人気の初音ミクなどボーカロイド、ボカロ、ボカロpのカルチャーと言えば日本音楽業界だけの文化だと思っている方は少なくありません。これは実際のところ、当たっている面もあります。しかしだからと言って日本以外の海外で全く流行していないというわけでもないのです。ボーカロイドの外国語バージョンなどの曲も大量に制作されており、流通していることも分かってきています。
ボーカロイドとは?
ボーカロイドは世界でも有名な楽器メーカーであるYAMAHAが開発した音声合成ソフトです。このソフトは譜面上に書いた音符に沿って歌ってくれます。ボーカロイドと言えば、今では大量のソフトが誕生していますが、初音ミクが一番有名です。初音ミクは2000年代の初頭に登場したボーカロイドソフトであり、最もインパクトの大きいソフトだったので、音楽プレイヤーだけでなく、アニメオタクなどにも支持され、音楽プラットフォームでもかなりにぎわいました。コンサートやライブで人も集まるようになり、アーティストのファンもシンガーの活躍を見るために集まるようになっています。
なぜミクの配信をするだけで好きな人や国が増えているのか?もちろんバーチャルキャラクターの出演もありますが、ボーカロイドの機能の高さも人気の理由になっています。今は国内だけでなくヨーロッパでも今後、人気が出ると思われます。
日本だけの文化?
日本人的にはまるで日本だけの文化に見えますが特集も良く組まれています。しかし外国人のなかにはきっかけがあればボーカルの音源を名曲で使っているDTMプレイヤーもいます。存在はまだ薄いですが徐々に広がって高まる可能性はあります。日本語のソフトが多いのが難点でしょう。イラストなども海外では流通しています。
ボーカロイドの歴史
ボーカロイドの開発は2000年代ごろから行われ始めていました。当時打ち込み音源で唯一表すことができなかった「歌声」を音源として表現するために開発チームが立ち上がり、クリプトン・フューチャー・メディアから「MEIKO」が2004年に発売し、当時の世間を驚かせました。しかしまだこの時期はそれほど多くのリスナーもユーザーもいませんでした。いわゆる一部のコアなマニアにしか関心のない分野とされていたのです。
実際にユーザー層が一気に増えたのは2007年の初音ミクでした。当時は1週間で1000本、半年間で3万本も売れたため、ボーカロイドの曲も商業の世界でチャートに出てくるようになりました。この時代にボカロPという言葉が生まれ、ボーカロイドで曲を作る作家が登場したのです。2009年頃になると、カラオケランキングなどでもボーカロイドの曲が登場したため、当時の若年層がボーカロイド曲を聴き始めたと言われています。
2010年代になるとボーカロイドの熱は冷めていきます。ボカロ史においては「衰退期」とされており、ボカロプロジェクトも終わっていくものが多かったのです。しかし2010年代後半になると、再度盛り上がりを見せるようになりました。ボカロPが様々な曲を作成し、Youtubeでは100万回再生を超える楽曲が出てくるなど、かなりの流行を見せています。Twitter上のハッシュタグにもボーカロイドが付けられるようになり、徐々に日本以外の海外にも知られるようになったのです。
ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20
日本では2020年に新しい試みが始まりました。2022年12月7日から、若年層から中年層に人気のあるニコニコ動画でニコニコ VOCALOID SONGS TOP20が開始されました。これは何かというと、ニコニコ動画でのボカロ曲の動画再生回数やコメント数などのデータから集計したランキングになります。ビルボードジャパンが集計をしてランキング形式でボーカロイドのヒットソングを発表するというものです。
外国語のボーカロイド曲の登場
現代では外国人が作るボーカロイド曲、さらには日本人でありながらも歌詞を英語で作成した曲がたくさん登場するようになりました。これが外国へボーカロイドが普及する理由の一つにもなりました。SNSでもボーカロイドのタグが大量にみられるようになり、外国人にもかなり浸透していることがうかがえます。
このような背景もあり、ボーカロイドのリスナーも増えてきており外国人がボーカロイドを聞くケースが増えています。現在の世界ではアメリカを中心にヒップホップやラップが全盛期を迎えていますが、ボーカロイドの世界では主にロックやポップス、ジャズなどのジャンルが多いです。これは恐らく合成音声に歌わせやすいのがこのジャンルであると言われているからです。楽曲を見ていると、ヒップホップやラップがあまり多くありません。恐らく早口になってしまうため、違和感を感じてしまうことが多いというのが理由の一つでしょう。
他のジャンルとしては、ダンスミュージックやエレクトリカなどの電子音楽のジャンルでもボーカロイドの楽曲を製作しているプレイヤーは多くいます。2000年代の主要ジャンルはどうしても電子音楽になるため、このジャンルのプレイヤーも必然的に多くなります。
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