世界の音楽市場ランキングなどを見ると、日本は2位という順位になっています。外国人からすると、日本はとても巨大なマーケットを持っているという認識かもしれませんが、日本人からすると非常に違和感を感じる人が多いです。実は日本の音楽市場は世界2位でありながらも、音楽離れが進んでいる国でもあるのです。
日本はなぜ世界2位なのか?
日本はなぜ世界2位なのか?という疑問を持つ人はとても多いです。それではなぜこのような結果になっているのでしょうか。それには以下のような理由があるのです。spotifyなどのコンテンツからデータでファンは購入ができますが売り上げは毎年落ちています。ビジネスでの伸びはマイナスで悪い影響出ており仕事で楽曲を製作するクリエイターも苦しんでいます。全体のチャートを分析しても会社の収益は新しいデジタル化に本当についていけず、いまだにフィジカルのCDに頼っています。アジアで大きな変化が韓国や中国で起こっていても日本では起こりません。世界中ではユーザーの楽曲、メディアの購入にあたってサブスクに移行しています。
音楽CD・DVDの売り上げが70%を占める
音楽CD・DVDなどが日本ではとてもよく売れています。そして、音楽ダウンロード・ストリーミングなどの配信の売り上げはとても低く、アメリカやドイツ、イギリスなどの他の先進国とは逆転現象が起こっています。世界はDLサブスク一色に対し、日本は未だパッケージ市場に支えられています。日本ではCDを販売すると、1枚3000円で売ることができます。そしてデジタル販売では1曲100円です。日本ではCD売り上げが圧倒的な状況で、売上額を大きく稼げる市場になっているのです。
アイドル文化
日本では下火になってきているものの、アイドル文化がとても強い国です。アイドルと握手をしたいから、CDやDVDを大量に買いあさるオタクが日本にはとても多くいます。一人のオタクがCDを100枚、200枚と大量に買っていく文化は日本固有の物でしょう。これによって大量の売り上げが計上され、音楽業界は潤います。日本のヒットチャートはほぼアイドルばかりの状況が10年以上続いているという有様です。一部の狂信的なオタクが売り上げに貢献するため、一般人からすると日本が世界ランキング2という結果に違和感を覚えるのです。
洋楽の売り上げ
日本の音楽業界はとても大きいですが、これはすべてJPOPの売り上げではありません。以前三大レーベルのマーケティング担当者と会話をすることがありましたが、日本市場のうち売り上げの4割程度は洋楽によるものだと言っていました。日本には一定数のアメリカ、イギリス音楽ファンがいます。つまりJPOPの売り上げがすごいから世界2位というわけでもないのです。JPOPはむしろ、外国では冷めた目で見られており、全く外国人には受け付けられない音楽と認識されています。日本の音楽業界は外国進出に失敗している現実があります。
日本特有の音楽文化とその影響
日本特有の音楽文化は、長い歴史や独自の社会構造、宗教・祭り・地域文化と深く結びついており、国内外の音楽やライフスタイル、心理面にも影響を与えています。以下に整理しました。
1. 日本の伝統音楽文化
雅楽・能楽・民謡
- 雅楽:宮廷音楽。尺八や笙(しょう)、篳篥(ひちりき)など独特の楽器使用
- 能楽:舞台芸術と音楽が融合した伝統芸能
- 民謡:地域ごとの労働歌や祭り歌。生活リズムや地域文化に密着
影響
- 日本人特有の間(ま)や静けさの美意識を育む
- 音楽のテンポ感や音階に日本人の感情表現の傾向が反映される
2. 邦楽(日本ポップス)と近代音楽文化
- 戦後のジャズ・ロック・フォーク・演歌などの流入により、独自の融合文化が誕生
- 演歌:日本独自のメロディー・節回し。感情表現が独特
- J-POP:海外のポップスやロックを取り入れつつ、日本語ならではのリズム・韻や歌詞構造を重視
影響
- 日本人の情緒表現や歌唱法に独自性が生まれる
- 社会的イベント(カラオケ文化など)と密接に結びつく
3. アニメ・ゲーム音楽文化
- アニメソング(アニソン)やゲーム音楽が国内外で人気
- キャラクターや物語との結びつきで感情移入を強化
- 音楽産業とサブカルチャー文化の重要な柱
影響
- 若年層の音楽嗜好に大きな影響
- 日本発の「メディアミックス音楽文化」を形成
- 海外オタク文化・音楽市場にも波及
4. 日本特有のリズム・音階感
- 五音音階(陰音階・陽音階)や和音の簡潔さ
- 独特な**「間(ま)」の使い方**や抑揚表現
- 自然音(風鈴、鳥の声、尺八の音など)との融合
影響
- 日本人の心理的感受性(静寂・余韻の価値観)に影響
- ポップスや現代音楽にも微妙な音階・リズム感として継承
5. 社会文化・ライフスタイルへの影響
- カラオケ文化:日本独自の歌唱体験・コミュニケーション文化
- 祭り・神事での音楽:地域の結束や精神文化の形成
- 音楽教育の重視:学校での合唱や器楽教育が一般的
影響
- 社会的・文化的アイデンティティ形成に寄与
- 音楽と生活・イベントが密接に結びつくことで、心理面や社会性にも影響

海外市場との比較:日本の音楽市場の特異性
日本の音楽市場は、海外市場と比較するといくつかの独自性・特異性が際立っています。販売形態や消費者行動、文化的背景などが大きく影響しており、世界でも特異な市場構造を形成しています。以下に整理しました。
1. フィジカル(CD・DVD)市場の強さ
- 日本ではCDやDVDの売上が依然として高い
- 世界ではストリーミングが主流になっている中、日本はフィジカル販売が中心
- 特徴的な要因:
- アイドルグループの握手券や特典付きCD
- 限定版・コレクション価値による消費刺激
- 海外市場ではデジタル販売・ストリーミングが圧倒的多数
→ 日本市場は「物理的商品+ファン体験」が重要
2. アイドル・キャラクター音楽文化の独自性
- アイドルグループ(AKB48、乃木坂46など)や声優アーティストが強い
- キャラクター・声優音楽やアニメソング(アニソン)が市場規模を支える
- 海外ではアニメ音楽やキャラクター音楽はニッチ市場
→ 日本市場はサブカルチャーと音楽市場が密接に連動
3. ライブ・ファン参加型市場の活発さ
- コンサート・握手会・リリースイベントが重要な収益源
- ファンが直接アーティストと関わる体験型マーケティングが盛ん
- 海外はオンライン視聴・大規模コンサート中心で、個別ファン体験は限定的
→ 日本市場は「ファン体験」が売上に直結する構造
4. 音楽配信・ストリーミングの遅れ
- SpotifyやApple Musicなどは普及しているが、海外に比べると遅い
- ダウンロード販売・CD購入が根強く残っている
- 日本人は音源を「所有」する文化が強い傾向
→ 海外市場はストリーミング中心、日本市場は「所有+体験型消費」中心
5. マーケティング手法の独自性
- 限定版販売、イベント連動、特典付き商品などの戦略が主流
- ポイント:
- ファンの収集欲・参加欲を刺激
- 海外では同じ手法は一般的ではない
6. 市場規模と世界での位置付け
- 日本は世界第2位の音楽市場(アメリカに次ぐ)
- 海外市場に比べて:
- 音楽消費者の年齢層は幅広い
- CDやグッズ販売が売上の大部分を占める
- デジタル市場への依存度は低い
日本音楽市場の失敗要因
日本の音楽市場には独自の強みがある一方で、海外市場との比較や技術・消費者行動の変化に対応できず、成長の阻害要因となる面もあります。以下に主要な失敗要因を整理しました。
1. デジタル化・ストリーミングの遅れ
- 海外はSpotifyやApple Musicなどストリーミングが主流
- 日本はCD・ダウンロード中心の消費文化が根強く、ストリーミング収益への移行が遅い
- 結果:海外市場との競争力低下、国際的な売上拡大の機会損失
2. 海外市場への依存度の低さ
- 国内市場依存が強く、海外進出が限定的
- アイドル・アニメ音楽は国内では人気だが、海外展開は成功例が限られる
- 結果:グローバル市場での認知・収益拡大が限定的
3. 特典・限定版依存型の販売戦略
- CDやグッズに握手券や特典を付けて売上を伸ばす方式が中心
- 実質的な音楽コンテンツの価値よりもイベント・特典依存
- 結果:
- 音楽そのものの競争力が低下
- ファン層の偏り、長期的成長の持続性が弱い
4. 若年層の音楽離れ
- スマホ・動画コンテンツ・ゲームに時間が奪われ、CD購入層が減少
- デジタルコンテンツ消費への対応が遅れ、特に若年層への訴求力が低下
5. 市場の保守性・変化への対応の遅さ
- 新しいジャンルや国際的トレンドへの対応が遅い
- 音楽配信・グローバルマーケティングへの投資不足
- 結果:海外市場での競争力が低く、国内市場依存のリスク増大
6. アーティスト育成・制作費の偏り
- アイドル・既存メジャーアーティストに資金集中
- インディーズや多様なジャンルへの投資が少ない
- 結果:多様性の欠如、長期的な市場活性化が難しい

日本音楽市場の未来
日本の音楽市場の未来は非常に厳しいと言われています。これには以下のような理由が挙げられます。グローバルな環境に馴染めず、海外市場の音楽コンテンツとは全く違う様相になっており厳しいです。そのためスポンサーの支援も受けられず、市場の規模も全盛期の半分より下まで落ちています。
音楽を聴かない人が増加
日本では音楽業界が不況という事実はすっかり浸透しました。それもそのはずで音楽を聴かない人が増えているのです。2010年代の調査によると、30代では約32%、40代と50代では約43%、60代では約47%が完全な無関心層になっており、近年無関心になっている人たちが急増しているのです。無料で楽しむ人が増えているわけでもないため、今後音楽業界はかなり苦しい展開が予想されます。特にJPOPは国内でしか需要がないジャンルであるため、生活できないアーティストも増えていく可能性があります。
下降トレンド
日本の音楽業界は1990年代を最後に売り上げが常に落ちています。短期的に見れば、一時的に前年度から売り上げが上がっている年もありますが、長期的な目線で見ると常に売り上げは下がっています。外国進出も失敗しており、日本経済自体も斜陽と言われていることから、音楽業界も厳しい未来が待っています。恐らく10年後にはイギリスやドイツ、さらにはフランスなどにも市場規模で抜かれている可能性が考えられます。
世界経済の状況と乖離
日本の音楽産業は現代の世界経済とは乖離しています。世界経済はもはやほとんどの地域でつながりを持っており、ほぼすべての産業がグローバル展開をしているのです。そんな時代の中で音楽産業だけが鎖国状態になっており、時代に取り残されてしまっているのです。日本経済がこれからも発展するのであればそれでも問題はありませんが、実際は30年以上経済成長していないのが日本であり、厳しいことは間違いありません。レコード会社などもこれといった戦略はなく、今後も厳しい展開が予想されます。
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