,000,000(約日本円で ¥140万以上)Gambangを含む「Gambang Kromong(ガムラン+中華要素)」の一式。楽器のセット価格。

2. ガンバン(または類似/ミニ型)の実用・練習用モデル

  • ALAT MUSIK GAMBANG(ガンバン/ガムラン楽器)(Blibli)
    Rp 3,000,000(ガンバン 20鍵/ウィラハ数が多めの木製モデル)
  • Gambang 8音(ドレミ8音)(Indo4ward)
    → 8鍵のより簡易・教育用途向けガンバン。価格・在庫は変動あり。
  • Gambang Xylophone(小型・おもちゃ/教育用)(Blibli)
    →価格帯は Rp 17,500 ~ Rp 549,000 と幅がある(かなり簡易~中品質)

3. 中古・ヴィンテージガンバン

  • Gambang Gangsa(ヴィンテージ・青銅鍵盤)
    → 1stDibsで「Vintage Indonesian Gambang Gangsa Wood and Bronze」モデルが US$950(約 ¥13万〜14万円)で販売されていた。
  • Suhirdjan(ガムランビルダー)中古価格参考
    → Suhirdjanが価格リストを公開しており、ガンバン(木製)の場合「210 / 235ドル(装飾ありなし)」と見積もられている。
    • ただし、この価格は「単楽器(鍵盤+共鳴体)」としての製造見積もり/新規製作に近い参考値で、中古流通品とは完全に一致しない可能性がある。

4. 補足:デジタル/サンプリングでの「ガンバン」

  • Impact Soundworks – “Javanese Gamelan”(ソフト音源)
    → ガンバンを含むガムラン音色ライブラリ。 US$99(サンプル音源)
    • 実体楽器ではなく、音楽制作用、作曲用途向け。

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