バンドネオンの音はタンゴの中の演奏で使われ、南米で広く知れ渡っている楽器ですが、実は起源は南米ではないのです。この楽器はドイツ発祥の蛇腹楽器でヨーロッパから南米に伝播した楽器です。元々、バンドネオンはアコーディオンから派生した楽器です。そのためバンドネオンとアコーディオンはとても似ているのですが、全く同じ楽器ではありません。アルゼンチンでは移民の受け入れと共にバンドネオンが普及していき、一般化しました。
起源と歴史
ドイツでこの楽器は生まれました。bandoneonは配列のような楽器で奏者は方法として左手、右手側から音階を演奏します。フリーリードを蛇腹で送った空気により鳴らす楽器を蛇腹楽器と呼び、アコーディオンやバンドネオン、そしてコンサーティーナ等が大きく分類されています。現在はメーカー会社も開発して高音などの表現ができるようになっています。フリーで好きに演奏できる楽器です。
1. 起源
- 発明時期: 19世紀中頃(約1850年代)
- 発明者: ドイツの楽器商 ハインリヒ・バンド(Heinrich Band, 1821–1860)
- 原型: ドイツで流通していた小型自由リード式手風琴(Concertina, Bandoneon)
- 目的: 教会音楽や民俗音楽で使用する持ち運び可能なハーモニカ/アコーディオン型楽器として開発
- 特徴:
- 両手にボタンを備え、蛇腹で空気を送りリードを振動させて音を出す
- 「押す/引く」で音が変わるビソノリック(bisonoric)方式が一般的
2. ヨーロッパでの普及
- ドイツ・オーストリアを中心に小規模オーケストラや民俗音楽で使用
- 教会、行進、民俗舞踊で活躍
- 小型で持ち運びしやすく、演奏技術の習得も比較的容易
3. 南米への伝播
- 時期: 19世紀後半〜20世紀初頭
- 経路: ドイツから南米(アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル)へ移民や商人を通じて伝来
- 使用地域: リオ・デ・ラ・プラタ川周辺(ブエノスアイレス、モンテビデオなど)
- 受容: 南米のタンゴや民俗音楽で中心的な楽器として定着
4. アルゼンチン・タンゴでの発展
- 20世紀初頭: タンゴ楽団に導入され、独特の表現力で旋律やリズムを担当
- 演奏特性:
- 高低の幅広い音域、哀愁・情熱的な音色
- 「押す/引く」の非対称的な音程配置により、複雑なリズム表現が可能
- 代表的奏者: アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla)によるバンドネオンソロやオーケストラ編曲で世界的に有名
5. 現代のバンドネオン
- 種類: ドイツ製ヴィンテージ、アルゼンチン製タンゴ仕様、入門モデルなど
- 用途:
- タンゴ演奏(ソロ・アンサンブル)
- 民族音楽・現代音楽・ジャズなど
- 文化的意義: アルゼンチン・ウルグアイ文化の象徴としての地位
- 製作状況: 新品生産は減少しており、ヴィンテージ品や中古市場が中心
特徴と構造、サイズ
バンドネオンの 特徴・構造・サイズ を整理します。チャランゴやアコーディオンと似ている部分もありますが、独自の構造・音色が特徴です。
1. 特徴
- 楽器分類: 自由リード式手風琴(フリーリード楽器)
- 音色: 哀愁・情熱・独特の切なさを表現できる、タンゴに特化した音色
- 演奏方法:
- 両手でボタンを操作
- 蛇腹(ベローズ)を押したり引いたりして空気を送り、リードを振動させる
- ボタン配置:
- 鍵盤ではなくボタン式
- 右手・左手に複数のボタンが配置
- 押す/引くで異なる音が出るビソノリック(bisonoric)方式が多い
2. 構造
バンドネオンは以下の主要パーツで構成されます。
① 蛇腹(ベローズ)
- 空気の流れを制御する可動部分
- 押す/引くで空気をリードに送る
- 演奏表現(音量・強弱・フレーズの切れ)に直結
② リード(音板)
- 金属製の薄板が振動して音を発生
- 各ボタンごとに押す/引くで異なるリードが振動
③ ボタン
- 右手側: 主にメロディ音
- 左手側: 主に和音やベース音
- ボタン数はモデルによるが、30〜40個前後、あるいは71ボタンモデルもある
- ビソノリック方式により押す/引くで異なる音程
④ 木製フレーム・外装
- ボタンやリードを固定するフレーム
- 材質は主に木材(ローズウッド、マホガニー等)
- 音響特性と耐久性に影響
3. サイズ
- 横幅(ボタン含む両手部): 約40〜50 cm
- 高さ(蛇腹含む): 約15〜20 cm
- 奥行き(蛇腹を閉じた状態): 約15〜20 cm
- 重量: 約8〜12 kg(モデルによる)
- 音域: 約4〜5オクターブ
⚠️ バンドネオンはチャランゴや小型アコーディオンより大きく重いため、演奏時は両手でしっかり支える必要があります。
種類についてバリエーション
バンドネオンの 種類・バリエーション を整理します。バンドネオンは製造国・用途・ボタン配置によって複数のタイプがあります
1. 製造国・時代による分類
① ドイツ製(オリジナル)
- 発明者ハインリヒ・バンドの影響で19世紀に製造
- 教会音楽・民俗音楽用に作られたモデル
- 音域は限られるが、音色が柔らかく、ヴィンテージ市場で高評価
② アルゼンチン製(タンゴ仕様)
- 19世紀末以降、ドイツ製を南米で改良
- タンゴ演奏用にボタン数・音域を拡張
- 音色は情熱的・哀愁があり、タンゴ・フォルクローレで標準
③ その他(ブラジル・ウルグアイなど)
- 伝統音楽向けに小型モデルや入門用モデルが製造
- 音域やボタン数が異なり、演奏用途によって選択可能
2. ボタン配置・機構による分類
① ビソノリック(Bisonoric)タイプ
- 押す/引くで異なる音が出る
- タンゴ演奏用に一般的
- 音楽表現が豊かだが、習熟に時間がかかる
② モノソノリック(Unisonoric)タイプ
- 押す/引くで同じ音が出る
- 初心者向け・教育用モデルに多い
- 習得しやすく演奏が安定
3. 音域・ボタン数による分類
| タイプ | ボタン数 | 音域 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 小型入門モデル | 30〜40 | 3〜4オクターブ | 学習・簡単な演奏 |
| 標準タンゴモデル | 71 | 約4〜5オクターブ | ソロ・アンサンブル演奏 |
| 高級ヴィンテージ | 71以上 | 4〜5オクターブ | プロフェッショナル演奏・コレクション |

バンドネオンの曲
バンドネオンは南米でとても広く普及しています。アルゼンチンタンゴで有名であり、ブエノスアイレスやフランスやイタリアなどでは頻繁に使われてます。個人で活躍する奏者が多い感じです。
奏法、難易度
バンドネオンの 奏法と難易度 を整理します。チャランゴやアコーディオンと同様、両手の操作と蛇腹のコントロールが演奏の鍵になります。
1. 基本奏法
① 右手(主にメロディ)
- ボタン操作:
- 各ボタンに異なる音が割り当てられており、押す/引くで音が変わる(ビソノリック方式)
- 単音メロディや装飾音(ハンマリング、プリング、トリル)を演奏
- フレーズ表現:
- 強弱やスタッカート、ポルタメントなどで表現力を出す
- アルペジオや和音:
- 曲によっては右手で簡単な和音やアルペジオも担当
② 左手(主に伴奏・ベース)
- ボタン操作:
- 主に和音や低音部を担当
- アンサンブルやタンゴ伴奏ではリズムを正確に支える
- 押す/引くのリズム制御:
- 蛇腹の押し引きと左手のボタン操作の連動が重要
- リズムの強弱を出すことで曲の表情が決まる
③ 蛇腹(ベローズ)の操作
- 音量・音色・フレーズの強弱をコントロール
- 押す/引くの動きでメロディと伴奏を同時に表現
- 長いフレーズやリズムの変化には精密な手の動きが求められる
2. 難易度
難易度は ボタン数・奏法の複雑さ・アンサンブル参加の有無 によって変わります。
| 難易度 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| ★☆☆ | 入門者 | 短いフレーズ、簡単な押し/引き操作、単音演奏中心 |
| ★★☆ | 初級〜中級 | 右手・左手の同時操作、基本的なリズム表現、押す/引くの習熟 |
| ★★★ | 中級〜上級 | メロディ・伴奏の独立運動、複雑なリズムや装飾音、アンサンブルでの正確な表現 |
| ★★★★ | プロ・演奏家 | 長尺曲、タンゴソロやオーケストラ演奏、表現力・強弱・テンポ変化を自在に操る |
3. 練習上のポイント
- ボタン配列を暗記
- ビソノリックの場合、押す/引くで異なる音になるため、指の動きと音の位置を覚える
- 蛇腹の動きと両手操作の連動
- 強弱・音色・リズムを同時にコントロール
- 簡単なフレーズから段階的に
- 単音 → メロディ+伴奏 → 装飾音+リズム変化
- リズム感の習得
- タンゴ独特のリズムや休符を正確に表現する
- アンサンブルでの練習
- ソロと伴奏の両立、他楽器との調和が重要
有名な奏者
バンドネオンの 有名な奏者 は、特にアルゼンチン・ウルグアイのタンゴ音楽で世界的に知られています。代表的な人物を整理します。
1. 歴史的・クラシック系
- アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla, 1921–1992)
- アルゼンチンのタンゴ作曲家・奏者
- バンドネオンを用いた「新タンゴ(Tango Nuevo)」を創始
- クラシック音楽やジャズの要素を取り入れ、世界的に評価される
- リカルド・トロッタ(Ricardo Troilo, 1914–1975)
- 伝統タンゴの演奏家
- バンドネオンの表現力をタンゴ楽団に反映
2. 現代・現役奏者
- フェルナンド・ソリアーノ(Fernando Soler)
- アルゼンチンの現代バンドネオン奏者
- ソロ演奏やアンサンブル、国際コンサートに出演
- フアン・ホセ・カラバン(Juan José Carabajal)
- フォルクローレやタンゴで活躍
- 世界各地でアルゼンチン音楽の普及活動を行う
- ネストル・マルティネス(Néstor Marconi)
- ピアソラと共演した経歴を持つ名手
- 教育活動も行い、後進育成に貢献

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「バンドネオン(Bandoneon)」の 新品・中古の製品ラインナップと価格相場 を整理しました。楽器という性格上、仕様・製作者・状態・輸送費・整備費が価格に大きく影響しますので、あくまで「目安」としてご覧ください。
🛒 製品ラインナップ(参考)
(※以下、楽器本体として出品されているアイテムを中心に紹介します。楽器関連の書籍・ソフトや装飾品は本体としての価格比較から除いています。)
以下、各モデルの簡単な説明です:
- E. Glass & Sons Bandoneon Concertina (used):中古ハイエンドヴィンテージ出品例。価格例は約 ¥264,947(米ドル/為替・送料別)と出ています。
- E. Glass & Sons Bandoneon Concertina W Case:同ブランド・ケース付き仕様で同価格帯。
- NEW Rosewood Scandalli Argentinean 152‑Note Bandoneon LM 39/37:新品仕様の「152ノート」仕様プロモデル。価格例として USD $7,999(約 ¥1,200,000前後)という記録があります。
- Bandoneon 142 Tone Bi‑Sonoric New Model:新品「142トーン」仕様の定番モデル。製作者サイトによればEUR 6,950(約 ¥100万前後)という価格あり。
- Student Model Bandoneon 142 Tone Bi‑Sonoric New:学生用・初心者用の新品モデルも製作されています。価格は「問合せ」扱いが多いですが「新モデルスタート価格EUR 6,950」などの記載あり。
- Alfred Arnold Bandoneon Tango 30’s Doble A (used):中古ヴィンテージ「AA(Alfred Arnold)」1930年代ドイツ製タンゴ仕様。価格例: €2,550(約 ¥40〜50万前後)という出品あり。
- 入門バンドネオン 中古モデル:中古入門モデルとして、例えば「US$1,400」程度(約 ¥20〜30万)という記録あり。
📊 価格相場の目安
複数のウェブ情報を基に、価格レンジの目安を以下に整理します。
✅ 新品モデル
- 製作者・仕様きちんとした新品(142トーン・ビソノリック仕様等): EUR 6,000〜7,000以上(日本円でおおよそ ¥90万〜¥120万以上)という記録あり。
- プロ仕様・拡張仕様(例:152ノート仕様など+高級材): USD $7,999(約 ¥120万前後)という実例あり。
- 入門新品モデルや学生モデル:数千ユーロ/数千ドルスタートという案内あり。
✅ 中古モデル
- 中古ヴィンテージ(良好な状態・ドイツ製旧モデル): €2,500〜€5,000(約 ¥40万〜¥80万以上)という記録あり。
- 中古入門モデル・実用レベル:US$1,400(約 ¥20〜30万)という案内あり。
- 極に安価なカスタム/壊れかけモデル、部品扱いで US$300 なども見られます。
🧮 日本円でのざっくり目安
- 入門〜初心者用中古モデル:おおよそ ¥20〜30万円前後からスタート
- 中級〜良質中古/業務仕様新品:おおよそ ¥40〜100万円台
- プロ仕様新品/ヴィンテージ名器:¥100万円以上が現実的なライン
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