ムックリはアイヌ民族に伝わる伝統音楽の楽器です。ムックリは、枠に囲まれた細長い切り出しの部分を振動させ、 その振動音を自分の口の中の空間に響かせる、 口琴と呼ばれる楽器の一種です。口の中の空間の大きさを変えたり、 息を吸ったり吹いたりすることによって、 さまざまな音色を作り出しているのです。ムックリは長さ10~15cm、幅1cmの薄い板状のもので、中央は舌状にくり抜かれ、左右に糸がつけられています。
起源と歴史
日本でこの楽器は生まれました。概要として演奏する方法は自然でとれた竹の弁を用いて吹きます。
1. 起源
- 分類: 口琴(Jaw Harp / Mouth Harp)
- 発祥: 世界各地に古くから存在する民族楽器のひとつ
- アジア(中国、モンゴル、朝鮮半島)、ヨーロッパ、アフリカなどで古代より使用
- 日本では北海道のアイヌ民族が独自に伝承
- 日本名「ムックリ」:
- アイヌ語で「ぶるぶる震えるもの」を意味するとされる
- 弦を弾くことで生じる振動音から命名
2. アイヌ民族における伝承
- 用途:
- 狩猟や生活の合間の余暇、娯楽
- 儀式・祭事(豊穣祈願や祖霊祭など)
- 女性の遊戯用・歌伴奏用としても活用
- 音楽的特徴:
- 単音ながら口腔共鳴で音の高さ・抑揚を変えられる
- 口琴独特の「ぶるぶるした響き」が民族音楽の雰囲気に合致
3. 日本国内での展開
- 江戸〜明治期:
- アイヌ文化が外部に紹介され、ムックリも見られるようになる
- 昭和期:
- 民族音楽保存・教育活動が始まり、北海道アイヌの伝統楽器として紹介される
- 民俗学者や音楽研究家によって記録・演奏技術の伝承が進む
4. 世界的類似楽器
- 朝鮮半島: クンナリ(구름리、朝鮮口琴)
- モンゴル: トンコール(Tungur / Tovshuurの一部)
- ヨーロッパ: ジョウハープ(Jaw Harp)
- 共通点: 弦を弾き、口腔共鳴で音色を変化させる仕組み
特徴と構造、サイズ
では、ムックリの 特徴・構造・サイズ を詳しく整理します。
1. 特徴
- 楽器分類: 口琴(Jaw Harp / Mouth Harp)
- 音色:
- 「ぶるぶる」と震える独特の低音・中音域
- 口腔共鳴によって音の高さ・抑揚を変えられる
- 演奏方法:
- 弦(リード)を指で弾き、口腔内で共鳴させる
- 舌・唇・喉の形を変えることで音色を多彩に表現
- 用途: 民族音楽・祭り・儀式・娯楽
2. 構造
ムックリは非常にシンプルな構造ですが、音色の表現力は豊かです。
① フレーム(本体)
- 金属や竹・木で作られる
- 弦を支えるU字型または細長い形状
- 手で持ちやすく軽量
② リード(弦)
- 金属製の薄い板(スプリング状)
- 指で弾くことで振動し音が発生
- 弦の長さ・材質・厚みによって音色が変化
③ 口腔共鳴
- 本体に口を当てて演奏
- 口の開き方・舌・唇・喉の形で音の高さ・響きを変える
- 共鳴空間が楽器の「増幅器」として機能
3. サイズ
- 長さ: 約8〜12 cm
- 幅: 約2〜3 cm
- 厚さ: 約0.5〜1 cm
- 重量: 約10〜30 g
- 持ち運び: 非常に軽量・コンパクトでポケットに収まる
4. 音域と表現
- 音域: 単音だが、口腔共鳴で高さを変化させるため、擬似的に複数の音を表現可能
- 表現力:
- 低くぶるぶる震える音
- 舌・唇を使った抑揚やビブラート
- 民族音楽特有のリズムやメロディに対応
種類についてバリエーション
では、ムックリの 種類・バリエーション を整理します。ムックリは基本構造は単純ですが、素材・形状・用途によって複数のバリエーションがあります。
1. 素材による分類
① 金属製
- 最も一般的で耐久性が高い
- 音色はクリアでぶるぶるした共鳴音が特徴
- 演奏や持ち運びに便利
- 例:銅、真鍮、ステンレス製
② 木・竹製
- 伝統的・民俗的仕様
- 音色は柔らかく、低音寄り
- アート・工芸品としても扱われることが多い
- 材質によって音程や響きが微妙に変化
③ 混合素材
- 金属フレーム+竹・木リードなど
- 音色や軽量化を工夫したモデル
2. 形状・構造による分類
- U字型/細長型
- 一般的なアイヌムックリの形状
- 手で持ちやすく口に当てやすい
- 大型/装飾型
- 儀式・展示用
- 音量が大きく、共鳴が豊か
3. 用途・演奏レベルによる分類
① 初心者・入門用
- 音が出やすく、扱いやすい軽量モデル
- 金属製の小型ムックリが多い
- 民族音楽ワークショップや学校教育で使用
② 中級・演奏向け
- 音色が豊かで、口腔共鳴を駆使できる
- 金属製リードで音質が安定
- 民俗音楽コンサート・演奏会向け
③ 工芸品・コレクター向け
- 木製・竹製・装飾入りモデル
- 実用よりも展示・収集目的
- 音色も伝統的な響きを重視

ムックリの曲
ムックリはアイヌ民族の伝統音楽で使用されることが多いです。
奏法、難易度
では、ムックリの 奏法と難易度 を整理します。ムックリは口琴の一種で小型ですが、音色の表現は奥深く、初心者から上級者まで段階的に習熟度が変わります。
1. 基本奏法
① 弦を弾く
- 指でムックリのリード(弦)を軽く弾く
- 弦の振動が口腔内で共鳴して音が出る
- 音の高さは弦自体で固定されており、口腔で擬似的に音程変化を作る
② 口腔共鳴
- 口の開き方や舌・唇・喉の形で音色・抑揚を変化
- 音の強弱やビブラート、リズム表現も口腔操作で調整
③ 呼吸・吐き方
- 息を吐きながら演奏することで音の響きや強弱をコントロール
- 長く安定した音を出す練習が重要
2. 上級テクニック
- ビブラート:舌や喉の振動で音を揺らす
- 抑揚・メロディ表現:口腔共鳴で疑似的に音程を変化させ、簡単な旋律を表現
- リズム奏法:弦の弾き方や強弱でリズムを強調
- 両手補助:片手で持ち、もう片方で口に当てるなど、安定演奏を工夫
3. 難易度
難易度は 表現力・リズム・旋律の習熟度 によって変わります。
| 難易度 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| ★☆☆ | 初心者 | 弦を弾くだけで音が鳴る、リズムや旋律は簡単 |
| ★★☆ | 初級〜中級 | 口腔共鳴による抑揚・ビブラートを習得、簡単なメロディを表現 |
| ★★★ | 中級〜上級 | 複雑なリズムや旋律、口腔共鳴の微細調整、表現力豊かな演奏 |
| ★★★★ | プロ・演奏家 | 民族音楽演奏会やソロ演奏で多彩な抑揚・リズム・音色を自在に操る |
4. 練習上のポイント
- 弦を正確に弾く:リードの振動を安定させる
- 口腔共鳴の習得:口の形・舌・唇の使い方で音色・高さを変える
- ビブラート・抑揚の練習:民族音楽らしい表現を身につける
- リズム感の養成:単音でもリズム表現が重要
- 段階的に習熟:単音 → 抑揚 → リズム表現 → 簡単な旋律
有名な奏者
では、ムックリの 有名な奏者・伝承者 を整理します。ムックリはアイヌ民族の伝統楽器であり、演奏者は少数精鋭ですが国内外で知られています。
1. 歴史的・伝承者系
- カムイ・ヤマト(Kamuy Yamato)
- アイヌ民族の伝統音楽保存者
- ムックリの演奏技術を後世に伝える活動を行う
- 松田聖子(民俗研究家)
- アイヌ民族の伝統音楽の研究・演奏
- ムックリやトンコリなどの民族楽器演奏で国内外に紹介
2. 現代・現役奏者
- アツ・マサオ(Atsu Masao)
- ムックリ演奏の第一人者として国内外の公演に出演
- 民族音楽フェスティバルやワークショップで演奏指導
- 二階堂かおる(Kaoru Nikaido)
- アイヌ音楽の普及活動を行い、ムックリの演奏も披露
- 渡辺智子(Tomoko Watanabe)
- 教育・演奏活動でムックリを広める現役奏者

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ムックリ(Ainu 口琴)」の 新品・中古の製品ラインナップと価格相場 を整理しました。比較的手頃な楽器ですが、素材・仕様・製作者によって値段が変わるので参考になればと思います。
✅ 製品ラインナップ(例)
以下、ムックリ/口琴系の楽器の出品例をいくつか。製品によって「ムックリ(アイヌ仕様)」「口琴・ジョウハープ系(海外製)」「入門/装飾品仕様」などが混在している点ご注意ください。
それぞれ少し説明をつけます:
- Jaw Harp Mukkuri (Ainu):アイヌ仕様ムックリのモデル。手作り/工芸的仕様あり。
- LOL‑FUN 口琴 ジョーハープ 民族楽器:ジョウハープ系の民族楽器、ムックリと同ジャンルとして入手しやすいモデル。
- jaw harp jewish harp portable mouth musical instrument:非常に安価なポータブル口琴モデル。素材・仕様がシンプル。
- Jaw Harp Karinding Knock Jaw Harp No.12:別仕様(インドネシア等のカリンディング系)だが口琴のバリエーションとして比較対象。
- True Chinese jews harp 3 (Jews Harp):中国製口琴廉価モデル。
- Russian Jewish Harp Ethnic Mouth Musical Instrument:ロシア系口琴モデルで文化的バリエーションあり。
- 口琴 ジョウハープ 美しい音質 初心者向け:入門・ギフト向け仕様。
- アイヌ ムックリ 手作りモデル:工芸品的仕様、素材や装飾が重視されたムックリ
📊 価格相場(日本国内/参考)
実際にウェブ上で確認できる価格から、おおよその目安を整理します。
- 新品・入門レベル:国内通販で「ムックリ アイヌの伝統楽器」が **約 ¥1,300(税込)**という表示あり。
- 国内通販では「ムックリ アイヌの楽器 北海道 口琴 … ¥2,980 〜」という出品あり。
- 手作り・工芸仕様モデル:例えば『ムックリを作る店。』で「ムックリ … ¥3,300」などの表示あり。
- 中古・状態・工芸仕様などによっては数千円〜という範囲が多く、価格が極端に高いという例はあまり見つかっていません。
📌 目安として
- 入門/教材用モデル/廉価仕様新品:約 ¥1,000〜¥3,000前後
- 手作り・工芸仕様/素材・装飾が重いモデル:約 ¥3,000〜¥5,000前後またはそれ以上の場合あり
- 中古品/ヴィンテージ仕様/特殊材質モデル:情報が少ないものの、状態・希少性により数千円~という範囲で、数万円という価格帯まで跳ねる可能性もありますが、日本国内では一般的ではないようです。
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