ファゴットは演奏でダブルリードで音を出す、独特な音色が特徴の低音の木管楽器。オーケストラで使われる楽器の一つで、16世紀くらいに生まれたと言われています。ファゴットという名前は、フランス語で「束ねられた2本の木」を表すファゴッテに由来するといわれています。
起源と歴史
ヨーロッパでこの楽器は生まれました。全体で同じ役割の仲間にはトロンボーン、トランペット、ホルン、フルート、クラリネットやオーボエなどの担当がいます。一番斜めにして吹く楽器です。テナーやコントラファゴットもあります。弦楽器やボーカルと共演することも多いです。
1. 起源
- ファゴットは木管楽器の低音域を担当する二重簧楽器
- 16世紀ヨーロッパに登場した低音木管楽器が起源
- ドゥルシアン(Dulcian):初期の低音リード楽器、胴体が折り返し構造
- シャーム(Shawm):中世・ルネサンス期の管楽器で、ファゴットの原型に影響
- 名前の由来
- イタリア語で「ファーゴット(Fagotto)」は「小束の棒」を意味し、楽器の管の束を表す
2. 17世紀〜18世紀(バロック期)
- ファゴットはバロックオーケストラに導入
- 初期バロックファゴットはドゥルシアンから発展し、2〜3本の鍵を装備
- 主に低音の伴奏・通奏低音(バスライン)を担当
- 作曲家例:ヨハン・セバスティアン・バッハ、アントニオ・ヴィヴァルディ
3. 18世紀後半〜19世紀(古典〜ロマン派)
- 鍵の数が増加、指使いや音域が拡大
- フランス・ドイツ・イタリアで異なる製法が発展
- ドイツ式(ヘッケル式)
- フランス式(ビュッフェ・クランポン式)
- オーケストラでの役割は低音域・中音域の旋律や和声補強
4. 19世紀後半〜現代
- 鍵・管体の改良で演奏性・音域がさらに拡大
- オーケストラや吹奏楽で不可欠な低音木管楽器となる
- ソロ楽器としての作品も増加
- 作曲家例:カミーユ・サン=サーンス、リヒャルト・シュトラウス
- 現代ではオーケストラ、室内楽、ソロ、映画音楽など幅広く使用
開発会社
現在世界では多数のファゴット製造メーカーが存在します。
| 社名 | 国 | 特徴 |
| Amati | Czech | チェコの管楽器総合メーカー。高い性能が特徴のメーカー。 |
| Adler | Germany | バスーンメーカーの中で最も多い生産本数を誇っている。 |
| Puchner | Germany | 手強い癖のある楽器との評がある。 |
| Fox | United States | 初心者向けからプロ向けまでのいろいろなタイプのファゴットを開発。 |
| Haeckel | Germany | 超高級品を作るメーカー。 |
| YAMAHA | Japan | ヤマハバスーンは、管体が肉厚で重圧な響きが魅力。 |
| Mohren Howell | Germany | プロ奏者からの指示が厚いメーカー。 |
特徴と構造、サイズ
1. 音色
- 木管楽器の低音域担当
- 音色は柔らかく深みがあり、温かい低音から明るい高音まで表現可能
- オーケストラでは低音補強や旋律の中音域を担当
- 二重簧のため、哀愁やユーモラスな音色も出せる
2. 演奏スタイル
- 座って演奏することが一般的
- 左右の手で鍵(キー)操作
- 口元の二重簧(リード)で息を吹き込み、音を出す
- 音域はおおよそ B♭1(低いシ♭)~E5(高いミ)
🛠 構造
| 部位 | 特徴 |
|---|---|
| 管体 | 約4メートルの木管を折り返し構造でコンパクト化、メープルやグラナディラなど木製 |
| 二重簧(リード) | 口元に取り付け、息を吹き込むことで振動して音を出す |
| ブーレル(口管) | リードを接続する細い金属管 |
| 鍵(キー) | 左右の手で操作、音程や装飾音をコントロール |
| ベル(開口部) | 管の先端、音を放出する部分 |
📏 サイズ
- 全長(組み立て前の直線換算):約 2.5〜3.0 m
- 折り返し後の高さ:約 1.3〜1.4 m
- 重量:約 1.5〜2.5 kg
- 管径:数 cm で音域や音量を調整
種類について詳細
「ファゴット(Bassoon)」の種類について整理します。ファゴットは製法や音域、用途によっていくつかのタイプがあります。
1. 標準(コントラバスを除く)ファゴット
- 構造:折り返し管(約2.5〜3 m)、二重簧、通常25〜28キー
- 用途:オーケストラ・室内楽・ソロ演奏
- 音域:B♭1 〜 E5程度
- 特徴:最も一般的で幅広い演奏用途に対応
2. コントラファゴット(Contrabassoon)
- 構造:標準ファゴットの約2倍の長さを折り返してコンパクト化
- 音域:B♭0 〜 G3程度(標準ファゴットの1オクターブ低い)
- 用途:オーケストラで低音補強、迫力ある低音表現
- 特徴:低音が非常に深く、重量も増すため演奏には体力を要する
3. ファゴットの派生型(歴史的/地域別)
- バロックファゴット(Baroque Bassoon)
- 鍵が少なく、装飾音・音色が古典音楽向き
- バロックオーケストラで使用
- フランス式ファゴット(Buffet-style)
- フランス伝統の鍵配置、音色が柔らかく明るい
- ドイツ式ファゴット(Heckel-style)
- ドイツ・オーストリア系の標準仕様、低音豊かで現代オーケストラ向き
4. 初心者向け/学生モデル
- 材質は木製または樹脂製
- 軽量で扱いやすく、音量控えめ
- 音程や操作性を重視し、価格は比較的手頃
💡 まとめ
| 種類 | 音域 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 標準ファゴット | B♭1〜E5 | 最も一般的、演奏幅広い | オーケストラ、室内楽、ソロ |
| コントラファゴット | B♭0〜G3 | 超低音、重量増 | オーケストラ低音補強 |
| バロックファゴット | 標準より狭い | 鍵少なく古典音色 | バロックオーケストラ |
| フランス式ファゴット | 標準範囲 | 柔らかく明るい音色 | オーケストラ・室内楽 |
| ドイツ式ファゴット | 標準範囲 | 低音豊か、標準仕様 | 現代オーケストラ |

ファゴットの種類ごとの音色
Basoon
通常のファゴットです。
Contrabassoon
ファゴットよりも更に管が長く低い音の出る楽器です。
奏法、難易度
1. 基本奏法
- 二重簧を使用して息を吹き込み、管内の空気柱を振動させて音を出す
- 左手・右手の鍵操作で音程を調整
- 唇と舌のコントロール(アンブシュア)で音色や音量を変化
- 音域の広さ:低音域から高音域まで演奏可能
2. アーティキュレーション
- レガート(滑らか):指をスムーズに押さえて音をつなぐ
- スタッカート(短く切る):舌でリードを軽く止めて音を短く
- トリル・モルデント:装飾音の演奏
- クレッシェンド/デクレッシェンド:息圧を調整して音量を変える
3. 難易度
| レベル | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| 初級 | 簡単な旋律・スケール練習、低音域中心 | ★★☆☆☆ |
| 中級 | 両手の協調、アルペジオや中音域旋律の演奏 | ★★★☆☆ |
| 上級 | 装飾音、音程の微妙な調整、高音域演奏、オーケストラ曲対応 | ★★★★☆ |
| プロフェッショナル | 即興演奏、ソロ作品、音色・表現力の完全掌握 | ★★★★★ |
ポイント
- 二重簧の管理が演奏の中心:リードの調整や唇の使い方が重要
- 息のコントロールで音色・音量・表現を変化
- 低音域は比較的出しやすいが、高音域は安定させるのが難しい
有名な奏者
1. 世界的に著名な奏者
- ファン・デル・メル(Heinz Holliger)
- スイス出身
- ソロ奏者として現代音楽・古典音楽双方で活躍
- 作曲家としても知られ、演奏技術・表現力に優れる
- ファン・デ・モレン(Klaus Thunemann)
- ドイツ出身
- オーケストラ・ソロで幅広く活躍
- 教育活動も精力的に行い、後進の指導に貢献
- ブライアン・ファーガソン(Brian Ferneyhough)
- 現代音楽における高難度作品の演奏で有名
2. 日本で著名な奏者
- 井上仁(Hitoshi Inoue)
- 日本フィルハーモニー交響楽団などで活躍
- オーケストラ奏者として安定した低音・中音域の演奏
- 長谷川義史(Yoshifumi Hasegawa)
- 国内オーケストラでソロ演奏も担当
- 指導者としても活躍

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「モーレンハウエル プロフェッショナル ファゴット」を含む、ファゴットの新品・中古の製品ラインナップと価格相場を整理します。用途(学生・中級・プロ用)、材質(樹脂・木製)、ブランド(学生モデル〜名門ブランド)に応じて価格に幅があります。
🎯 製品ラインナップ(新品・参考モデル)
以下のモデルは新品または国内販売モデルとして確認できた例です。
モーレンハウエル プロフェッショナル ファゴット:木製プロ仕様モデル。価格例として 約 ¥3,212,000 が確認されています。
ヤマハ ファゴット スーパーボーカル:国内ブランドの上級・中級モデル。価格例 約 ¥143,000(国内表記)あり。
プロのファゴット 木管楽器プロフェッショナルCトーンメイプルボディ銀メッキキー:仕様はメイプルボディ・銀メッキキー付き。価格例 約 ¥290,786。
その他、入門書籍・楽譜など関連用品もあり、完全に「楽器本体」ではないが購入時の比較資料として参考になります。
📊 価格相場の目安
新品・中古ともに幅がありますが、以下が現時点での相場の参考値です。
| グレード | 新品価格の目安 | 中古価格の目安 |
|---|---|---|
| 入門/学生モデル | 米ドルで “under $5,000” 程度とされる。 | 中古でも “about $2,000” 程度から。 |
| 中級モデル | 数千〜一万ドルクラス。素材や鍵数増加で価格上昇。 | 中古で学生・セミプロ仕様として数千ドル〜の出品あり。 |
| プロフェッショナル木製・高名ブランド | 木製・手工品仕様で十万ドル以上もあり得る。 | 中古市場で数万ドル〜数十万ドルのモデルが出品されています(例:Heckel ブランド) |
特に「新品リスト価格は $5,000 未満〜$20,000 超」という記載があります。
✅ 購入時のチェックポイント
- 材質(木製 vs 樹脂) → 木製は音色優位だが環境変化に弱くメンテナンスが必要。
- ブランド・仕様(鍵の数、装飾、カスタム仕様) → 高級モデルほど仕様・ブランドで価格が跳ね上がる。
- 補修歴・状態(中古購入時) → 管体の割れ・鍵の摩耗・修理歴が価格と将来的な費用に影響。
-用途(学生かプロか)に応じた仕様選び → 入門用は耐久性・操作性重視、プロ用は音質・表現力重視。
-アクセサリー・維持費用も考慮。特に木製モデルでは環境対策(湿度・温度)や定期調整が必須です。
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