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サントゥール : 民族楽器の特徴、歴史、価格について

Instrument

サントゥールとはイラン固有の打楽器です。メズラブと呼ばれる、クワやくるみの木を細く削って作った軽量な木製の棒状の撥で叩いて演奏します。非常に珍しい楽器であるため、知らない人が多いでしょう。音域がとても広いことが知られており、3オクターブの音域をもっています。テレビやCM、映画などのBGMで使用されることが多い楽器です。ポップスのような歌謡曲ではほとんど聞く機会はありません。

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起源と歴史

ペルシャ、トルコ、イランでこの楽器は生まれました。2本のバチで広く張った弦をたたく打弦楽器でダルシマーによくにています。ヨーロッパでも広く流通しています。

名前の由来

サントゥールはペルシャ語で、100本の弦を意味しています。サントゥールは音域がとても広いことで有名な楽器です。3オクターブの音域を表現できます。

🏺 1. 起源

  • 発祥地:古代ペルシア(現イラン)
  • サントゥールは、紀元前300〜400年ごろのメソポタミア文明・ペルシア帝国で使われていた**ハンマード・ダルシマー(hammered dulcimer)**系統の楽器が起源とされています。
  • 「サントゥール(Santur)」という言葉自体は、古ペルシア語で「百本の弦」を意味すると言われています。

🕊 2. 西アジアから南アジアへの伝来

  • ペルシアから中東・中央アジアを経て、インド・カシミール地方に伝わったのはおよそ14〜15世紀ごろ。
  • 当時、スーフィー音楽(イスラム神秘主義音楽)や民謡で伴奏楽器として使われました。
  • インドでは「サントゥール(Santoor)」の名で定着し、**カシミールの民族音楽「スーフィヤーナ・マウシキー(Sufiana Mausiqi)」**の中心楽器となりました。

🎶 3. 北インド古典音楽への発展

  • 20世紀中期、インドの音楽家 シヴクマール・シャルマ(Pandit Shivkumar Sharma) が、
    伝統的なカシミール・サントゥールを北インド古典音楽(ヒンドゥスターニ音楽)に適応させる改良を行いました。
  • 音階(ラガ)を演奏できるように、弦の数・ブリッジ配置・チューニング方法を変更。
  • これにより、サントゥールは単なる民俗楽器から、クラシックコンサートでも使用される独奏楽器へと発展しました。

🌏 4. 現代のサントゥール

  • 現在では、インドだけでなく**イラン、トルコ、アゼルバイジャン、中国(ヤンチン/揚琴)**などにも派生形が存在。
  • 各地域で構造・調弦法が異なりますが、すべて「ハンマーで弦を叩く弦楽器」という共通点を持ちます。
  • サントゥールは、現代では北インド古典音楽・映画音楽・フュージョン・ワールドミュージックにおいても用いられ、
    アジアを代表する伝統楽器の一つとして国際的に評価されています。

特徴と構造、サイズ

🎼 1. 基本構造

サントゥールは「ハンマーで弦を叩いて音を出す弦楽器(打弦楽器)」です。外見的には、台形の木製ボディに多数の弦が張られた独特の形をしています。

要素内容
形状台形(台のような形)で、上面にブリッジが並び、弦が横に走っている。
弦の数72〜100本(1音につき3〜4本の弦が同音にチューニングされている)。
材質本体はチーク材やウォールナットなどの硬質木材で作られる。
ブリッジ弦を支える三角形の小さな木製ブリッジが多数並び、音の高低を作る。
演奏具メズラブ(mezrab)」と呼ばれる細い木製のスティックで弦を叩く。
共鳴板ボディ内部が中空で、叩いた音が響くように設計されている。

📏 2. サイズの目安

種類サイズ(幅×奥行×高さ)重量備考
インド・サントゥール(カシミール型)約70〜90cm × 50〜60cm × 10cm前後約5〜8kg北インド古典音楽で主に使用されるタイプ。
イラン・サントゥール(ペルシア型)約85cm × 35cm × 8cm約4〜6kg弦数が少なく、音色は柔らかく繊細。
学生用・小型モデル約60cm × 40cm × 8cm約3〜5kg初心者や子供用として使われる軽量モデル。

🎶 3. 音の特徴

  • 透明感のある金属的な響き:弦を叩くため、ピアノやツィターに似た「チーン」という澄んだ音が特徴。
  • 倍音の豊かさ:複数弦を同時にチューニングするため、共鳴が美しく広がる。
  • 繊細な表現力:強弱や叩く角度で音色が大きく変わる。
  • 持続音ではなく減衰音:叩いた直後に音が減衰していくため、リズムやフレーズ構築に独自のセンスが求められる。

🪶 4. 特徴的な点

特徴説明
チューニングの複雑さ多数の弦を微調整する必要があり、正確な調律には熟練が必要。
演奏スタイル座って膝の上または専用スタンドに置き、両手のメズラブで演奏。
ジャンルの幅広さクラシック、民謡、スーフィー音楽、映画音楽、現代音楽でも使用。
地域差イラン式・インド式で構造や音階が異なる。インド式はよりラガ(音階)に対応。

💡 5. 類似楽器との比較

楽器国・地域違い
ダルシマー(Dulcimer)ヨーロッパ・アメリカサントゥールの原型。構造は似ているが音階が固定的。
ヤンチン(揚琴)中国サントゥールと同系統。打弦構造だが金属弦と共鳴構造が異なる。
カノン(Qanun)アラブ圏弦をつまびく楽器。サントゥールより持続音が長い。

奏法、難易度

🪈 1. 基本的な奏法

サントゥールは、「両手で小さなハンマー(メズラブ / Mezrab)を使って弦を叩く」ことで音を出す打弦楽器です。演奏者は床やステージに座り、楽器を膝や専用スタンドの上に置いて演奏します。

🎵 基本姿勢と演奏方法

項目内容
姿勢座って演奏。楽器を膝の上または専用スタンドに水平に置く。
持ち方両手に細い木製の「メズラブ」を持ち、軽く握る。
音の出し方メズラブで弦を叩き、振動で音を出す。弦は3〜4本が同音に調律されているため、叩くと豊かな共鳴音が生まれる。
左右の役割右手は主旋律、左手は装飾音や伴奏を担う。両手でメロディを交差させることもある。
装飾音(ミーンドやガムカ)弦を押さえずに音程を変えるため、叩く強さや位置で微妙な音の揺れを表現。これがインド音楽特有の「ラガ」の味を出す。

🪶 2. 代表的なテクニック

奏法名内容
ターン(Taan)速いフレーズを両手交互に叩いて演奏。ピアノのスケール練習のような効果。
ガムカ(Gamaka)強弱をつけて弦を連打し、揺れるような音程変化を作る。
ジャラー(Jhala)低音と高音を交互に叩くことでリズミカルな効果を出す。
チョータ・カナ(Chhota Khana)速いテンポのリズムフレーズを左右で交差させる。
ダイナミクス表現メズラブの角度・速度・叩く場所によって音量と音色を変える。

🎼 3. 難易度

サントゥールは非常に美しい音色を持つ一方で、習得には根気が必要な難易度の高い楽器です。

項目難易度理由
チューニング★★★★★弦が約100本あり、1音につき3〜4本を正確に合わせる必要がある。
音階(ラガ)表現★★★★☆弦を押さえられないため、音程の揺れや微分音をメズラブのタッチで再現する必要がある。
リズム演奏★★★☆☆タブラ(インド太鼓)との掛け合いが重要。リズム感が試される。
演奏技術の習得★★★★☆両手を独立して動かす必要があり、指先のコントロールが難しい。
体力と集中力★★★☆☆長時間の演奏では姿勢と集中力の維持が必要。

サントゥールの演奏参考曲

サントゥールは歌謡曲で使われることはめったにありません。BGMなどの音楽で使われることが多く、テレビやCM、映画などで耳にすることがあります。またはヒーリング音楽でもよく登場する打楽器です。

有名な奏者

🇮🇳 1. パンディット・シヴクマール・シャルマ(Pandit Shivkumar Sharma)

  • 生年月日:1938年1月13日(〜2022年没)
  • 出身:インド・ジャンムー・カシミール州
  • 功績
    • 北インド古典音楽(ヒンドゥスターニ音楽)におけるサントゥール演奏の第一人者
    • サントゥールを民俗楽器からクラシック音楽の独奏楽器へと発展させた立役者。
    • 弦やブリッジの構造を改良し、ラガ演奏に適した音階を実現。
    • シタール奏者パンディット・ハリプラサード・チャウラシアとの共演ユニット「Shiv–Hari」で、インド映画音楽界にも多大な影響を与えた。
  • 🎬 映画音楽代表作:「Chandni」「Silsila」「Lamhe」などのボリウッド名曲を作曲。

🎶 2. ラーフル・シャルマ(Rahul Sharma)

  • シヴクマール・シャルマの息子であり、現代の代表的サントゥール奏者。
  • クラシックからフュージョン、ロック、ワールドミュージックまで幅広く活躍。
  • アメリカやヨーロッパのアーティスト(ケニー・Gなど)ともコラボレーション。
  • 若い世代にサントゥールの魅力を広め、現代的なアプローチで世界的に人気。

🕊 3. バルチャラン・シン(Pandit Bhajan Sopori)

  • カシミール出身のサントゥール演奏家で、「スーフィー音楽の継承者」として知られる。
  • サントゥールの精神的・宗教的側面を重視し、スーフィー思想と音楽を融合させたスタイルを確立。
  • 「サントゥール・メッセージ・オブ・ピース(Santoor: Message of Peace)」として、国際平和イベントにも出演。

🌏 4. タルン・バッタチャルヤ(Tarun Bhattacharya)

  • インド・コルカタ出身。
  • シヴクマール・シャルマの弟子として知られ、古典音楽をベースにジャズや現代音楽との融合を試みる革新的演奏家。
  • アジア・ヨーロッパ・アメリカでの国際公演多数。
  • サントゥールの音域を広げるために独自のチューニング技術を開発。

🌟 5. そのほかの注目奏者

奏者名特徴
Abhay Rustum Soporiバルチャラン・シンの後継者として活躍。伝統音楽と現代音楽の架け橋。
Ulhas Bapat映画音楽やフュージョンでの使用が多く、独自のサウンドを追求。
Rakesh Pathak若手演奏家としてインド国内外で人気上昇中。オンライン講座なども展開。

新品と中古の製品ラインナップと価格相場

製品ラインナップ(例)

以下、各製品について簡単に解説します:

  • EVOLUTION Series World Strings Santur:入門モデル。価格例として「¥10,560」ほどの出品あり。
  • EVOLUTION Series World Strings Santur (alt):同シリーズ別仕様。ほぼ同価格帯。
  • CH‑003/36 Sound King Santur:中級モデルとして「¥15,601」ほどの価格例。
  • 3×String Set for Persian Santur/Santoor:弦交換用セット。「¥21,205」ほど。楽器本体ではなく部品セット。
  • STENTOR SC‑650 (比較指標):厳密にはサントゥールではないブランドの“Santur/Santoor”系モデルとして掲載。「¥110,000」ほど。参考価格として。
  • 再掲の廉価/仕様違いモデル(EVOLUTION別仕様など)もあります。
  • 中古想定モデル以外にも、実際「中古サントゥール」が少数出品されており、価格はかなり幅があります。

新品価格の目安

  • 入門〜学生用モデル(インド製/橋数少なめ/素材簡易)
    → インド国内で “Santoor for Beginners” が ₹19,500(インド・ルピー)=約 ¥35,000〜¥40,000あたり
  • 中級〜プロ演奏用モデル(橋数多め/素材良好)
    → インド国内で “Santoor for Concert Professional” が約 ₹49,200=約 ¥90,000〜100,000前後
  • 海外輸入ブランド/高級仕様(木材・橋数・仕様特注)
    → 例:US $1,438(約¥200,000〜300,000)という出品あり。

中古価格の目安

  • 出品例:欧州オンラインショップで “Professional second hand Santoor” が €345=約 ¥55,000〜60,000の出品あり。
  • インド国内中古/掲示板価格で “Santoor Instrument” が ₹18,500=約 ¥30,000前後で出品あり。

選び方・注意点

  • 仕様確認:橋数(25〜31程度)、弦数(約72本〜100本以上)、材質(ウォルナット/メープル等)によって価格・音質大きく変わります。
  • 用途による選択:初心者ならまず価格抑えめのモデルから。演奏用途・ステージ用途なら橋数多・材質良・ブランドチェックを。
  • 輸入・関税・送料:海外ブランド/輸入品は送料・関税・配送箱など諸費用が加わる可能性あり。
  • 中古購入時のチェック:弦の状態、ブリッジの状態、チューニング精度、材木の劣化(ヒビ・割れ)などが重要。
  • メンテナンス・調律:多弦・多橋構造のため調律・メンテナンスが手間となることを理解しておきましょう。

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