ヤトガ : 民族楽器の特徴、価格、歴史について最新版を解説

ヤトガと言う楽器はあまり知らない人が多いでしょう。それもそのはずで、この楽器はモンゴルの民族楽器であり、モリンホールに比べれば明らかにマイナーな楽器の一つになります。ヤトガはモンゴル民族の間ではよく知られている楽器で、主にモンゴル国や中国内モンゴル自治区で演奏される楽器になっています。

起源と歴史

モンゴルでこの楽器は生まれました。概要は伝統の調弦楽器で活動している方は多いです。

1. 起源

ヤトガは、モンゴルの伝統的な**弦楽器（筝型／チター属）**で、ペグ（糸巻き）や可動橋によって調弦する仕組みを持っています。
中国の古琴、日本の箏（こと／筝）、朝鮮の伽倻琴（gayageum）と類縁があるとされ、シルクロードを通じた東アジアの弦楽器文化の影響を受けた楽器です。
歴史的には、モンゴル帝国の時代（13世紀前後）にはすでに使用されていた記録があります。宮廷音楽や儀式音楽で用いられ、部族間の音楽文化の伝承に重要な役割を果たしました。

2. 発展

中世～近世
- 王族や宮廷音楽の楽器として整備され、弦数やサイズにバリエーションが生まれる。
- ペンタトニック音階に合わせて調弦する方式が確立。
近現代
- 20世紀以降、モンゴルの民俗音楽の復興や保存運動の中で、ヤトガの演奏法や楽譜体系が整理される。
- 21弦ヤトガ（標準型）が現代の演奏で主流になり、民族音楽だけでなく現代作曲やアンサンブルにも使用される。

特徴と構造、サイズ

1. 特徴

音色：柔らかく透明感のある響き。ペンタトニック音階に適した明瞭な音色。
用途：民俗音楽、宮廷音楽、現代作曲作品まで幅広く使用される。
奏法の自由度：右手で弦をはじき、左手で弦を押さえて音程や装飾音を変えることで多彩な表現が可能。
文化的意味：モンゴル伝統音楽の象徴であり、儀式・舞踊・歌の伴奏に重要。

2. 構造

胴体：細長い木製の箱型（ボックス・ジター型）。
弦：モデルによって13〜24本程度。
- 標準型は21弦が多い。
調弦機構：
- 弦の張力を調整するための可動橋（ブリッジ）
- 糸巻き（ペグ）で弦の張りを微調整
弦の材質：絹、馬の尾の毛、ガチョウの腸など伝統素材。
演奏面：右手で爪を使い弦を弾き、左手で弦を押さえたり、装飾音を加える。

3. サイズ

長さ：標準21弦ヤトガで約120〜160cm
幅・高さ：15〜20cm程度、厚さは5〜10cm程度
弦間隔：成人が演奏しやすい間隔で設計
小型モデル：13弦・16弦などは子供や高音域専用で小型化

種類についてバリエーション

では、ヤトガ（Yatga）の種類・バリエーションについて整理します。

1. 弦数による種類

21弦ヤトガ（標準型）
- 現代で最も一般的なタイプ
- 民族音楽・現代曲どちらにも使用可能
13弦ヤトガ（ガリン・ヤトガ）
- 小型で高音域向け
- 子供や女性奏者でも演奏しやすい
16弦ヤトガ（バガ・バヤン）
- 中型、教育・練習用に使われることが多い
24弦ヤトガ（イフ・バヤン）
- 大型で低音域もカバー
- アンサンブルやオーケストラ向け

2. 材質によるバリエーション

胴体材質：伝統的には松や桐などの木材
弦材質：絹・馬の尾・ガチョウの腸など
現代モデル：ナイロン弦や金属弦を使う場合もあり、耐久性や音量が向上

3. 調弦方式のバリエーション

可動橋タイプ（伝統型）
- 弦を押さえる位置で音程を調整
- ペンタトニック音階に適している
ペグ式タイプ（近代型）
- 糸巻きで張力を調整
- 音程が安定しやすく、演奏会向き

ヤトガの曲

ヤトガの曲は基本的にモンゴルの伝統音楽で使用されることが多いです。それ以外では映画のサウンドトラックなどでオーケストラ楽器と共に使用されることがあります。そのため劇伴の音楽で使用されるのがほとんどです。

奏法、難易度

では、ヤトガ（Yatga）の奏法と難易度について整理します。

1. 基本奏法

(1) 弦の弾き方

右手で爪や指を使って弦をはじく（プラッキング）。
弦をはじく強さや角度で音量や音色を変化させられる。
一度に複数弦を同時に弾くことで和音や伴奏も可能。

(2) 左手の使い方

弦を押さえる／引くことで音程を微調整（ビブラートや装飾音）。
弦を軽く押さえて半音上げたり、抑えたりする表現が可能。
ベースラインや和音の補助に使うこともある。

(3) 調弦・ペンタトニック音階

可動橋やペグで弦を調整し、ペンタトニック音階に合わせることが多い。
演奏前の調弦が正確でないと、音程が崩れるので注意

2. 上級奏法

装飾音・トリル：左手で弦を押さえながら右手で高速で弾く
グリッサンド：弦を滑らせて音を連続的に変化させる
アルペジオ・和音奏法：複数弦を同時に弾いて伴奏やフレーズを作る

3. 難易度

初心者向け

基本的な弾き方・単音メロディは比較的習得しやすい
ペンタトニック音階なので、音階のミスが少なく演奏できる

中級者向け

左手による音程調整や装飾音の表現が必要
複雑な和音や伴奏を安定して演奏できるレベル

上級者向け

高度な装飾音やビブラート、複雑なフレーズ・即興演奏
低音弦と高音弦を同時に使う和音奏法やオーケストラ的演奏
弦ごとの強弱や音色をコントロールして表現力を最大化

有名な奏者

有名・注目のヤトガ奏者

チンバト・バーサンフー（Chinbat Baasankhuu）
- モンゴルのヤトガ奏者。標準型（21弦）や伝統型（13弦）両方を演奏。
- 「The Art of the Mongolian Yatga」というアルバムをリリース。
- モンゴル国立文化・芸術大学で教えており、教育分野でも影響力が大きい。
オユントヤ・エンクバト（Oyuntuya Enkhbat）
- 若手女性ヤトガ奏者／作曲家。
- モンゴル国内の伝統音楽アンサンブルなどで活躍。
ムンク・エルデネ（Munkh‑Erdene）
- 代表的なヤトガ奏者の一人。彼女は伝統的な奏法に加えて新しい技術（ナイル奏法、スライド、トレモロなど）を導入している。
- 教師・演奏家としても活動。
ムンクトグトク・オチルフヤグ（Munkhtogtokh Ochirkhuyag）
- ヤトガ奏者で、モンゴル国立モリンホール・アンサンブルに所属。
- 国際的にも演奏経験があり、モンゴル政府から文化功労者として表彰を受けている。
ナランゲレル（Narangerel B.）
- ヤトガ奏者・伝統音楽家。
- シルクロード・アンサンブル（Yo-Yo Ma のプロジェクトなど）で演奏経験あり。
ARIUKA Yatga
- 現代的な活動をしている奏者。SoundCloud に演奏トラックを多数公開

新品と中古の製品ラインナップと価格相場

「ヤトガ（Yatga）」の 新品・中古の製品ラインナップと価格相場についてですが、情報源・流通が非常に限られており、日本国内で買える明確な在庫・価格を網羅的に見つけるのは難しいです。ただし、参考になりうる情報を整理しました。

ウェブ情報から見える相場感・参考ライン

ProMusicSound によれば、「ヤトガの価格は数千円〜数万円」と説明されている。
**MongolianStore（海外ショップ）**に「Zither (Yatga)」が掲載されている。重量：約 15.5 lb（約7kg）、サイズ 34.6 × 7.48 × 17 in。
**デジタルスタンプ（楽器サイト）**にも「Yatgaは弦数やサイズで非常にバリエーションがある」と記載あり。
**Altaï Yatga（アルタイ・ヤトガ）**という特定地域型もあり、伝統的／民族楽器市場で見られる。