トルコタンブールはトルコの擦弦楽器のロングネックリュートです。この楽器には長いフレットの付いたネックと、バンジョーに似たスキンまたはアクリルのヘッドで前面が覆われていることが多い丸い金属または木製のサウンドボックスがあります。タンブールの一種で、チェロの弓に似た弓で演奏され、ハンドルは地面に垂直にして演奏します。トルコではとても知られている楽器で、伝統音楽で使われる楽器です。
起源と歴史
トルコでこの楽器は生まれました。トルコと言えばイスタンブールですがこの楽器も人気。観光とともに楽しみましょう。
1. 起源
- 名称の由来:
「タンブール(tanbur)」という名称は、ペルシア語の tunbur / tanbur に由来し、さらに古代メソポタミアの弦楽器「パンター(pantur)」や中央アジアの「コプズ(kopuz)」と関連があるとされます。 - 地域的起源:
主にトルコやオスマン帝国圏で発展したリュート系の長頸弦楽器。 - 時代背景:
15世紀頃までに現在の形に近いタンブールが登場し、オスマン宮廷音楽や宗教音楽(スーフィー音楽など)で使用されるようになりました。
2. 歴史的発展
- オスマン帝国期
- 宮廷音楽(クラシック音楽)で主要楽器として使用
- 「マカーム(Makam)」体系に基づく演奏で、微分音や独特の音階表現に対応
- 撥(mizraplı)や弓(yaylı)による演奏スタイルが発展
- 近現代
- 19〜20世紀にかけて、タンブールは伝統音楽家によって洗練され、演奏技術も高度化
- 弓奏型(yaylı tanbur)が出現し、長尺のネック・可動フレット・豊かな胴体による持続的な音が可能に
- 現在もトルコ古典音楽、宗教音楽、即興演奏(タクシム)で重要な役割を担う
3. 文化的意義
- オスマン音楽体系:宮廷音楽・宗教音楽・民俗音楽まで幅広く登場
- 即興演奏(タクシム):微分音や独特の音階を用いた即興演奏が可能
- 伝統の継承:今日もトルコ国内の音楽家や音楽学校で演奏技術が継承されている
特徴と構造、サイズ
トルコ・タンブール(Turkish Tanbur)の特徴・構造・サイズについて整理します。
1. 特徴
- 長いネックと梨型または半球形の胴体を持つリュート系弦楽器
- **微分音(セミトーン以下の音程)**に対応できるため、トルコのマカーム音楽に不可欠
- 奏法の種類:
- 撥奏型(Mizraplı Tanbur):べっ甲や木の撥で弦を弾く
- 弓奏型(Yaylı Tanbur):弓で弦を擦ることで持続音を出す
- 豊かな倍音と持続音が特徴で、即興演奏や宮廷音楽に適している
2. 構造
- 胴体(テクネ/Tekne)
- 梨型または半球形
- 17〜23枚(またはそれ以上)の薄い木板を組み合わせて形成
- 音響の中心であり、共鳴の響きを生み出す
- 響板(ゴーシュ/Göğüs)
- 薄い木板で構成、直径約30〜35 cm
- 弦振動を増幅し、音の豊かさを作る
- ネック(サップ/Sap)
- 非常に長く、指板上に可動式フレットが多数配置
- 微分音や特殊音階を演奏可能にする
- 弦とチューニング
- 3対弦+低音単独弦の構成が典型
- チューニングは演奏者・曲によって柔軟に変更可能
3. サイズ
- 胴体直径:約30〜35 cm
- ネック長:約100〜110 cm(特に弓奏型は長め)
- 全長:140〜150 cm前後
- 重量:約2〜3 kg前後
- 抱えて演奏するスタイルが一般的で、立って演奏することもある
種類について詳細
トルコ・タンブール(Turkish Tanbur)の種類・バリエーションについて整理します。
1. 奏法による分類
タンブールは大きく奏法の違いによって種類が分かれます。
1-1. 撥奏型(Mizraplı Tanbur)
- 特徴:撥(mizrap)を使って弦を弾く
- 用途:トルコ古典音楽、宮廷音楽、民俗音楽
- 音色:明瞭でリズミカル、倍音豊か
- 奏法の例:ストローク、アルペジオ、装飾音を多用
1-2. 弓奏型(Yaylı Tanbur)
- 特徴:弓を使って弦を擦る
- 用途:スーフィー音楽や即興演奏(タクシム)
- 音色:持続音が豊かで幽玄、微分音表現が可能
- 奏法の例:長音の維持、微妙な音程の変化、ビブラート
2. 胴体の形状による分類
- 梨型(Pear-shaped)
- 伝統的なスタイル
- 胴体が丸みを帯び、豊かな低音と中音域の響き
- 半球形(Semi-spherical)
- 弓奏型や一部古典的モデルに見られる
- 音の持続性が高く、深い共鳴音
3. ネック・フレットのバリエーション
- 可動フレット型
- 軟らかい素材(ガット・革)や木で作られ、微分音調整可能
- マカーム音階に応じてフレット位置を変更できる
- 固定フレット型
- 撥奏型の入門用や現代改良モデルに採用
- 音程固定、演奏は比較的簡単
4. 弦の構成による分類
- 3対弦+低音単弦型(典型的)
- 中古から上位モデルまで幅広く使用
- 弦の材質はガット(羊腸)やナイロン、現代ではスチールも
- 4〜5対弦型(特殊モデル)
- 低音域の豊かさを追求したもの
- 現代アレンジや即興演奏向け
5. 現代モデルと改良型
- 小型・軽量化モデル
- 家庭や教室向けに製造
- 弓奏型は持ち運びを考慮して短めネック
- 電化モデル(ピックアップ搭載)
- 現代音楽やステージ演奏向け
- 撥奏型・弓奏型の両方に対応可能

トルコタンブールの曲
トルコタンブールは伝統的なトルコ音楽で使われることが多いです。中東地域の伝統音楽でも使われます。
奏法、難易度
トルコ・タンブール(Turkish Tanbur)の奏法と難易度について整理します。
1. 奏法
1-1. 撥奏型(Mizraplı Tanbur)
- 使用具:撥(mizrap)を右手で使用
- 右手奏法
- 単音弾き(メロディー)
- アルペジオ(和音分散弾き)
- ストロークや装飾音(グリッサンド、トリルなど)
- 左手奏法
- 長いネック上の可動フレットで微分音を押さえる
- 音階はマカーム体系に沿って演奏
1-2. 弓奏型(Yaylı Tanbur)
- 使用具:弓(木・馬毛)
- 右手奏法
- 弓で弦を擦り持続音を出す
- ビブラートや音量変化で表現力を拡張
- 左手奏法
- ネック上のフレットで微妙な音程を調整
- 即興演奏(タクシム)で滑らかな音の移動
1-3. 共通の表現技法
- マカーム(Makam)音階に基づく微分音の表現
- 装飾音(トリル、グリッサンド、モルデント)
- 即興演奏での音色・テンポの微調整
2. 難易度
初心者向け
- ネックが長く、フレット数が多いため左手の指の届かせ方や押さえ方が難しい
- 撥奏型なら固定フレットモデルで始めると比較的習得しやすい
中級者以上
- 可動フレットや微分音を活かすために精密な指使いと耳の訓練が必要
- 弓奏型は弓の角度や圧力、左手とのタイミングが重要で、難易度がさらに上がる
- マカーム体系の理解と即興演奏の能力も要求される
上級者
- 表現力・音色のコントロールに習熟する必要がある
- 伝統的な装飾音や即興演奏(タクシム)を自在に使えるレベルが目安
3. 練習のポイント
- 右手の撥や弓の操作に慣れる
- 左手で微分音を正確に押さえる練習
- マカーム音階や装飾音の理解
- 即興演奏を取り入れて表現力を高める
有名な奏者
トルコ・タンブール(Turkish Tanbur)の有名な奏者について整理します。
1. トルコ国内の著名奏者
1-1. Necdet Yaşar(ネジェデット・ヤシャル)
- タンブール奏者・作曲家・教育者
- マカーム体系の研究者で、オスマン古典音楽の伝統を伝承
- 撥奏型タンブールを用い、演奏と教育活動で世界的に知られる
1-2. Mesut Cemil(メスート・ジェミル)
- オスマン宮廷音楽の伝統を受け継ぐ名手
- 撥奏型タンブールによる正確かつ美しい音色で知られる
1-3. İsmail Dede Efendi(イスマイル・デデ・エフェンディ)
- 歴史的には18〜19世紀の作曲家・演奏家
- タンブール演奏を通じてマカーム音楽を体系化
- 古典オスマン音楽の重要人物
2. 弓奏型(Yaylı Tanbur)の代表奏者
- Mehmet Cemal Yeşilçay
- 弓奏型タンブールの名手
- 持続音と微分音の表現を駆使し、スーフィー音楽や即興演奏で活躍
- その他:現代トルコ音楽界では即興演奏(タクシム)に秀でた奏者が多数

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「Turkish Tanbur(トルコ・タンブール)」の 新品および中古の製品ラインナップと価格相場について、現状入手可能なデータを元に整理します。日本円換算はざっくり「US $1≈¥160〜¥180」で換算しています(為替によって変動)。
🎯 製品ラインナップ例
上記の製品リストから、代表的なモデル・アイテムをいくつか紹介します:
- Turkish Yaylı Tanbur By Zeynel Abidin CYT‑621S:価格表示「¥88,169」出品。新品ではこのあたりの価格帯のモデルあり。
- Turkish Yaylı Tanbur By Zeynel Abidin CYT‑211:同じく「¥88,169」出品。こちらも新品/中級仕様の参考。
- Ottoman Tanbur: The Long‑necked Lute of Ottoman Art Music (book):書籍ですが、タンブールの資料として流通。価格例として「¥9,919」。製品としての楽器とは少し異なりますが、ラインナップの一部として参考になります。
- String Set for Turkish Yaylı Tanbur:消耗品・ストリングセット。価格「¥4,364」。楽器本体ではないですが、楽器運用には必須アイテム。
- Asbark Tanbūr (Turkey):廉価モデルまたは彫刻・装飾入りモデルとして「¥2,090」という非常に低価格表示あり(ただし楽器本体としての仕様・材質・品質がどこまでか要確認)。
- THE Method of Turkish Tanbur (instruction book):教材として「¥6,235」。楽器本体以外ですが、購入検討時の費用項目として抑えておくと良いでしょう。
📊 価格相場の目安
インターネット上の販売データから、大まかな新品・中古の相場を整理します。
新品
- 専門店の販売例:例えば「Professional Turkish Tanbur HST‑142」で US$ 999.00(約¥160,000〜¥180,000前後) の価格表示あり。
- 他にも「Professional Turkish Tanbur by Master Mustafa Gencer」で US$ 1,499(約¥240,000〜¥270,000) の表示あり。
- よって、新品の本格モデル(材質・仕様も高級)は「おおよそ ¥150,000~¥300,000+」のレンジが見えてきます。
- もっと廉価仕様(材質がシンプル/ブランドが控えめ)では、US$ 500〜¥90,000前後という記録もありますが、詳細仕様の違いに要注意。
中古
- 中古・輸入市場では「Buy It Now etc」で“Brand New”近い状態でもUS$ 1,299(約¥200,000〜¥230,000)という例があります。
- オークションサイトを見ると、非常に安価な出品もありますが、仕様・材質・状態がかなり異なります。 eBay
- 中古を安心して購入するには、「材質(ボウル材・ネック材・響板材)」「フレット状態」「ネックの反り・修理歴」などを慎重に確認する必要があります。
- 中古相場としては「¥100,000~¥200,000前後」が一つの目安と言えそうです。
📝 購入検討時のポイント
- 材質・仕様によって価格が大きく変わる:ボウル(胴体)の材や響板の木材、ネック材、フレット数、装飾など。
- 奏法別バリエーション(撥奏型 vs 弓奏型)によっても価格&用途が異なる。
- 輸入品が多いため、送料・関税・修理・調整などランニングコストも考慮。
- 試奏・状態確認が難しいことが多いため、写真・動画・セラー信頼度を重視。
- 日本国内入手が少ない可能性あり、海外発注・輸入手続きも視野に入れる。
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