トンコリとは、アイヌ民族に伝わる伝統楽器で、民族楽器に相当します。トンコリは弦楽器に分類されており、アイヌ人のなかでは「カー」と呼ぶ人も多いです。トンコリは5つの弦から構成されており、これを極めるためには相応の練習を必要とされます。独特の音楽、演奏法は、トンコリによって表現されるのです。
楽器の起源と歴史
トンコリ(tonkori)は五弦の琴で北海道や樺太で生まれた楽器です。琴の曲などとともに多く奏者が使っています。最新の情報や資料によると、他にも奏者は増えており、男性も女性も弾くようになっています。
1. 起源
- トンコリは、北海道・樺太・千島列島のアイヌ民族によって古くから作られてきた弦楽器です。
- 「トンコリ」という名称はアイヌ語で「弦のあるもの」を意味し、弦楽器一般を指す言葉でした。
- 形状や素材から推測すると、少なくとも江戸時代以前には存在していたと考えられています。
- アジア北方の弦楽器文化と類似点があり、モンゴルやシベリアの民族楽器の影響を受けた可能性もあります。
2. 歴史的背景
- アイヌ文化において、トンコリは歌(ウタリ)や口承物語の伴奏楽器として使用されました。
- 主に祭祀、儀式、祝い事の場で演奏され、歌や踊りを補助する役割を持つ。
- トンコリは家庭内での演奏用や娯楽としても使われ、アイヌの生活文化に深く根付いていました。
3. 近代以降の変化
- 明治以降、アイヌ文化が制限される時期に、伝統楽器としてのトンコリの使用は減少しました。
- 20世紀後半に入り、文化保存活動や民族音楽の復興運動の中で再び注目されるようになりました。
- 現代では、復刻版や現代音楽用改良型も製作され、アイヌ民謡の演奏や世界音楽イベントで活躍しています。
特徴と構造、サイズ
では、トンコリの特徴・構造・サイズについて詳しく整理します。
1. 特徴
- 音色
- 弦を指で弾くことで、柔らかく透明感のある音が出る
- ハープや琴に似た、やさしい響き
- 演奏性
- 単音演奏が基本だが、和音も出せる
- 歌(ウタリ)の伴奏に最適
- 文化的特徴
- アイヌ民族の民謡・口承物語の伴奏に使用される
- 生活文化や儀式と密接に結びついている
2. 構造
- 材質
- 木製(カツラ・カラマツなど)、共鳴胴も木製
- 弦は植物繊維や動物の腸など伝統的な素材を使用
- 形状
- 細長い共鳴胴を持つ横長の弦楽器
- 両端が少し反り上がっていることがある
- 弦の本数
- 伝統的には 5〜7本
- 弦の張り方や素材で音色や音量が変化
- 共鳴構造
- 共鳴胴が弦の振動を増幅して、透明感のある音色を生む
3. サイズ
- 全長:約70〜100cm程度が一般的(製作者や用途による)
- 重量:比較的軽量で、片手で持って演奏可能
- 弦長:約50〜60cm程度が標準
- 小型モデルや現代向け改良型も存在し、演奏者の手に合わせたサイズで作られることもある
種類についてバリエーション
では、トンコリの種類やバリエーションについて整理します。
1. 弦数によるバリエーション
- 5弦型
- もっとも伝統的で標準的な型
- 単音演奏が中心で、民謡の伴奏に適している
- 6弦型・7弦型
- 和音や低音域を増やすことが可能
- 現代音楽やアレンジ曲向けに作られることが多い
2. 形状・構造の違い
- 伝統型(古典型)
- 木製共鳴胴、弦は伝統素材(植物繊維や動物の腸)
- 細長い横長の形状で、両端が反り上がることがある
- 現代改良型
- 弦や共鳴胴を現代素材で作ったもの
- 音量や音色を安定させるため、共鳴胴や弦の材質を工夫
- 演奏性を向上させ、ステージ演奏にも適する
3. サイズバリエーション
- 伝統的サイズ
- 全長70〜100cm程度、軽量で片手で持てる
- 小型モデル
- 子供や手の小さい人向け
- 演奏時の取り回しが容易
- 大型・拡張モデル
- 弦数を増やしたり低音域を強化したもの
- 現代音楽やアンサンブル用
4. 音色によるバリエーション
- 弦や共鳴胴の材質によって音色が変わる
- 伝統素材:柔らかく温かい響き
- 現代素材:音量や音の安定性が高い
- 弦の太さや張力を変えることで、表現の幅が広がる

トンコリの音楽
トンコリはほぼアイヌ民謡で使用されることがほとんどです。たまに日本のアニメ作品でもトンコリを見ることができます。
奏法、難易度
では、トンコリの奏法と難易度について詳しく解説します。
1. 奏法(演奏方法)
(1) 指弾き奏法(基本)
- 弦を指で弾くのが基本奏法
- 弦の根元を押さえずに、爪や指先で弾く
- 単音演奏が中心だが、複数の弦を同時に弾いて和音を作ることも可能
- 民謡(ウタリ)や物語の伴奏では、この奏法が主に使われる
(2) ハーモニック奏法
- 弦の途中を軽く押さえて弾くことで倍音を出す奏法
- 独特の透明感のある響きを演出
- 現代音楽や実験的演奏で取り入れられることがある
(3) 打弦・叩き奏法
- 弦や共鳴胴を軽く叩くことでリズムを強調する
- 祭祀や儀式で、歌や踊りに合わせる場合に用いられる
2. 難易度
初心者向け
- 基本の指弾きは、弦が少なく構造も単純なので習得しやすい
- 民謡の伴奏や単音演奏なら、初心者でも取り組める
中級者以上
- 和音演奏やハーモニック奏法、リズムを交えた複雑な演奏はやや難しい
- 音色の表現力を引き出すには、弦の押さえ方や指先の使い方を習熟する必要がある
上級者向け
- 複数弦を組み合わせた旋律と和音の同時演奏
- 歌(ウタリ)との即興的な伴奏
- ハーモニックや打弦奏法を組み合わせた創造的表現
- 文化的表現や伝統的な演奏スタイルを正確に再現するためには、長年の練習や経験が必要
有名な奏者
トンコリ(Ainu の伝統楽器)の有名な奏者を紹介します。
有名なトンコリ奏者・注目人物
- OKI(オキ)
- 最も有名な現代トンコリ奏者のひとり。
- Oki Dub Ainu Band を率いて、トンコリを伝統音楽だけでなく、ダブ/レゲエ/ロックなどと融合させた独自のスタイルを確立。
- ロンドン拠点のレーベルからコンピレーション・アルバム『Tonkori in the Moonlight』もリリース。
- 千葉 伸彦(Nobuhiko Chiba)
- トンコリ奏者であり、民族音楽研究者。
- 東京音楽大学などでトンコリの講師を務め、伝統音楽の復元・普及に力を入れている。
- アイヌの古老から伝承を受けて演奏を学び、文化保存を積極的に行っている。
- 西平 ウメ(Nishihira Ume)
- 歴史的な伝承者として知られる女性トンコリ奏者。
- 千葉伸彦らによって彼女のトンコリ演奏法は研究・記録されており、著書や資料集にも登場。
- 他の奏者
- Wikipedia(トンコリのページ)には、他にも以下の名前が記載されています:
- K.D earth(トンコリ奏者)
- ToyToy(Motoi Ogawa)
- Kumiko Sukegawa
- Wikipedia(トンコリのページ)には、他にも以下の名前が記載されています:

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
トンコリ(Ainuの伝統弦楽器)の 新品/中古品ラインナップと価格相場 について、現時点で確認できる情報をまとめました。
製品ラインナップ例(新品/ゆるめの入手可能品)
主な例:
- Tonkori (S)/小型トンコリ
- BECOS製(アイヌ工芸)
- 価格:¥512,434(高額な工芸/手作り品)
- トンコリ (伝統五弦)
- アイヌ伝統モデル
- 価格:¥38,000(Altrak24などで流通)
中古・オークション市場の相場
- Yahoo!オークションでの過去落札相場(「トンコリ」全体):平均およそ ¥6,800。
- 「トンコリ 楽器」カテゴリーの中古落札(過去180日)では、¥1,000 〜 ¥71,000あたりで落札された例がある。
- メルカリでも出品あり:最低価格の例として ¥3,200。
- 三弦トンコリ(非常に希少モデル):メルカリで ¥149,999 の出品があった
- 高級・ハンドメイド/工芸モデル:
- 夢幻洞で モデル toro(トドマツ材 / 絹弦):¥130,000(新品)
- eBay(海外):5弦トンコリが US$3,000弱(約 ¥450,000前後/為替による) で出品されていた例。
考察:価格相場のレンジとポイント
- 価格レンジが非常に幅広い
- 入手しやすい中古のトンコリ:数千円〜数万円程度
- 本格的な手作り・工芸品:十万円〜数十万円
- 希少モデルは非常に高価
- 三弦や特別な材質を使ったトンコリはコレクター価格がつきやすい
- 素材・作りが価格を大きく左右
- トドマツ材、製作者の技量、弦素材などで価格が変動
- 輸入品(eBay 等)を活用する場合
- 海外出品には送料+関税のコストが加わる可能性がある
- 珍しいモデルやサイズは海外の方が見つかる確率がある
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