Epic Musicとは?おすすめ音楽ジャンルの最新版をまとめて解説。Epic Musicはアメリカで生まれた映画音楽などに流行しているジャンルです。壮大な曲が多く、クラシックの素養を持ったクリエイターが楽曲を製作し、映画の予告編などで使用されています。このジャンルは知名度も低いため、あまり認知されていませんが欧米圏では非常に浸透しているジャンルでもあります。映像作品では使われることが多いです。
Epic Musicとは?
Epic Musicはアメリカで生まれた映画予告編音楽のジャンルです。1990年代に生まれたジャンルで、CM、映画予告編、ゲーム予告編、ドラマ予告編、さらにはテレビのBGMやラジオなどでも使用することが多いBGMジャンルです。壮大・荘厳といった曲の特徴を活かしており、クラシック音楽の素養を持ったクリエイターが楽曲製作をしています。
このジャンルはレコード会社などを通して一般販売することがあまりないため、認知度は低いです。しかし映像作品でとても広く使われていることから、音自体を聴いたことがある人はとても多いでしょう。このジャンルは北米とヨーロッパで浸透しています。
他にはオーストラリア、南アフリカ、イスラエルなどでも制作会社があります。アジアでは代理店しかなく、ほとんど認知されていません。
1. 音楽的特徴
- オーケストラ主体のサウンド
弦楽器(ヴァイオリン、チェロ)、ブラス(トランペット、ホルン)、パーカッション(ティンパニ、ドラム)など、クラシック音楽的編成を使用。 - 壮大でドラマチックな構造
- クライマックスに向かって徐々に盛り上がるビルドアップ(ビルド)
- ドラマティックなテーマとリフレイン(繰り返しのメロディ)
- コーラスや合唱の使用で神秘感やスケール感を演出
- 重厚なリズムとパーカッション
- タタタタとしたリズムやドラムの連打で緊張感を演出
- 映画音楽的な「心臓の鼓動」を感じさせるリズム
- 電子音との融合
- 現代のEpic Musicでは、オーケストラ音にシンセやエレクトロニックビートを融合することが増加
2. テーマ・感情表現
- 勇気・英雄・戦い・冒険
- ドラマティックな緊張感や絶望・希望
- 感動・壮大さ・神秘的世界観
つまり、**映画の予告編やゲームのバトルシーンで流れる「胸が熱くなる音楽」**がEpic Musicです。
3. 用途・メディア
- 映画予告編(Trailer Music)
- ゲームBGM(RPG・アクションゲーム)
- YouTubeやTikTokなど動画のBGM
- 広告・プレゼンテーションでの演出
近年のEpic Musicのトレンド
近年(特にここ数年)の Epic Music(エピック/シネマティック音楽) のトレンドを、テクノロジー、制作、スタイル、用途などの側面から整理してみます。
近年の Epic Music の主なトレンド
- オーケストラ × シンセ/電子音のハイブリッド化
- 昔ながらのフル・オーケストラ(弦、管楽器、合唱など)に加えて、シンセサイザーや電子音をミックスするスタイルがますます一般的になってきている。
- EastWest の「Hollywood Orchestra」といった大編成オーケストラ・ライブラリと、電子系音源(シンセ、ドローンなど)を併用する制作が増えている。
- また、Engine Audio の「Epic World」のように、民族楽器、ドローン、幻想的な声などを含んだテクスチャ系ライブラリの人気が高まっている。
- 制作環境の民主化
- 優れたオーケストラ/シネマティック音源ライブラリが、DTM(デスクトップ作曲)ユーザーにも手が届きやすくなってきている。たとえば、UJAMの「Symphonic Elements Bundle」は映画的な打楽器(パーカッション)を簡単に使えるようにしている。
- これにより、個人クリエイター(YouTuber、ゲームインディーデベロッパー、トレーラー制作など)が「壮大でドラマティックな音」を自作しやすくなっている。
- AI/自動作曲/リアルタイム音楽生成の進展
- 最近はAIを使った音楽生成の研究・実用化も進んでおり、感情(エモーション)に基づき構造をリアルタイムで変えるモデルも登場。たとえば、METEORというモデルはオーケストラ音楽をテクスチャ(厚み・重なり)をコントロールしながら自動生成できる。
- こうした技術を使えば、映画やゲームなどのインタラクティブメディアで「その場に合わせて盛り上がるエピック音楽」を自動で生成・アレンジすることが将来的により現実的になってくる。
- AI と人間のコラボレーション
- AIだけでなく、人間のミュージシャン/作曲家とAIが共同で即興演奏を行う試みも。例えば「Revival: Collaborative Artistic Creation」というプロジェクトでは、人+AI+視覚アートがリアルタイムで相互作用。
- これによって、従来の「予め作り込んだスコア」にとどまらない柔軟なエピック音楽表現が可能になってきている。
- “音の深み/テクスチャ”への注力
- 単なる大音量・クライマックス主導ではなく、ドローン、パッド、FX(環境音風エフェクト)を多層に重ねて「空間的・物語的」なサウンドスケープを作るアプローチが強まっている。
- これは、作曲ライブラリ(例えば、Epic World など)でも「深み」「物語性」を重視したサウンドが増えていることからも明らか。
- 用途の拡大
- 映画予告編やゲームだけでなく、YouTube、ポッドキャスト、TikTok、企業プレゼンなど、幅広いメディアでEpic Musicが使われるようになってきている。
- 特にトレーラー・ミュージックのニーズは根強く、制作会社もEpic系のBGMをライブラリ化・ストック化して提供する動きが続いている。
- サステナビリティとエシカルな楽器選定
-(これはまだ大きな主流ではないが)自然音や民族楽器(既存の伝統楽器)を使って「エピック」なスコアを作ることで、持続可能でオーガニックな音作りを志向する流れも見られる。
-「Epic World」のようなライブラリで民族系打楽器/管楽器が収録されているのはその一例。 - Braaam サウンドの再解釈
- 映画予告編でよく使われる「BRAAAM(ブラーム)」音 — 大きく、低く、圧迫感のあるブラスやサウンドの効果 — は根強く残っているが、単純な爆音ブラスよりも、テクスチャを持たせたブラシ音やエフェクト処理されたものが増えてきている。
- これにより「力強さ+空間感」のバランスを取った表現がトレンド。
- ライブ/フェスの融合
- 従来映画作曲家だけではなく、エレクトロニック系アーティスト(映画作曲家出身も含む)がライブパフォーマンスを行うケースが増えている。
- 例として、Trent Reznor と Atticus Ross が主催する「Future Ruins」というフェスが企画されており、映像作曲家+電子音楽アーティストを組み合わせたイベントが注目されている。
展望(これらのトレンドが意味すること)
- 表現の多様化
Epic Musicは単なる「オーケストラを大きく鳴らす」ものから、物語性・感情表現を重視したテクスチャ重視のアプローチに進化。 - 制作参入の敷居が下がる
高品質な音源ライブラリ+AI技術によって、個人クリエイターでも映画・ゲームクオリティのエピック曲を作れるようになる。 - インタラクティブな音楽体験
ゲームやVR/メタバースなどで、リアルタイムに変化するEpic Musicが当たり前になる可能性。 - エシカル/持続可能な音作りの重視
民族楽器や自然音を使うアプローチが増えることで、単なる派手さだけでなく「意味を持った壮大さ」が追求される。
Production Music Library
Epic MusicのビジネスモデルはProduction Music Libraryと同様です。Production Music Libraryは大量の楽曲をあらかじめ用意しておき、CM、テレビ、映画、ゲーム会社などに営業をかけて楽曲使用をしてもらい、使用料をもらうという形になります。
Epic Musicの場合は壮大な曲が多いため、より使用される分野が限定されています。あなたの知っている有名なハリウッド映画の予告編音楽はほとんど、Epic Musicの分野に属する会社が製作しているのです。
作曲、編曲に挑戦できる!従来のEpic Music
Epic Musicのビジネスは1990年代にはじまりましたが、当初はクラシック音楽の要素がとても強い楽曲が多かったです。作家も映画音楽やテレビドラマの人が多く、純粋なクラシック音楽の要素が色濃くなっており、映画本編のサウンドトラックと同じレベルのハイクオリティの楽曲が多い印象でした。
変化するEpic Music
しかしEpic Musicも時代の変化とともに曲の構成が徐々に変化していきます。効果音などを活かしてBGMの要素がとても強い楽曲になったり、もしくはダンスミュージックの要素がとても強い楽曲が増えてきています。

有名な会社
Epic Musicの中でもとても有名な会社もあります。
J:COMTwo Steps from Hell
この会社は恐らく世界で最も有名なEpic Musicの会社でしょう。2006年に設立されたロサンゼルスを拠点としており、サッカーのEUROなどでも楽曲が使用されたり、日本のサッカーチームである浦和レッズがこの会社の曲を多用していることで知られています。作曲家はイギリスのNick PhoenixとノルウェーのThomas Bergersenで構成されており、新譜も頻繁に出しております。
Audiomachine
2005年にPaul DinletirとCarol Sovinskiによって設立されたEpic Musicのレーベルです。アメリカのロサンゼルスに拠点を構えており、多数の映画予告編でこの会社の楽曲が使用されています。この会社は一般リリースも多数しており、一般人への認知度もとても高いものになっています。スポーツ大会などでもよく使用されています。
Immediate Music
1993年にYoav Gorenによって設立されたレーベル。アメリカのロサンゼルスを拠点にしており、数々の有名な映画予告編で使用されています。しかし2017年に大手プロダクションであるBMGによって買収されています。
Epic Musicの制作方法
Epic Music(エピック・ミュージック)の制作方法は、映画やゲームのサウンドトラック的手法を取り入れつつ、個人クリエイターでも再現可能なステップがあります。以下に体系的にまとめます。
1. 制作の前準備
- 目的・用途の明確化
- 映画予告編、ゲーム、YouTube動画など用途によって曲の長さ・構造・クライマックスの作り方が変わる。
- テーマと感情の設定
- 勇気・希望・戦い・冒険・感動など、曲で表現したい感情を決める。
- 参照曲(リファレンス)の選定
- Two Steps From Hell、Audiomachine、Hans Zimmerなどの楽曲を分析して方向性を決める。
2. 作曲・アレンジの基本構造
Epic Musicはドラマティックなストーリー構造を意識して作ると効果的です。
- イントロ(静かに、幻想的に)
- パッドやドローンで空間を作る
- 軽く弦楽器や小さなパーカッションを追加
- ビルドアップ(盛り上がりの準備)
- ドラムやティンパニで徐々に緊張感を増す
- メロディやハーモニーを少しずつ重ねる
- クライマックス(最高潮)
- フルオーケストラ+合唱+重厚パーカッションで壮大に
- メインテーマやフック(覚えやすいメロディ)を強調
- ブレイク・落ち着き
- 緊張を解く短いパートを挿入
- 次のクライマックスに向けての呼吸を作る
- ラスト・エンディング
- 高揚感を残すか、余韻を残して静かに終わる
💡 ポイント
- Epic Musicは「物語」を意識することが重要。映画の1シーンのように曲を構築する。
3. 使用する楽器・音源
- オーケストラ系
- 弦楽器(ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス)
- 金管(トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ)
- 木管(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット)
- 打楽器(ティンパニ、シンバル、バスドラム)
- 合唱・コーラス
- 男声・女声、あるいは混声コーラスで壮大さを演出
- エレクトロニック系
- パッド、ドローン、シンセサイザー、FX音(風、雷、リバーブ効果)
- 民族楽器 / 世界音楽系(オプション)
- 太鼓、ディジュリドゥ、シタールなどで異世界感や異文化感を追加
4. リズム・ビートの作り方
- ティンパニ・ドラムによる「心臓の鼓動」感
- ハイハットやスネアで緊張感を演出
- BRAAAM的低音ブラス・サウンド
- 大きく低く響くブラスで力強さを表現
- ポリリズムやテンポ変化
- クライマックスに向けて加速させたり、一部をゆっくりにして緊張感を作る
5. ミキシング・マスタリングのポイント
- 空間感の演出
- リバーブやディレイで奥行きと広がりを作る
- ダイナミクスを大きく
- 静→盛り上がり→静というダイナミクスを意識
- 周波数帯の整理
- 低音(ドラム、ブラス)と高音(弦、シンセ)の干渉を避ける
- パンニングで広がりを作る
- 弦楽器を左右に振る、パッドを奥に配置するなど
6. 制作ツール・ソフト例
- DAW: Logic Pro, Cubase, Ableton Live, FL Studio, Studio One
- オーケストラ音源:
- EastWest Hollywood Orchestra
- Spitfire Audio Albion / Symphonic Strings
- Native Instruments Symphony Series
- シンセ/エフェクト: Serum, Omnisphere, Kontakt
- パーカッション音源: Heavyocity Damage, Boom Library Cinematic Percussion
Epic Musicの未来
Epic Music(エピック・ミュージック)の未来は、技術の進化と文化的需要の変化によって大きく広がると考えられます。近年のトレンドを踏まえると、以下の方向性が見えてきます。
1. AI・自動作曲との融合
- AI作曲ツールの進化により、個人でも映画予告編クオリティのEpic Musicが作れるようになる。
- AIはクライマックスの盛り上がりや雰囲気作りを自動で提案可能。
- 将来的にはインタラクティブな音楽生成が普及し、ゲームやVRでユーザーの行動に応じてリアルタイムでEpic Musicが変化するようになる。
2. ジャンル横断・ハイブリッド化
- オーケストラ+電子音+民族音楽+ポストロックなど、異ジャンルを融合した表現が増える。
- 「壮大さ」を保ちつつ、より多層的で物語性のある音楽が作られる。
- 特にゲームやアニメ、メタバースでの体験音楽としての需要が高まる。
3. VR・メタバースとの親和性
- Epic Musicは空間表現・臨場感が強いため、VRやAR環境での体験型音楽に適している。
- 3D空間上で音源を配置し、視覚と聴覚を融合させた没入型ライブや演出が増加。
4. 感情・物語重視の深化
- 従来の「壮大さ・圧倒感」だけでなく、内面的感情や物語性を重視した作品が増える。
- ユーザーが没入できる「ドラマティックなストーリーを持つ曲」が主流になる。
5. 個人クリエイター・ストリーミング文化の拡大
- Epic Musicは映画・ゲームだけでなく、YouTube、TikTok、広告、プレゼンなど幅広く利用されるようになり、ストリーミング時代における音楽ライブラリの主要ジャンルになる。
- 個人クリエイターでも高品質なEpic Musicを手軽に制作・配信可能。
6. 環境・エシカル配慮の音作り
- 民族楽器や自然音を取り入れた「持続可能なEpic Music」の制作が増加。
- 単なる派手さではなく「意味や物語を伴った壮大さ」が評価される方向に。
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