トラップミュージックとは? 特徴と歴史についておすすめ音楽ジャンルの最新版を解説。トラップミュージックは2000年代以降に登場している音楽ジャンルの一つです。ヒップホップのサブジャンルの1つで世界的にも流行している音楽です。そのため多くの一般人にも認知されているため、広く浸透しています。しかしこのトラップミュージックはいったいどのようにして生まれてきたのでしょうか?その歴史も探っていきます。
トラップミュージックとは?
トラップミュージックとはヒップホップから派生したジャンルの一つです。その派生したジャンルに対して、イギリスのダブステップの要素を取り込んでおり、ダンスミュージックとヒップホップのスタイルが融合しています。このジャンルは1990年代のアメリカにおいて誕生したと言われているジャンルで重低音を強調したビートに、トラップ特有のハイハットが特徴の音楽です。
派手な電子音を加えており、ダンス的な要素が強くなっています。ダンスミュージックとして、EDMフェスティバルなどでも流行しており、アメリカだけでなくヨーロッパなどでも流行してきています。
1. 独特のビート
- 重くて太い808ベース(サブベース)
- ハイハットの高速ロール(16分・32分)
- シンコペーション(タメのあるリズム)
- ミニマルなメロディ構成
このビートが“浮遊感と重さ”を同時に作り出します。
2. ボーカル・ラップの特徴
- オートチューンを多用(特に現代トラップ)
- メロディックなラップや歌唱
- ループするフック(中毒性のあるサビ)
3. 歌詞のテーマ
初期はストリートの現実を描いたものが主流でした:
- 貧困・暴力・薬物・生き残り
- ストリート文化やライフスタイル
現在では:
- ラグジュアリー
- 自己表現
- 感情・内省
など幅広い内容になっています。
代表的なアーティスト
初期(2000年代)
- T.I.
- Young Jeezy
- Gucci Mane
→ 「トラップのパイオニア」
現代(2010年代〜)
- Travis Scott
- Future
- Migos
- 21 Savage
- Lil Uzi Vert
→ オートチューン+ドラッギーなサウンドで世界的に普及
世界への拡大
トラップはヒップホップからEDM、J-POP、K-POPまで浸透しています。
- EDMトラップ(DJ Snake、Baauerなど)
- K-POPの“メロディック・トラップ”
- 日本のトラップ(KOHH、Tohji、LEXなど)
トラップミュージックの歴史について
トラップミュージックは1990年代にアメリカ南部のサザン・ヒップホップから興り、2000年代初期にメインストリームで成長し始めました。2000年代の初頭にはYoung Jeezy、Gucci Mane、Boosie Badazz、Young Dolph、Lil Wayne、Rick Rossなどのアーティストがこれらのジャンルで活動していたことから、一般層に普及していき認知されていったのです。
2010年あたりになると、ビルボードチャートでもかなり多数のトラップミュージックが上位に登場するようになり、トラップ専門のプロデューサーであるLex Lugerが絶大な人気を誇りました。
2010年代になると多数のラッパーなどがトラップミュージックを手掛けるようになり、ビルボードチャートの主流ジャンルへと成長していきます。主流の音楽チャートで強い存在感を維持したままになっており、その勢いは全く衰えていません。
非ヒップホップ アーティストに影響を与えていっており、アメリカのポップシンガー、ケイティ・ペリーは、2013年のアルバム『プリズム』からラッパーのジューシー・Jをフィーチャーした「ダーク・ホース」というタイトルの曲をリリースしています。この曲はビルボードチャートで1位になりました。
2010年代後半になると、トラップミュージックはビルボードチャートで1位を取ることも珍しくなくなっています。ラッパーのCardi Bは、2017年に「Bodak Yellow」でビルボードチャートで1位になり、Ariana Grandeは2018年R&B サウンドを維持しながら、4枚目のスタジオ アルバムSweetenerや5枚目のスタジオ アルバム Thank U, Nextにトラップ要素を取り入れました。
どちらも重要かつ商業的な成功を収め、前者はグラミー賞のベストポップボーカルアルバムを受賞し、後者は多数のストリーミング記録を破り、ビルボードチャートで2つのナンバーワンシングルを生み出しました。
【1990年代:誕生前夜(前史)】
トラップミュージックの背景はアメリカ南部、とくにアトランタ周辺のヒップホップ文化にあります。
当時は
- 南部ヒップホップ(Dirty South)
- マイアミベース
- メンフィスのダークなビート
などが存在し、その中で
重いベース・ミニマルなリズム・攻撃的なリリック
といったトラップの原型が生まれていました。
【2000〜2005年:トラップの“誕生期”】
トラップを明確に打ち出したのはアトランタ勢。
▼ 主なパイオニア
- T.I.(自らを「King of the South」と名乗る)
- Young Jeezy
- Gucci Mane
特にT.I.のアルバム
- 『Trap Muzik』(2003)
は「トラップ」という言葉をジャンル名として初めて強く押し出した作品とされます。
この頃は
- ドラッグ売買(Trap house)
- ストリートでの生き残り
といった「トラップ=環境」を歌うリアルなリリックが特徴でした。
【2006〜2010年:サウンドの確立】
プロデューサーがトラップのサウンドを決定づけます。
▼ 重要プロデューサー
- Shawty Redd
- Zaytoven
- Lex Luger
Lex Lugerは
- 荘厳なシンセ
- 重低音808
- 速いハイハットロール
- 軍隊のようなマーチングドラム
という今のトラップのテンプレを形成。
代表曲
- Waka Flocka Flame – Hard in da Paint
- Rick Ross – B.M.F.
この頃、トラップは“南部のスタイル”から
アメリカ全土の主要サウンドへと広まります。
【2011〜2015年:メロディック化・メインストリーム化】
Future や Young Thug などが登場し、
トラップはよりメロディックでドラッギーな雰囲気に進化。
特徴
- オートチューン多用
- 暗く浮遊感のあるビート
- メロディとラップの中間的な歌い方
代表アーティスト
- Future
- Young Thug
- Migos(“トリプレット・フロウ”で世界に影響)
この時期、トラップはヒップホップの主流に。
【2015〜2020年:世界的ブーム】
ついにトラップが世界のポップミュージックを支配。
代表アーティスト
- Travis Scott
- 21 Savage
- Lil Uzi Vert
- Post Malone
- Cardi B
Travis Scott の “Sicko Mode” や
Post Malone のヒット曲が象徴するように、
トラップは「ラップとポップの境界」を壊す存在に。
EDMトラップも世界で人気
- Baauer – “Harlem Shake”
- DJ Snake – “Turn Down for What”
クラブシーンとの融和も急速に進みました。
【2020年代以降:多様化・細分化】
トラップは世界の至るところで独自進化中。
▼ 日本のトラップ(J-Trap)
- KOHH
- Tohji
- LEX
- JP The Wavy など
▼ K-POPでも主要サウンドに
- BTS、BLACKPINKの一部楽曲
- Stray Kids、Aespa などがトラップ要素を使用
▼ ポップ、R&B、EDM、アニメ音楽にも浸透
トラップはもはや「ジャンル」ではなく、
世界標準の音楽スタイルの1つになっています。

有名アーティスト
Travis Scott
アメリカのテキサス州出身のラッパーです。元々貧困層の生まれだった彼は、10代で音楽家になる決意を固めていました。プロになってからはメジャーレーベルと契約しており全米1位を取得した楽曲も出しており、メガヒットが続いているアーティストです。
Waka Flocka Flame
アメリカのニューヨーク州出身のラッパーです。2010年にデビューしてから全米でヒット作を多数量産しています。デビューアルバム『Flockaveli』をリリース。アルバムチャートにて、3万7千枚を売り上げ、初登場6位を記録しています。
Drake
カナダ出身のラッパーです。元々はカナダのテレビドラマに俳優として出演していましたが、ここから音楽家としてもデビューしました。デビューアルバムから8作連続全米1位をを記録しており、有名なラッパーとして知られています。
トラップミュージックの音楽的特徴
トラップミュージックには、ほかのヒップホップとはっきり区別される独自の音楽的特徴があります。
ビート、音色、構造、ボーカル表現など、音楽的な観点から整理します。
■ 1. サウンドの核心:808ベース(サブベース)
トラップといえば、まずこれ。
- Roland TR-808をルーツにした重く長く響くベース
- 超低域(40Hz前後)で“うねる”音
- 曲全体の雰囲気を決定する主役サウンド
特に**スライドする808(808 glide)**は現代トラップの象徴的手法です。
■ 2. ハイハットの高速ロール
トラップの「細かく刻まれたカシャカシャ音」。
- 16分音符・32分音符・3連符の組み合わせ
- ランダムに配置されるハイハットのロール(高速反復)
- ピッチ(音程)を上下させたハイハットも多用
リズムに緊張感や浮遊感を生む重要要素です。
■ 3. スネア(クラップ)の配置
多くのトラップは
スネア=2拍目・4拍目という基本を守りつつ、
- スナップ(指パッチン的音)
- クラップの重ね
- リバーブ強めの深いスネア
などを使って、硬いアタックと空間を作っています。
■ 4. ミニマルなメロディ
トラップではメロディはシンプルで繰り返しが多いです。
- ダークで不穏なコード(短調)
- 2〜4小節の短いループ
- ピアノ、ベル、パッド、シンセが中心
- 空間系エフェクト(リバーブ、ディレイ)を多用
“浮遊感+深み”を作りつつ、主役をボーカルに譲る構造です。
■ 5. 空間の「余白」を大事にしたアレンジ
他のジャンルと比べると、音数は少なめ。
- スカスカとしたミニマルな構成
- ローファイな音色やダーティーな質感
- 打ち込みの空間を活かすミックス
この「余白」が低音やボーカルの存在感を際立たせています。
■ 6. ボーカルの特徴
メロディック+リズミックなラップ
- メロディとラップの中間(“メロラップ”)が主流
- オートチューンがほぼ標準装備
- 繰り返しの多い中毒性の高いフック
リリックの特徴(トピック)
初期は
- ストリート
- ドラッグ
- サバイバル
→ 現代では感情表現、ラグジュアリーなど多様化。

トラップミュージックが社会に与えた影響
トラップミュージックは、単なる音楽ジャンルにとどまらず、ファッション・文化・社会意識・音楽産業など幅広い領域に影響を与えた重要なムーブメントです。
ここでは“社会への影響”を、文化・経済・社会問題・グローバル化の視点から整理します。
■ 1. 若者文化とストリート文化の象徴になった
トラップは、アトランタなどの貧困地域・ギャング文化の中から生まれた音楽です。
若者たちの現実を代弁する音楽として支持
- 貧困、暴力、薬物、閉塞感などのリアルを描く
- 地域や階層に縛られない“自分の声”として共感が広がる
- TikTokやInstagramとの相性が良く、世代を超えて普及
社会的に抑圧されてきたコミュニティからの“主張の場”として、文化的に大きな意味を持ちました。
■ 2. ファッション・ライフスタイルへの大きな影響
トラップの世界観は、ファッションやブランド文化にも強く反映されています。
例:
- バギーパンツ、デザイナーズブランドの多用、チェーン
- ハイブランド × ストリートのミックス文化
- Off-White、Supreme、Balenciaga などの流行に影響
ラッパーが着たアイテムが即トレンドになり、
**“ミュージシャン=ファッションアイコン”**という構図を強力に押し進めました。
■ 3. 音楽業界の構造変化を加速させた
トラップは、音楽産業の仕組みや制作スタイルにも革命を起こしました。
■ ストリーミング時代の中心ジャンルへ
- Spotify・Apple Musicで最も再生されるジャンルのひとつに
- 音楽チャートの中心ボーカルが“歌+ラップの中間”へ変化
■ ビートメーカーの存在が重要に
- Metro Boomin、Zaytoven、Southside などプロデューサーがスターに
- ワンループ中心の制作により、家庭PCとDAWで世界的ヒットを作れる時代に
結果として、音楽制作の民主化を促したジャンルです。
■ 4. 社会問題への理解を広めた(光と影)
トラップは、社会問題を“脚色せずに”描くことで注目されました。
■ ポジティブな側面
- 貧困問題への認識を広めた
- 人種差別や警察暴力(Black Lives Matter など)の議論を後押し
- 若者が抱える精神的ストレスや孤独を表現する場に
■ ネガティブな側面
- 薬物文化の美化(Lean、Xanax など)
- 暴力・反社会的行動の描写
- 過剰な金・女性・ステータスへの価値観の拡大
社会全体でも「表現の自由」と「影響の問題」が常に議論されています。
■ 5. 国境を超えた”グローバル現象”に発展
トラップはアメリカだけでなく、世界各国にローカライズされています。
例:
- 日本:JP THE WAVY、BAD HOP、LEX など
- 韓国:Keith Ape、Changmo
- ヨーロッパ:UKドリルやフレンチトラップへ派生
- ラテンアメリカ:ラテン・トラップとしてBad Bunnyが世界的成功
各国で、
民族音楽 × トラップ
言語 × トラップ
といった新しいスタイルを生み、文化融合の触媒となりました。
絶対音感を本格的に鍛えるなら音楽教室
絶対音感を本格的に鍛えるなら音楽教室がおすすめです。トレーナーがあなたの絶対音感を徹底的に鍛えます。無料体験レッスンから受けてみましょう。以下の記事で紹介しています。



コメント