世界の音楽市場は日本を除いて、デジタルストリーミングやダウンロード販売が主流になっています。音楽サブスクリプションがメインになっており、多くの国でもはやメインになっていますが、イギリスでは近年カセットテープやCDの販売台数が増えてきているのです。近年のアナログレコード人気に続いて、カセットテープも人気になっています。
イギリスの音楽市場
英国レコード産業協会(BPI)の報告によると、英国の録音音楽消費量は年間で8.2%増加。2020年のUKでは、2019年と比較して20%以上の増加となる1390億回のオーディオストリームが記録されています。1億回以上の再生を記録するアーティストは約200組とされています。アルバムセールスについては、1億5500万枚相当の売り上げを記録し、絶好調を維持しています。イギリスの音楽市場は現在世界3位ですが、将来的に日本を追い抜いていくことは確実とも言われています。ちなみにイギリスの音楽消費全体の5分の4をストリーミングが占める状態になっており、デジタル化が進んでいることが裏付けられています。しかしそんななか、フィジカル媒体の売り上げも伸びているというのです。もはや過去の遺物と言われているようなアナログ・レコードやカセットテープなどの販売台数が増えているというのです。イギリスでは何が起こっているのでしょうか。
アナログレコード
英国におけるアナログ・レコードの売り上げは14年連続の増加を示しています。CDの売り上げ枚数は全体の10.3%に相当。BPIによると、2021年に購入されたCDは1400万枚以上、アナログレコードアルバムは30年ぶりの高水準となる530万枚を記録し、フィジカルフォーマット購入の4分の1以上を占めたと報告されています。イギリスで2021年に最も売れたアナログレコードのアルバムは、昨年ABBAがリリースした復帰作『Voyage』です。
カセットテープ
イギリスでは2021年のカセットテープ販売台数が18万5000本を超え、2003年以来最高の売上台数を記録しました。BPI(英国レコード産業)の報告によると、イギリスにおける2021年のカセットテープ販売台数は19%増加。カセットテープは2000年代に入りもはや、誰にも需要のない無意味な物理媒体と評する人もたくさんいました。しかしここ2,3年でカセットテープの販売台数は突如増え始めています。BPIによるとアルバムセールス全体でカセットテープが占める割合は0.2パーセントにすぎないため、セールスに対する影響力は低いですがイギリス人の間で回帰現象が起こっているとも言われています。
カセットテープとは?
現代の若者はカセットテープという存在を知らない人も多いかもしれません。カセットテープはオランダの電機メーカーであるフィリップス社が開発したオーディオ記録媒体で、1962年に開発されました。20世紀後半の音楽市場を支えた記録媒体で、中年や高齢者にはとても馴染みのあるものでしょう。コンパクトカセットはハーフ、ハブ、テープ、リーダーテープ、スリップシートで構成されテープはハーフもしくはシェルと呼ばれるプラスチック製ケースの中に、ハブというリールに巻かれた状態になっています。録音は電気信号を録音ヘッドで磁気に変換しヘッドギャップから放射させ、そこに磁性体を塗布した磁気テープを接触させ磁気的に記録するというもの。一時はこのカセットテープが音楽記録媒体における主役を担っていましたが、CDやMDなどの台頭により、衰退しました。
アメリカでもアナログブーム再来?
カセット、CD、そしてデジタルへと、音楽を聴く媒体は変化していきました。近年はSpotifyなどの普及もあり、ストリーミングで音楽を視聴することが一般的。しかしアメリカでもイギリスと同じ現象が起こるかもしれません。全米レコード協会の報告によると、CDの売り上げが急落している一方で、フィジカルでの楽曲リリースの3分の1以上を「レコード」が占めていると発表しているのです。アナログコンテンツへの回帰が示唆されているというのです。音楽ファンは、もしかしたらフィジカル媒体に対して強い思いがあるのかもしれない?
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