タブラは北インド発祥の打楽器です。アラビア語起源の言葉で“太鼓”を意味します。高音と低音のふたつの太鼓を、指や手のひらで叩く打楽器ですが、叩く場所によっていろいろな音色がでるようにつくられ、それぞれの音に呼び方があり、叩きかたを言葉で憶えていくという仕組みになっています。この楽器は今ではインドでとても有名な民族楽器となっており、伝統音楽でよく使用されています。映画やテレビなどでも出てくる楽器です。
起源と歴史
国はどこかといえばインドでこの楽器は生まれました。古典音楽で大きな重要な役割を果たし、伴奏で用い、独特の表現で少し違いを生み出すことができます。インド音楽のリズムでは必須で奏法は独自。南インドなどでも奏でることが多いです。雰囲気や音階も良く、旋律も一番楽しみな楽器です。大きいので響く楽器です。
1. 起源
- 地域的背景
- タブラは主に北インド(現在のインド北部、パキスタン地域を含む)で発展した打楽器です。
- 北インド古典音楽(ヒンドゥスターニ音楽)で重要な役割を果たしています。
- 名前の由来
- 「タブラ(Tabla)」は、アラビア語の「tabl(太鼓)」に由来するといわれています。
- 18世紀頃に現在の名称と形が定着したと考えられています。
- 原型
- 古代インドの「パクハワージ(Pakhawaj)」という横長の太鼓が前身。
- パクハワージを縦型に分割して改良した結果、ダヤン(高音用)とバヤン(低音用)の2つのドラムからなる現在のタブラが生まれました。
- 彫刻や文献には、既に手で叩く二つの太鼓の形状が描かれた例があります。
2. 歴史的発展
18世紀
- タブラが北インド古典音楽の演奏で広く使用され始める。
- 現在のダヤン・バヤンのペア構造が確立。
- タブラ奏者(パーカッショニスト)が音節(ボル)を用いた演奏技法を体系化。
19世紀
- 宮廷音楽(ラージャの宮廷)やヒンドゥスターニ古典音楽で重要な伴奏楽器として定着。
- 奏者の師弟制度(グル・シャガード)による技術継承が盛んになる。
20世紀以降
- インド国内だけでなく、世界中に広がり、西洋音楽やジャズ、ワールドミュージックのセッションにも導入。
- タブラ奏者(例:ザキール・フセイン、アナンド・バルベラなど)が国際的に評価され、タブラ演奏技術も進化。
3. 特徴的な歴史的ポイント
- パクハワージとの関係
- 低音ドラムをバヤン、高音ドラムをダヤンとして独立させ、複雑なリズム表現を可能にした。
- 音節(ボル)の体系化
- 「タン」「ナ」「ディン」「ガ」などの音節を用いた演奏法が確立。
- 師弟制度による伝統の維持
- 「ガヤーナ・カラナ(リズム理論)」やターラ(拍子)を体系的に指導。
- 国際的普及
- 20世紀後半以降、ジャズやワールドミュージックの分野で使用されるようになった。
特徴と構造、サイズ
1. 特徴
- 二つの太鼓で構成
- 高音用の ダヤン(Dayan) と、低音用の バヤン(Bayan) がセットになっています。
- 右手でダヤン、左手でバヤンを操作して演奏します。
- 多彩な音色
- 指や手のひら、手首の使い分けで、タン・ナ・ディン・ガなどの様々な音を出せます。
- 中央の黒い貼り付けパッチ「シヤヒ(Syahi)」により、音に独特の共鳴と輪郭が生まれます。
- 座奏が基本
- 足を組んで床に座り、クッションやリングの上にタブラを置いて演奏します。
- 音域のコントラスト
- ダヤン:高音域、明瞭で鋭い音
- バヤン:低音域、響きが深く丸い音
2. 構造
| 部位 | 説明 |
|---|---|
| ダヤン(右ドラム) | 木製(シーシャムやローズウッド)で作られ、高音を担当。打面径約15〜20cm。 |
| バヤン(左ドラム) | 金属製(銅・真鍮・合金)や陶器製もあり、低音を担当。打面径約20cm前後。 |
| 打面(ヘッド) | ヤギ革や牛革製。中央にシヤヒ(黒いパッチ)があり、独特の倍音と響きを作る。 |
| 縁(ゴータ) | 皮を固定する縁で、演奏中に微調整可能。 |
| 紐(ラッシング) | 打面を胴に固定し、張力を調整して音程を整える。 |
| リング(リング・クッション) | 床に置く際に安定させ、振動を最適化する。 |
3. サイズ
| 太鼓 | 高さ | 打面径 | 用途 |
|---|---|---|---|
| ダヤン | 約25cm | 約15〜20cm | 高音域・リズムの明瞭さ |
| バヤン | 約25〜30cm | 約20cm前後 | 低音域・響きの深さ |
- 標準的なセットでは、座って両手で演奏可能な高さとサイズに調整されている。
- 打面径や高さの微調整により、演奏者の体格や音色の好みに合わせることが可能です。
種類について詳細
1. 材質による分類
1-1. ダヤン(右ドラム)
- 木製
- 主にシーシャムウッド(北インド産ローズウッド)やローズウッドなど硬質木材を使用
- 音色:明瞭で鋭い高音、レスポンスが速い
- 用途:ソロ演奏、伴奏、プロ演奏向き
- 陶器製(稀)
- 音が軽く柔らかめで、特殊な表現に使用されることがある
1-2. バヤン(左ドラム)
- 金属製
- 銅、真鍮、アルミ合金など
- 音色:低音が豊かで深みのある響き
- 大音量・ライブ演奏に適している
- 陶器製
- 軽量で音圧は控えめ、家庭や練習用に向く
- 木製
- 珍しいが、音が柔らかく自然な響き
2. 用途・レベル別の種類
2-1. 学生・入門用
- 材質:木製ダヤン+金属または木製バヤン
- サイズ:標準サイズより少し小さめのミニセットもある
- 特徴:軽量・扱いやすい、音質は標準的
- 価格帯:約20,000〜50,000円程度
2-2. 中級者用
- 材質:高品質木材+金属バヤン
- サイズ:標準サイズ(ダヤン15〜20cm、バヤン20cm前後)
- 特徴:音色のバランスが良く、演奏表現の幅が広い
- 価格帯:約50,000〜150,000円程度
2-3. プロ・ハイエンド用
- 材質:厳選シーシャムウッド+銅製バヤン
- サイズ:演奏者に合わせたカスタムサイズも可能
- 特徴:倍音が豊かで、ライブやレコーディング向け
- 価格帯:約150,000円〜数十万円
3. その他のバリエーション
- カスタムセット
- 打面径・皮の厚さ・シヤヒのサイズを調整して音色を最適化
- 携帯用/ミニタブラ
- 学習用や旅行用に小型化したセット
- 音量は控えめだが、指の基本練習に適している
- 電子タブラ
- 音量調整や録音に便利
- タブラの伝統的奏法を模した電子パッドで練習可能

タブラの種類ごとの音色
タブラはタブラとバヤから構成されています。
Tabla
アラビア語の「太鼓」に由来。
Baya
左の意味を持つパーカッション。
奏法、難易度
1. 基本的な奏法
タブラは、**ダヤン(右手用高音太鼓)とバヤン(左手用低音太鼓)**を組み合わせて演奏します。
1-1. 打音(ボル)の種類
- タン(Ta / Tun):指先で高音を出す
- ナ(Na):指先で強く叩き、明瞭な音
- ディン(Dhin):ダヤンの中央とバヤンを同時に打つ
- ゲ(Ge / Ghe):左手で低音を出す
- ティ(Ti / Te):素早い単打
- ローリング(Roll):連打で持続音を作る
これらの音は「ボル」と呼ばれ、リズム構造(ターラ)に従って組み合わせます。
1-2. 演奏スタイル
- 基礎リズム
- 単純なターラ(8拍子や16拍子)を叩きながら伴奏する
- フィル/装飾音
- 旋律や曲の区切りで即興的に短いフレーズを挿入
- ソロ演奏
- ボルの組み合わせでリズム変化を即興で表現
- ポリリズム
- 左右手の独立運動で複雑なリズムを同時に演奏
2. 難易度
| レベル | 内容 |
|---|---|
| 初心者 | – 基本ストローク(タン・ナ)を覚える – 8ビート、4/4の簡単なリズムを安定して演奏 – ダヤン・バヤンの簡単な打ち分け |
| 中級者 | – 左右手の独立動作(ポリリズム) – フィルインや装飾音(ディン・ゲなど)の応用 – 曲に合わせた変拍子・速度の演奏 |
| 上級者 | – ソロ演奏や即興演奏 – 複雑なターラの即時変化 – 音色の微調整(打面の位置・強さ・手首の角度) – 他楽器との共演での表現力 |
有名な奏者
1. ザキール・フセイン(Zakir Hussain)
- 出身:インド
- 特徴:世界的に最も有名なタブラ奏者の一人。父はパーカッション奏者で、幼少からタブラを学ぶ。
- スタイル:即興演奏と高度なリズム技法を駆使。ジャズ、ワールドミュージック、映画音楽など幅広く活動。
- 業績:グラミー賞受賞経験あり。ジョン・マクラフリンやミシェル・カミロなど国際的な音楽家と共演。
2. スヴェタ・ナヤル(Swarup Chatterjee / Swapan Chaudhuri)
- 出身:インド
- 特徴:古典北インド音楽(ヒンドゥスターニ音楽)の伝統を守る巨匠。
- スタイル:タブラの高度なポリリズム技法を用いたソロ演奏で有名。
- 業績:世界各地で公演やワークショップを開催。
3. アナンド・バルベラ(Anindo Chatterjee)
- 出身:インド
- 特徴:タブラの演奏技巧と表現力に定評がある。
- スタイル:古典音楽を中心に、ソロと伴奏の両方で高い評価を受ける。
- 業績:多くの伝統的なヒンドゥスターニ音楽の巨匠と共演。
4. サマル・ダス(Shivkumar Sharma / Samar Das)
- 特徴:クラシック演奏における伴奏とソロで国際的に評価。
- スタイル:音色の表現と繊細な手の技法に優れる。

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
マラ(タブラ)の 新品/中古の製品ラインナップと価格相場 を整理してお伝えします。楽器選びの参考にどうぞ。
✅ 新品のラインナップ例
以下、上記製品の簡単な解説:
- MEINL Artisan Edition Tabla SET PRO‑TABLA:プロ仕様の高級モデルセット。国内価格で約 ¥226,300 程度。
- MEINL TABLA [Tabla Set]:ブランド標準セット。価格例国内で約 ¥86,900。
- MEINL TABLA (Standard):標準モデル。国内価格例約 ¥85,162。
- Brass Bayan + Dayan Beginner Tabla Set:初心者向けセット(ブラスバヤン+ダヤン)。価格例国内約 ¥122,249。
- Sound King BG‑203 Tabla Baya:バヤン単体またはセット仕様中級モデル。価格例国内約 ¥86,900
- No‑Brand Tabla Baya (Single):シングル(バヤン単体)・中古も想定。価格例国内新品中古で約 ¥39,800。
- Tabla Set (Mid‑Level Beginner)(再掲):入門~中級向けセット。
- Tabla Set (Entry Level)(再掲):入門セットとしてもう一例。
新品価格の相場感
- 入門~初心者モデル:おおよそ ¥20,000〜¥100,000 程度。インド/輸入の学生仕様も含め。 例:インドでは学生用のタブラが ₹25,000 〜 ₹100,000(約 ¥50,000〜¥200,000)という記述も。
- 中級モデル:¥100,000〜¥200,000程度。
- プロ・ハイエンドモデル:¥200,000以上もあり得ます
中古品の価格相場
中古市場では、状態・材質・ブランド・年式で価格が大きく変動します。例えば:
- 輸入サイトで「Used: Tabla Indian Folk Instrument Set 」が US $399(約 ¥60,000〜¥70,000前後)という例。
- 国内では中古タブラセットやバヤン単体で「¥39,800」の例あり。
中古価格の目安
- 入門仕様・練習用中古:数万円〜¥50,000前後。
- 中級仕様・ブランド中古:¥50,000〜¥100,000程度。
- プロ仕様・ブランド仕様中古:状態良ければ数十万円のケースも。
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