ズルナは古代ペルシア時代に作られたといわれる木管楽器です。音が大きくて耳障りなので、集合住宅で演奏すると必ずクレームが来る楽器です。そのため、野外で演奏する必要があります。結婚式などの村のお祝いでよく出てくる楽器で、中東やトルコでは非常になじみのある楽器です。しかしながら世界的に見ると非常にレアで珍しい楽器であることからあまり知名度はありません。映画やテレビなどのBGMの世界ではしばしば聞くことができます。
起源と歴史
イランでこの楽器は生まれました。他にもアルメニアなどで使われています。一般で中東の文化でこれらが大きな役割を果たしており、奏者は各地で活躍しています。
1. 起源
- 地域:中央アジア・西アジア・アナトリア(現在のトルコ)
- 時期:古代~中世
- 起源の証拠:ヒッタイト帝国時代の石刻や古代アナトリアの遺跡に、二重リードを用いた管楽器の描写が残っている。
- 名称の語源:
- ペルシア語の “سُرنای (surnāy)” から派生
- 「祝宴・宴会」を意味する “sūr” と「笛・管」を意味する “nāy” の合成形との説あり
2. 発展の歴史
- 中世~オスマン帝国期
- 軍楽(メフテル軍楽隊)や村の祭礼、結婚式などで使用
- 太鼓(ダヴール/davul)と組み合わせて演奏するのが一般的
- バルカン半島への伝播
- アルバニア、ルーマニア、ブルガリアなどで「zurla」「zournas」と呼ばれる現地版が生まれた
- 民俗音楽・祝祭文化との結びつき
- ズルナは屋外での演奏に適した高音で力強い音色を持つため、祭礼や祝宴において長く使用され続けた
3. 文化的意義
- ズルナは単なる楽器ではなく、地域の伝統・儀式・祝祭文化を象徴する楽器
- 軍楽や祭礼での使用により、音色の特徴が「人々を集める音」として認知され、地域ごとの演奏スタイルが発展
特徴と構造、サイズ
1. 特徴
- 二重リード(ダブルリード)を使用する木管楽器
- リードを通じて強く明瞭な音色を出す。
- 音色
- 非常に高音で力強く、屋外での演奏に適する
- 伝統的には太鼓(ダヴール)と組み合わせ、祝祭・祭礼・結婚式で用いられる
- 演奏環境
- 屋外、広場、祝祭など、人が集まる空間での演奏に最適
2. 構造
ズルナはシンプルだが力強い構造を持つ管楽器です。
- マウスピース(リード部)
- 二重リード(ダブルリード)を使用
- リードの振動で音が発生
- 本体(管体)
- 円錐形の木管
- 木材はプラムウッド、アプリコット、またはマホガニーなどが使用されることが多い
- 短めで手持ち可能な長さ
- ベル部
- 末端が広がっており、音を遠くに届ける
3. サイズ
- 長さ:約 30〜50 cm(地域・用途によって異なる)
- 直径:約 2〜3 cm程度
- 重量:100〜300 g程度(木材による)
- 種類
- 地域ごとに音域や形状が異なる(トルコ式ズルナ、アルバニア式Zurla、バルカン式Zournasなど)
奏法、難易度
1. 基本奏法
- 二重リードを用いた吹奏
- マウスピースに二重リードを取り付け、唇と息の圧力で振動させて音を出す。
- 息の圧力が強く、音量のコントロールが難しい。
- 指孔の操作
- 管体の指穴を塞ぐことで音階を調整
- 地域によって穴の数や配置が異なる
- アンブシュア(口の形)
- 高音・低音を出すために唇の締め方やリードの支え方を微調整
- 特に高音域では安定した音を出すのが難しい
2. 高度な奏法
- 装飾音
- トリル、スラー、装飾的な旋律を加える
- ビブラート
- 息の強弱やアンブシュアの変化で音色に揺れをつける
- 連続した強音
- 屋外演奏向けに、長時間吹き続ける技術が必要
3. 難易度
| 技術項目 | 難易度 | 説明 |
|---|---|---|
| 音を出す | ★★★☆☆ | 二重リードは息圧の調整が難しい |
| 音階演奏 | ★★★★☆ | 指穴操作と息圧の両方を正確に調整 |
| 高音域・連続強音 | ★★★★★ | 長時間演奏や高音域は非常に難しい |
| 表現力(装飾音・ビブラート) | ★★★★☆ | 伝統音楽のニュアンスを出すための高度技術 |
4. 総合評価
- 初心者でも単音を出すことは可能だが、正確な音程や音色、長時間の演奏には高度な技術が必要
- 伝統音楽や祭礼での演奏では、力強く安定した音を長く出す技術が特に重要

ズルナの曲
ズルナは中東付近の地域ではかなり深く浸透しています。そのことから中東の歌謡曲などではしばしば使われることがあります。その他では主に映画やテレビなどで使用されることが多いです。
有名な奏者
ズルナは地域伝統音楽に密着した楽器であるため、クラシックやジャズのような国際的スターは少ないですが、民俗音楽やオスマン・バルカン地域では非常に著名な奏者が存在します。
1. トルコの有名奏者
- Hüseyin Oğuz
- トルコの伝統音楽で活躍するズルナ奏者
- 結婚式や祭礼、村の祝祭での演奏に定評
- Mehmet Yıldırım
- オスマン軍楽や民族音楽のズルナ奏者として知られる
2. バルカン半島の奏者
- Bajram Kelmendi(アルバニア)
- アルバニア・コソボ地域で伝統音楽を継承
- Zoran Milivojevic(セルビア)
- バルカンの結婚式や民俗音楽に特化した奏者
3. その他
- 民族音楽フェスティバル出演者
- トルコ、ブルガリア、ルーマニア、マケドニアなどで開催される民俗音楽祭には、地域ごとの著名なズルナ奏者が多数出演。
- 伝統音楽の多くは口承・家族継承が中心で、国際的な録音やメディア露出は少ないため、地域の名手として知られることが多い。
新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ズルナ(Zurna)」の新品および中古品の主な製品ラインナップと価格相場を整理します。価格は為替や送料・輸入手続き等で変動するため、あくまで目安です。
🎵 主な製品ラインナップ
それぞれのモデルのポイントを簡単に紹介します:
- Zurna in B Professional Model:木材にアプリコット材等を用い「プロフェッショナルモデル」と謳われた仕様。価格例 ~$239 USD程度。
- Turkish Woodwind Kaba Zurna Custom Sizes:トルコ式大型・低音仕様「Kaba Zurna」。価格例 ~$249 USD。
- Woodwind Cherry Zurna Custom Sizes:チェリー材カスタム仕様。価格例 ~$89.99 USD(比較的手頃な仕様)
- Anatolian Zurna:入門・民族楽器仕様。価格例 ~$71.91 USD。
📊 価格相場の目安
- 入門〜普及仕様モデル: US$ ≈ 70〜100(日本円でおおよそ ¥10,000~¥15,000前後)という出品例あり。
- 中級〜カスタム仕様:US$ ≈ 129〜249(約 ¥20,000~¥35,000〜)という例あり。
- 高級/プロ仕様モデル:US$ ≈ 229〜349(約 ¥35,000~¥50,000以上)という価格帯を確認。
- 中古/手作り・希少材使用モデル:流通数が少ないため、価格は更に上振れする可能性があります。実例:手作りアプリコット材モデルで “Brand New … Price A$156.58 + shipping” という記録あり。
🛒 購入時のチェックポイント
- 材質(木材:アプリコット/プラム/チェリー/マルベリー等)を確認。材質が音色・価格に響きます。
- 調(キー)および仕様(サイズ・音域)を確認。大型低音仕様 “Kaba Zurna” などもあり選択肢が多様です。
- リード・マウスピース付属かどうか。民族楽器では付属品の有無で実質価格が変わることがあります。
- 海外からの輸入品の場合、送料・関税・配送時の取り扱い(木材の検査等)を計算に入れる。
- 中古品の場合は「割れ・反り・修理歴・リードの消耗」などコンディションを必ず確認。
これから楽器を買いたいなら
これから楽器を買いたいなら以下の記事を参考にしてみてください。オンラインと店頭いずれの対応もしており、登録はすぐにできます。案内に沿って登録しましょう。
中古楽器を売りたいならどうする?
中古楽器を売りたいなら中古の買い取り業者で買い取ってもらうことがおすすめです。パーツや部品での買取もあります。無料査定がありますのでまずは相談してみてはいかがでしょうか?
これからレッスンをしたい方は?
これからレッスンをして楽器が上手くなりたい、楽しみたいと言う方には音楽教室がとてもおすすめとなります。以下の記事で紹介していますので参考にして申し込みをしてみましょう。





コメント