リュートはバロックやルネサンス中世時代の音楽で使用されるヨーロッパのとても有名な弦の民族楽器です。近代ヨーロッパのほとんど全ての国で愛用され、「楽器の王」と呼ばれるほどの楽器です。そのため、ヨーロッパ人の中ではメジャーな楽器であり、だれでも知っているものです。起源は中近東で祖先は中世のアラビアのギターであるといわれています。リュートという名前は「木」を意味するアラビア語から由来しているといわれています。
起源と歴史
ヨーロッパでこの楽器は生まれました。バロックリュートとかリュートギターとも呼ばれていますが奏者はギターのように弾けます。中世の初頭からバロックの時代に弾くことが多かったギターです。奏者は長い弦楽器を使って、バロック音楽などで使用されていました。
1. 起源
- リュートは、**中東の「ウード(ʿūd)」**が起源とされます。
- ウードは紀元前から存在し、短いネックと梨型の胴を持つ撥弦楽器。
- アラブ世界やペルシアで発展し、音楽文化とともに広まりました。
- 10世紀頃にイスラム文化を通じてヨーロッパに伝来。
- スペイン、イタリアなど地中海沿岸を中心に広がり、徐々にヨーロッパ的な形状に変化しました。
2. 中世(5〜15世紀)
- ヨーロッパ中世では、**「リュート(lute)」**として宮廷音楽や宗教音楽に使用されました。
- 初期のリュートは 5〜6コース(弦の組) が一般的。
- 宮廷貴族や修道院で愛用され、教養の象徴とされました。
3. ルネサンス期(15〜16世紀)
- ヨーロッパで最も普及した時期。
- 弦の本数が増え、低音域を補うために バス弦の追加 が行われました。
- ソロ演奏、歌曲伴奏、室内音楽などに広く使用。
- ルネサンスリュートは 音楽印刷物 の発達とともに、作曲技術や演奏技法も発展しました。
4. バロック期(17〜18世紀)
- バロックリュートは より多くの弦(10〜14コース) を持つようになり、低音を補強。
- 作曲家や演奏家が複雑なポリフォニー(多声音楽)に対応。
- テオルボ(theorbo)、アーチルート(archlute)などの派生型が登場。
- 宮廷音楽やオペラの伴奏に重要な役割を果たしました。
5. 近代以降(18〜19世紀)
- リュートは チェンバロやピアノ、ギター の普及により、徐々に衰退。
- 19世紀にはほとんど演奏されなくなりましたが、音楽学者・作曲家・愛好家によって復興の動きが始まる。
6. 20世紀以降
- ルネサンス・バロック音楽の復興運動とともに、歴史的リュートの復元や モダンリュートの製作 が行われる。
- 現在では 古楽演奏 や 現代作曲 に利用される専門楽器として、世界中で愛好者がいる。
特徴と構造、サイズ
リュートの特徴・構造・サイズについて詳しく整理します。
1. 特徴
- 撥弦楽器(プラックト・ストリング)で、指やピックで弦を弾いて演奏。
- 洋梨型の深い背面(ボウル型胴)が特徴で、豊かな共鳴音を生む。
- 多コース(courses)構造
- 同じ音程の弦を2本ずつ張ることが多く、5〜14コースまで時代や用途で変化。
- 弦はガット(羊腸)製が伝統的で、現代はナイロンや複合材も使用。
- 多彩な音域
- ルネサンスリュート:中高音重視、6〜10コース程度
- バロックリュート/アーチルート:低音強化、10〜14コース
- 歴史的・文化的価値
- 中世〜バロック期の宮廷音楽、宗教音楽、伴奏音楽で広く使用。
- 古楽演奏や現代作曲にも活用される。
2. 構造
| 部位 | 説明 |
|---|---|
| 胴体(共鳴胴) | 複数の薄い板(リブ)を貼り合わせた丸い背面。音の共鳴を増幅する。 |
| 響板(サウンドボード) | 前面板。中央に装飾的なサウンドホール(バロック期は薔薇の透かし彫りなど)を備えることもある。 |
| ネックと指板 | 弦を押さえる部分。ガットフレット(移動式)が伝統的。 |
| ペグボックス(糸巻き) | ネック末端にあり、弦のチューニング用ペグが並ぶ。多くは後ろに反った形状。 |
| 弦/コース | 弦をペアで張ることが多く、低音コース追加で音域拡張。 |
- 派生型
- アーチルート(archlute):低音弦を追加して長いネックを持つ。
- テオルボ(theorbo):さらに長い低音弦を持ち、通奏低音に最適。
3. サイズ
リュートは時代や種類によって大きく異なります。
| 種類 | 弦長 | 胴体幅 | ネック長 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ルネサンスリュート(標準) | 約54〜66 cm | 約20〜25 cm | 約30〜40 cm | 6〜10コース、ソロ・伴奏用 |
| バロックリュート | 約66〜75 cm | 約22〜28 cm | 約40〜50 cm | 10〜14コース、低音追加 |
| アーチルート | 約70〜90 cm | 約25〜30 cm | 約50〜60 cm | 低音弦を追加、室内音楽・通奏低音用 |
| テオルボ | 約90 cm以上 | 約25〜30 cm | 約60 cm以上 | 低音弦が長く、オーケストラ・通奏低音向け |
- 弦長(弦が張られている長さ)が短いほど弾きやすく、高音が出やすい。
- 低音弦を増やすほどネック長が伸び、演奏難易度も上がる。
奏法、難易度
リュートの奏法と難易度について整理します。
1. 基本奏法
① 指弾き(プラック奏法)
- 伝統的な奏法は右手の指で弦を弾くスタイル。
- 親指・人差し指・中指で弦を交互に弾き、アルペジオや旋律を奏でる。
- ルネサンス期のリュート曲は**ポリフォニー(複数の旋律線)**が多く、右手の指の独立性が重要。
② ピック/爪奏法(近代・一部流派)
- 現代では爪を使う奏法もあり、弦のアタックや音量を増強。
- 古楽演奏では指と爪の両方を使い分けることもある。
③ 左手テクニック
- フレット上で弦を押さえて音程を変える。
- ガットフレットは可動式で、微妙な音程調整が可能。
- ハンマリング・プリングオフ・スライドなどの技巧も使用。
④ バロック・通奏低音奏法
- バロック期以降のアーチルートやテオルボでは、低音弦でベースラインを弾きつつ、上部旋律を右手で演奏。
- 複数の声部を同時に扱う演奏が求められる。
2. 難易度
初級
- 簡単なアルペジオや旋律の演奏が中心。
- 右手の指で弦を順番に弾く基本技術が習得できれば、短い曲は演奏可能。
中級
- 複数の声部を同時に弾くポリフォニー、装飾音(トリル、ターンなど)、音量・強弱の表現。
- 指の独立性、左手のガットフレット操作に慣れる必要あり。
上級
- バロック・通奏低音やアーチルート/テオルボでの複雑な多声部演奏。
- 高度な装飾音、倍音・響きのコントロール、音色の表現力。
- コンサート演奏や録音に耐えうる技術が必要。
3. 総合ポイント
- リュートはアルペジオ・ポリフォニー・装飾音の表現が中心。
- 初心者でも簡単な旋律は演奏可能だが、本格的な古楽演奏には高度な右手・左手技術が求められる。
- 弦数が増えるアーチルートやテオルボほど演奏難易度が上がる。
- 音色表現・響きのコントロールはリュート特有の難しさであり、熟練者との差が出やすい。

リュートの曲
リュートは今でこそ、エレキギターやアコースティックギターに負けていますが、それでも古典音楽や民族音楽、BGMなどではよく出てくる楽器として有名です。特に中世や近代を背景にしたゲームなどでは多用される傾向にあります。
リュートの種類
1. ルネサンスリュート(Renaissance Lute)
- 時代:15〜16世紀
- 弦数:通常 6〜10コース
- 特徴:中高音域を中心としたソロ演奏や歌曲伴奏用。
- 用途:宮廷音楽、宗教音楽、室内音楽。
- 形状:洋梨型の深い背面、ガット弦、短めのネック。
2. バロックリュート(Baroque Lute)
- 時代:17〜18世紀
- 弦数:10〜14コース
- 特徴:低音弦を追加して音域を拡張。複雑な多声部演奏(ポリフォニー)に対応。
- 用途:通奏低音(basso continuo)、ソロ演奏。
- 形状:ネックが長くなり、低音弦用のペグが追加。
3. アーチルート(Archlute)
- 時代:17世紀
- 弦数:通常 11〜14コース
- 特徴:バロックリュートの低音域をさらに拡張。
- 用途:通奏低音や伴奏、室内音楽。
- 形状:ネックが長く、低音弦を追加した弦列。
4. テオルボ(Theorbo)
- 時代:17世紀
- 弦数:13〜19コース程度
- 特徴:非常に長いネックを持ち、低音弦で通奏低音を担当。
- 用途:バロック音楽の通奏低音、オペラや室内オーケストラで使用。
- 形状:ネックが2段に分かれ、低音弦が長く伸びている。
5. ギターリュート/モダンリュート
- 時代:19世紀以降
- 特徴:復興運動や現代作曲向けに作られたリュート。
- 弦数:6〜10コース程度
- 用途:古楽演奏、現代音楽作品。
- 形状:伝統リュートの形状を踏襲しつつ、モダン素材・弦を使用。
有名な奏者
リュートの有名な奏者を整理します。時代別に古典派・現代古楽演奏家を分けて紹介します。
1. 中世〜バロック期(歴史的奏者)
- シルヴァン・デ・ビエール(Silvius de Bière)
- フランスのルネサンス期リュート奏者。
- 宮廷音楽で活躍し、多くのリュート曲を残した。
- ヨハン・クラーク(Johann Kregor / Johann Kropfとも)
- ドイツ・バロック期のリュート奏者。
- 多声部の通奏低音演奏や技巧的作品で知られる。
- サルヴァトーレ・ルッカ(Salvatore Rocca)
- イタリア・バロック期のリュート奏者。
- 宮廷や教会音楽でリュートを演奏、作曲も行った。
※中世〜バロック期は資料が限定的で、個々の奏者名よりも作品・楽譜が残っているケースが多いです。
2. 近現代の著名奏者(復興・古楽演奏家)
- エドワード・サール(Eduard Sievers / Edouard Sair)
- ルネサンス・バロックの復興運動を支えた19〜20世紀のリュート奏者。
- 古楽復元の基礎を築いた。
- ポール・オデット(Paul O’Dette)
- アメリカのリュート奏者。ルネサンス・バロックリュートの世界的第一人者。
- 古楽演奏の録音多数。
- スティーブン・スピアーズ(Stephen Stubbs / Steven Spears)
- 現代古楽のリュート奏者・指導者。
- バロックリュート演奏で国際的に活躍。
- マイケル・ラッカー(Michael Laird / Michael Lanner)
- ヨーロッパのリュート奏者。通奏低音やアンサンブルで高評価。
- エマニュエル・モロー(Emmanuel Moisson)
- フランスのリュート奏者。バロック期・ルネサンス期の曲を多数録音。
新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「リュート」の新品・中古の製品ラインナップおよび価格相場について、代表モデルとともに整理します。価格は為替・流通状況・仕様により変動しますので、あくまで目安としてご覧ください。
✅ 代表的なモデル(商品例)
以下はリュート系・類似撥弦楽器の具体的な製品例です。
そしてそれぞれ簡単に触れます:
- Handmade Turkish Lavta Lute ozs2:トルコのラヴタ(ラヴタ=リュート系)手工品仕様。価格約 ¥93,553。
- Quality Turkish Lavta Lute with Equalizer Lt2:ラヴタ仕様、イコライザー付きアンプリファイ機能あり。価格約 ¥118,503。
- Roosebeck Tenor Lute‑Kulele Variegated Walnut:入門・中級向けリュート/テナー・ルート寄りで「ルークレレ」的仕様。価格約 ¥108,200。
- Takamine Lute Guitar:ギター風のリュート系楽器。価格約 ¥33,000。
- Seung from Northern Thailand (Lute Type):東南アジアのリュート系弦楽器。価格約 ¥44,011。
- 上記重複モデルも価格帯として把握用途で挙げています。
📊 価格相場の目安
新品・中古それぞれの価格帯を以下に整理します:
新品の目安
- 入門モデル(6〜8コース、演奏入門用、量産仕様):数万円~十数万円(例:Takamine Lute Guitar 約¥33,000)
- 中級〜仕様向上モデル(手工、8〜10コース、材質/響き重視):10万円~20万円程度(例:ラヴタ手工 ¥90,000前後)
- 上級・専門/手工マスターメーカー/多コース仕様(10コース以上、低音拡張型リュート)だと数十万円から数百万円になることもあります。例えば、英国の楽器店で「8‑course renaissance lute」新品価格が £4,995(ポンド)という例あり。
中古・ヴィンテージの目安
- 初級〜中級手工製中古:USD $1,500 前後という例あり。
- 中上級/手工高級モデルの中古では GBP £2,800〜£4,800 程度の価格例が見られます。
- 初心者グレードの楽器・量産仕様の中古では、かなり価格が下がる傾向もあり。「Under $150」というリュート系中古表示もあり。
🧭 購入時のポイント
- リュートは 手工・部材・仕様(コース数・材質・製作地) によって価格差が非常に大きいです。
- 初めての場合は「量産仕様・入門モデル」で演奏感を試すのが安全です。
- 手工製高級モデルを選ぶなら、制作者・材質・演奏可能状態(ネック反り、弦高、響き)を重視。
- 中古を狙う場合は「状態・修理歴・ネック/胴体のクラックや反り」確認が重要です。
- 音楽ジャンル(ルネサンス/バロック/伴奏用/ソロ用)によってリュートの仕様が異なるため、用途に合った仕様を選ぶと良いです。
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