シュトローヴァイオリンはヨーロッパで使用されている伝統楽器です。シュトローヴァイオリンはヨーロッパ各地で使用される弦楽器です。1899年にイギリスで考案された弦楽器で、比較的新しい楽器の部類に入ります。シュトローヴァイオリンは、今でもヨーロッパのフォークミュージックで使用されています。シュトローヴァイオリンには、指板の端にホーンがあり、とてもユニークな形状をしている楽器です。
起源と歴史
stroh violinはヨーロッパでこの楽器は生まれました。最近はヴィオラなどと合奏することもあります。シュトローは1900年あたりに発明された楽器。当時、拡声ホーンが作られアンプの代わりになりました。
● 発明者
- ヨハネス・マティアス・アウグスト・シュトロー(Johannes M. A. Stroh)
- イギリス・ロンドンの発明家
- 1899年頃に開発、1900年に特許取得
● 発明の背景
19世紀末〜20世紀初頭の録音技術は
「アコースティック録音」=ラッパ(ホーン)に向けて音を直接響かせる方式。
この時代、
- ヴァイオリンの音は小さく
- マイクも電子アンプもない
- 他の楽器や歌に埋もれやすい
→ 「録音でヴァイオリンの音を強く方向付けて拾いたい」
というニーズがあった。
これを解決するために、シュトローは
ダイアフラム(振動膜)+金属ホーンで音を増幅する“メカニカル・アンプ” をヴァイオリンに組み込んだ。
① 誕生(1899〜1900年)
- 金属フレームに弦を張り、
弦の振動を小さな金属膜に伝え、ホーンから音を出す構造が発明される。 - 1900年、イギリス特許を取得。
- 当時としては画期的な「増幅ヴァイオリン」。
② 録音現場での大活躍(1900〜1920年代前半)
アコースティック録音の時代には
録音スタジオで“普通のヴァイオリンの代替機”として広く使用された。
理由:
- 音量が大きい
- 指向性が強く、録音ホーンに音を集めやすい
- 録音バランスが取りやすい
当時のレコード制作写真には、シュトローヴァイオリンがよく写っている。
③ 電気録音の登場による急速な衰退(1925〜1930年代)
1925年以降:
- 電気マイク(コンデンサーマイク・カーボンマイク)が登場
- アンプの使用が可能になる
→ 普通のヴァイオリンの方が音楽的に優れているため主役に復帰
シュトローヴァイオリンは急速に録音現場から姿を消していく。
④ しかし完全には消えなかった(1950〜現代)
ヴィンテージ楽器として:
- 民族音楽の演奏者
- 実験音楽・現代音楽
- 映画音楽の特殊音色
- ロック/ポップスの一部アーティスト
などが独特の金属的サウンドを求めて使用。
代表的な現代ユーザー:
- Tom Waits(トム・ウェイツ)作品で使われることがある
- ブリティッシュ民謡系ミュージシャン
- 映像音楽の作曲家
また、ルーマニアやハンガリーでは民俗楽器として派生モデル(Stroh Cello 等)も制作されている。

特徴と構造、サイズ
シュトローヴァイオリン(Stroh Violin)の 特徴・構造・サイズ を、通常のヴァイオリンとの違いも交えながら詳しく解説します。
■ 1. 特徴(音・性能・用途)
● ① 金属的で明るく尖った音色
- ホーンが生み出す金属的でシャープな音が特徴
- 木製の胴を持たないため、通常のヴァイオリンより倍音が強く、響きが硬い
- 音が前方に向かって飛ぶ(指向性が極めて強い)
→ アコースティック録音時代の「音を狙った方向に集中させたい」用途に最適だった理由。
● ② 非常に大きな音量
- ホーンが“メカニカルアンプ”の役割
- 小さな録音スタジオでも、普通のヴァイオリンより明確に大きく録音できる
● ③ ヴィジュアル的インパクト
- 体に大きな金属ホーンが付いており、見た目が非常に特殊
- ライブや映像作品でも注目を集める
● ④ モニタリング用の小ホーンが存在
- 一部のモデルでは演奏者の耳元に小さなホーンがあり
→ 自分の音が聞きやすい
■ 2. 構造
シュトローヴァイオリンの構造は、通常のヴァイオリンと全く異なります。
● ① ボディ(胴)がない
- 木製の響板や共鳴胴は 一切ない
- フレーム(鉄製 or 木製)にパーツを固定するシンプルな骨組み構造
● ② ダイアフラム(振動膜)
- ブリッジで拾った弦の振動を 金属の薄い膜に伝える
- 蓄音機の仕組みに近い
- この膜が“スピーカーのコーン紙”のような役割を果たす
● ③ ホーン(ラッパ)
2つのホーンを持つモデルが一般的:
■ 大ホーン(メインホーン)
- 前方に向き、音を大きく増幅
- 録音装置の“アコースティックホーン”に向けて音を届ける設計
■ 小ホーン(モニター用)
- 演奏者の耳元へ向けられる
- 自分の音をモニターするため(当時はイヤホンもスピーカーもない)
● ④ ネック・指板・弦・ペグは通常のヴァイオリンと同じ
- 演奏法はヴァイオリンとほぼ同じ
- 弦楽器としての基本構造(糸巻き、指板、ブリッジ)は踏襲
● ⑤ 全体の素材
- 構造体:金属(鉄・真鍮)+木製ネック
- ホーン:真鍮、アルミなど金属製
- ダイアフラム:金属薄板(スチール・ブロンズなど)
■ 3. サイズ
シュトローヴァイオリンは統一規格がなく、工房や時代で差があります。
一般的なサイズは次のとおり。
● 全長
約70〜90 cm
(通常のヴァイオリンは約60cm)
→ ホーンがつくため、全長がかなり大きい
● ホーンの長さ
- 大ホーン:20〜35 cm
- 小ホーン:8〜15 cm
ホーンが長いモデルほど音量が大きく、指向性も強い。
● 重さ
1.2〜2.5 kg
(通常のヴァイオリンは0.45〜0.6kg)
→ 約2〜4倍の重さがあり、演奏時の負担が大きい
→ スタンドを使う演奏者もいる
種類についてバリエーション
シュトローヴァイオリン(Stroh Violin)には、実はさまざまな派生モデルや構造のバリエーションが存在します。
発明者A.シュトロー自身が多くの種類を作ったほか、ヨーロッパ各地の工房が改良型を作り続けたため、体系的に整理すると以下のようになります。
● ① Stroh Violin(スタンダードモデル)
- 最も一般的なシュトローヴァイオリン
- 大ホーン+小ホーンの2ホーン構造
- 4弦(E-A-D-G)
- 録音用に最も広く使われた
● ② Stroh Violin “One Horn”(単一ホーン型)
- 大ホーンのみ
- 簡易で軽量
- 一部工房で作られた廉価モデル
● ③ Stroh Violin “Double Horn”(ダブルホーン強化型)
- 大ホーン×2、小ホーン×1など
- より指向性を強化
- マイクが未発達だった時代のスタジオ向け特化モデル

シュトローヴァイオリンの曲
シュトローヴァイオリンはヨーロッパの民謡などで使用されることが多いです。かつてこの楽器は録音用楽器でした。
奏法、難易度
以下では、シュトローヴァイオリン(Stroh Violin)の「奏法(弾き方)」と「難易度」について、専門的かつ分かりやすくまとめます。
■ 1. 奏法(弾き方)
◎ 基本は「普通のバイオリン」と同じ
- 道具(弓)、左手の指使い、運弓、ポジション移動などは通常のバイオリンと同じ
- 基礎技術(音階、ボウイング、ヴィブラート、シフト)もそのまま使える
ただし管とラッパ(ホーン)構造のせいで音の反応が違うため、いくつか独自のポイントがあります。
◎ シュトローヴァイオリン特有の奏法上の注意点
● ① 音が「前方にだけ」大きく飛ぶ
- ホーン(ラッパ)が前方に向いているため、
→ 自分には音が聞こえにくい
→ 一緒に演奏する人には「狙った方向へ直線的に届く」
👉 対策:
- 左耳に返ってくる音が少ないので、骨伝導・指板の振動を頼りに音程を取る
- 監視しながら弾くために モニター代わりのリフレクター(反射板) を付ける奏者もいる
● ② 音の立ち上がりが早く、弱音が難しい
スチール製の振動板 → ホーン → 空気と伝わるため、
- アタック(弓を置いた瞬間)が非常に鋭い
- pp(ピアニッシモ)など繊細な弱音が出しにくい
👉 対策:
- 弓圧を極端に軽くする
- 接弦スピードを速める(鋭さを抑えるため)
- ヴィブラートは浅めにすると音が混濁しにくい
● ③ 弓の角度に敏感
- ラッパの方向・振動板の位置の関係で、
弓が少しズレるだけで音色が劇的に変化する - 音のムラが出やすい
👉 対策:
- 弓毛の接地面を一定に保つ
- 弓を弦に「均質に乗せる」練習が重要
■ 2. シュトローヴァイオリンの難易度
結論:
通常のバイオリン経験者は弾けるが、音作りは予想以上に難しい楽器。
◎ 難易度の要点
● ★ 難しい点
- モニタリングしづらい(自分に聞こえにくい)
- 音の強さをコントロールしにくい
- 音色とアタックが暴れやすい
- 弱音表現が難しい(大きく・硬く鳴りやすい)
- 特殊なバランス・重量で構えが不安定
→ 特に音量バランスとデリケートな表現力が課題。
有名な奏者
シュトローヴァイオリン(Stroh Violin)は特殊楽器のため奏者は多くありませんが、歴史上・現代ともに“代表的”といえる奏者がいます。以下に 最も有名・重要な奏者 をまとめます。
■ 1. ヴァッサーリー・カーロイ(Vaszary Károly)
- 20世紀初頭のハンガリーの奏者
- 初期録音で頻繁に演奏し、「シュトローヴァイオリン奏者」として最も知られる人物
- クラシックとハンガリー民謡の両方で活躍
- Stroh社の広告にも登場した歴史的奏者
■ 2. パーカス・ベルタ(Berta Párkányi)
- ハンガリーの民俗音楽でシュトローヴァイオリンを使用
- 当時の蝋管録音でよくその音が確認できる
■ 3. ロマ(ジプシー)・ハンガリー民謡の録音奏者たち(1900〜1920年代)
- 具体的に名前が残っていない奏者も多いが、
ハンガリー、ルーマニア、バルカン半島の民族楽団が録音のために多数使用 - レコード会社の「スタジオ専属ストローヴァイオリン奏者」の存在が知られている

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
シュトローヴァイオリン(Stroh Violin)の 新品/中古モデルのラインナップ と 価格相場 について、調べた範囲で整理しました。ただし非常にニッチな楽器なので、在庫・価格は変動が激しいです。
新品モデル・入手先と価格例
- Roth & Junius Stroh Violin New Edition(4/4)
- Thomannで新品在庫あり。価格は £759(2025年時点)。
- Hora Instruments の Stroh Violin
- ルーマニア Hora 社が製造。4/4サイズ。木材はメイプルなど。
- ただし販売価格が明記されていない(問い合わせ・見積もりが必要)。
- Folk Friends(オンライン)
- Stroh Violin(アルミ共鳴体付き)を取り扱っており、価格は €999 というモデルが紹介されている。
- 日本国内(民族楽器店)
- 民族楽器専門店トーザイでは「STVL-HR セミプロ仕様」の Stroh ヴァイオリンを扱っていたが、在庫は現在 なし。
中古(ヴィンテージ)モデル・価格相場
- Reverb(米国)
- 1900年代製の Stroh Violin が出品されていた例:US$3,489(約40 万円弱)。
- ヤフオク(日本)
- ケース付き中古 Stroh ヴァイオリンが ¥53,900 で落札された実績がある。
- オークション(Barnebys)
- ある Stroh Violin(4弦+アルミホーン+ケース+弓)が 385 GBP(約6万~7万円相当) で実売。
- フォーク・フレンズ
- FolK Friendsのページによると、Stroh Violin の価格帯 “新品および中古” が数百ユーロ~という情報あり。
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