ディジュリドゥはオーストラリア先住民族のアボリジニたちの固有楽器です。アボリジニが儀式の際に使用する楽器で一般的には1000年前から使用されていたといわれています。シロアリに食べられて空洞化したユーカリの木をそのまま使用し、伝統的なペイントを施します。今では様々な工夫が施されたディジュリドゥが各国で誕生しています。非常に独特な楽器であることから民族音楽でしか聴く機会はありません。
起源と歴史
オーストラリアでこの楽器は生まれました。ディジュリドゥはユーカリの木からできていることが特徴で、長い管なので初心者は吹き方で苦労するでしょう。音色は奏者の腕にもかかっています。
起源
- ディジュリドゥはオーストラリア北部のアボリジニ(先住民)が数千年前から使用していたと考えられています。
- オーストラリア最古の楽器のひとつで、正確な起源年は不明ですが、考古学的には少なくとも1,500年以上前には存在していたとされます。
- 元々は儀式や宗教的な場面、狩猟、物語の伝承に用いられました。
作られ方
- 主にユーカリの木が使用され、木の中を白蟻が自然に空洞化した部分を加工して作ります。
- 製作には伝統的な儀式や歌、ストーリーが関わることもあり、単なる楽器としてではなく文化的・精神的な意味を持っています。
歴史的役割
- 儀式・宗教
- 先祖や精霊への祈り、部族の儀式で重要な役割を果たす。
- 歌(チャント)や踊りと組み合わせることが多い。
- コミュニケーション
- 遠くまで響く音を利用して、部族間で信号として使われた記録もある。
- 物語の伝承
- 「ドリームタイム(Dreamtime)」と呼ばれる創世神話を語るときの伴奏として使用。
近代の展開
- 20世紀以降、オーストラリア国内外で伝統音楽だけでなく現代音楽や映画音楽にも取り入れられるようになった。
- 世界的に知られるアボリジニ奏者(例:Djalu Gurruwiwi)が、ディジュリドゥの技術や文化を世界に紹介。
特徴と構造、サイズ
特徴
- 低音の持続音が特徴
ディジュリドゥは深く響く低音を出す楽器で、倍音を組み合わせることで独特の音色が生まれます。 - 単音から倍音まで表現可能
基本的にはドローン(単音)ですが、唇や口の形を変えることで高音や倍音を出すことができます。 - 文化的・精神的な意味を持つ
儀式や物語の伴奏、祈りのために使用され、単なる楽器以上の価値があります。
構造
- 管体
- 主にユーカリの木で作られる。白蟻によって自然に空洞化した木が使われることが多い。
- 内部は滑らかに削られ、時には樹脂や天然塗料でコーティングされる。
- 吹き口(マウスピース)
- 端が狭くなっていて唇を振動させて音を出す。
- 吹き口は自然の木を使ったままのものや、蜜蝋・樹脂で補強されることもある。
- 先端(ベル)
- 先端は広がっており、音の共鳴を助ける役割を持つ。
サイズ
- 一般的な長さ:1〜3メートル
- 長いほど低音が豊かで深い音が出る。
- 短いものは高音寄りの明るい音色になる。
- 直径:通常5〜10cm程度(太さは音色に影響する)
- 重量:素材によって異なるが、木製であれば1〜3kg程度。
全モデルのラインナップ
以下、タイプ分け+代表的な製品を挙げます。
そして、それぞれを簡単に説明します:
- MEINL SonicEnergy DD1BK Bamboo Didgeridoo:竹(バンブー)素材の入門向けモデル。自然素材で比較的手に入りやすく、初心者に適しています。
- TOCA DIDG‑PG Bamboo Didgeridoo 47″:竹素材、長さ47インチ(=約119cm)程度。中級モデルとして少し扱いやすさ・音域を考慮されています。
- MEINL DDG‑BOX Travel Didgeridoo:旅行用・携帯用を意識した「BOX型」または折りたたみ/分割構造のタイプ。持ち運び重視。
- Travel Didgeridoo DDG‑BOX (alt listing):上記と同系の旅行向けモデル。複数セクションに分かれていたり、軽量素材使用。
- TOCA DIDG‑PK Bamboo Didgeridoo 47″ Kangaroo:竹素材の47インチモデルで、装飾(カンガルー柄)付き。音だけでなく見た目も重視したモデル。
- BT‑SD150 Sound King Didgeridoo:木材・合板または他素材のモデル。素材が竹以外(または竹+補強)なので、音のキャラクターが少し異なります。
- Travel/Portable Didgeridoo (general):旅行・携帯用途に特化したカテゴリ。長さを短くしたり材質を軽量化したりしている。
- Bamboo Didgeridoo (natural material):竹素材シリーズのカテゴリ。自然素材ならではの音・質感を重視する方向。
タイプ別の特徴と用途
それぞれのタイプには用途や音の特徴に違いがあるので、選ぶ際の参考になります:
1. 自然木/手工品タイプ
- 伝統的にはオーストラリア北部で、白蟻によって自然に中空化されたユーカリなどが使われる。
- 長さ・内径・ベルの形状などが一本一本異なり、音色に個性が出る。
- 高価になりがち、初心者には扱いやすさ・価格面でハードルがある。
2. 竹(バンブー)素材タイプ
- 自然木に比べ安価に入手でき、初心者向けのモデルとして人気あり。
- 音の深み・倍音の複雑さでは自然木タイプにやや劣るとされるが、入門には十分。
- 長さや内径で音程・吹き心地が変わるので、47インチ等規格的な長さが多い。
3. 合成素材/旅行用・モジュラータイプ
- PVC、プラスチック、カーボンファイバー等の素材で作られるモデルもあり、耐久性・重量・価格に優れる。
- 分割式・スライド式(長さ可変)など、携帯性・音程可変性を持つものも。
- 音質的には伝統木に比べると倍音・共鳴の複雑さが控えめという評価あり。
4. 装飾・特殊形状モデル
- 見た目に凝った装飾(オーストラリアの絵柄など)を施したもの。
- 螺旋状(スパイラル型)や箱型(ボックス型)など、形状を変えて携帯性・音響特性を工夫したモデルも。
- 音色・演奏スタイルに変化を求める中〜上級者向け。
選ぶ際のポイント(初心者向けも含む)
- 長さ・内径・ベル(先端が広がっているか否か):これらが音の深さ・共鳴・吹きやすさに影響します。
- 素材:自然木/竹/合成素材。価格・音質・耐久性・持ち運びやすさが変わる。
- 形状・設計:分割式/スライド式/モジュラー。特に旅行や移動して演奏するなら携帯性が重要。
- 用途:練習用/パフォーマンス用/ヒーリング・サウンドセラピー用。用途に応じて選ぶ。
- 価格帯:入門モデルは比較的安価(竹・合成素材)で、ハンドクラフトの自然木モデルは高価になりやすい。

参考となる曲
非常に珍しい楽器で独特なサウンドであることから歌謡曲で使われることあまりありません。その一方でヒーリングやアンビエント、テレビ、映画などで使われることが多いです。管楽器のなかでもセットで販売されていることも多いです。吹奏楽の分類ではCDやDVDなどの教材や用品も登録されて出ていますので買ってみると良いでしょう。
奏法、難易度
ディジュリドゥの奏法と難易度について詳しくまとめます。
奏法(演奏方法)
1. 基本の音の出し方
- 唇を振動させることで音を出す(唇の振動=「リップリップ」)。
- 吹き口に唇を軽く当て、息を吹き込みながら唇を震わせる。
- 音の高さは唇の張りや息の強さで微調整可能。
2. 円唇呼吸(Circular Breathing)
- ディジュリドゥ独特の技法で、息継ぎをせずに連続して音を出せる。
- 口の中に空気を溜めて、肺の空気が尽きても口の空気で音を維持。
- 長時間の持続音演奏や複雑なリズム表現に必須。
3. リズムと倍音
- 基本の**ドローン(持続音)**に口・舌・喉の動きを加えてリズムを作る。
- 唇の振動を変えたり、舌で空気を止めたりして**「タッ・タッ・ドゥーン」**のようなリズムを重ねる。
- 倍音(高音成分)を出すことで、単音でも音に色彩や変化を付けられる。
4. 声や歌との併用
- ディジュリドゥの上で歌(チャント)を歌うことも多い。
- 口内の形を変えて声とドローンを重ね、独特の多層音を作ることができる。
難易度
初級
- 音を出すだけなら初心者でも比較的簡単。
- 竹やプラスチック製の入門用ディジュリドゥなら数分の練習で低音を出せる。
中級
- 円唇呼吸の習得が必要。
- リズム演奏や倍音の操作、長時間演奏ができるようになる段階。
- 練習期間は数週間〜数ヶ月。
上級
- 複雑なリズムや倍音を自在に操る。
- 声とドローンを同時に使った演奏や、音色・強弱・息遣いを高度にコントロール。
- 円唇呼吸を完全にマスターし、演奏中に表現力を豊かにすることが可能。
- プロの奏者になるには数年単位の練習が必要。
練習のコツ
- 短時間でも毎日練習する(唇の筋肉を慣らす)。
- 低音から慣れる:高音・倍音は慣れてから。
- 円唇呼吸は分解練習:まず口内に空気を溜める動作だけを練習。
- 録音してチェック:自分のリズムや音の安定感を確認する。
有名な奏者
ディジュリドゥの有名な奏者についてまとめます。伝統的なアボリジニの名手から、現代音楽や国際舞台で活躍する奏者まで幅広くいます。
1. 伝統的アボリジニの名手
Djalu Gurruwiwi(ジャル・グルウィウィ)
- オーストラリア北部、ヨルング族出身。
- 伝統的な演奏技術と文化を守りつつ、世界に紹介。
- ディジュリドゥ作りの名匠でもあり、手作り楽器は高く評価される。
Mickey Durrng(ミッキー・ダラン)
- ヨルング族の伝統音楽を世界に広めた先駆者。
- 海外公演や映画音楽への参加で知られる。
2. 現代音楽・国際的に活躍する奏者
Mark Atkins(マーク・アトキンス)
- ディジュリドゥを使った現代音楽や映画音楽で活躍。
- 世界各地で演奏し、ディジュリドゥの可能性を広げた。
- 伝統的奏法と現代的アレンジを融合させたスタイルが特徴。
William Barton(ウィリアム・バートン)
- クラシック音楽の舞台でも活躍するディジュリドゥ奏者。
- オーケストラと共演し、伝統楽器を現代音楽に導入したパイオニア。
Stephen Kent(スティーブン・ケント)
- アメリカを拠点に活動するディジュリドゥ奏者。
- 世界的なフェスティバルやジャズ・ワールドミュージックで演奏。
新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ディジュリドゥ(Didgeridoo)」の新品・中古の製品ラインナップと価格相場を、代表的モデルを挙げながら整理します。なお、材質・製作・長さ・ブランドによって価格が大きく変動するため、「おおよそこのくらい」という参考値としてご覧ください。
✅ 代表的な新品モデル(国内・海外取り扱い)
それぞれ簡単に説明します:
- MEINL SonicEnergy DD1BK Bamboo Didgeridoo:竹素材、比較的入門向けの定番モデル。価格例:約7,778円。
- TOCA DIDG‑PG Bamboo Didgeridoo 47″:竹製47インチモデル。価格例:約8,580円。
- TOCA DIDG‑PT Bamboo Didgeridoo 47″ Turtle:竹47インチ、装飾付き(カメモチーフ等)。価格例:約8,580円。
- MEINL DDG‑BOX Travel Didgeridoo:旅行/携帯向けモデル。価格例:約9,076円。
- TOCA DIDG‑PNAT Bamboo Didgeridoo 48″ Natural:竹48インチ、ナチュラル仕上げ。価格例:約6,380円。
- MEINL SonicEnergy S‑Shaped Didgeridoo:プロ仕様、S字形状など特殊形状モデル。価格例:約25,740円。
- TOCA DIDG‑PT Bamboo Didgeridoo 47″ Turtle (alt):装飾バリエーション。価格例:同上。
- MEINL DDG‑BOX Travel Didgeridoo (alt):旅行向けバリエーション。価格例同上。
🎯 新品価格相場の目安
- 入門/竹素材モデル:6,000〜10,000円程度(例:上記入門竹モデル)
- 中級・装飾・長尺モデル:10,000〜30,000円程度
- 手工/伝統木材/限定/プロ仕様モデル:**数十万円(数千ドル)**というものもあり。たとえば、オーストラリア産手工品で “$995” のものが紹介されています。
- 海外輸入や特注品・アボリジニ作/天然ユーカリ材などは高額になりやすいです。
🔁 中古・セカンドハンド市場の価格相場
中古モデルは、材質・ブランド・状態・希少性によって幅があります。以下実例と傾向です:
- 国内通販で「中古」カテゴリ表示あり:例として、ある竹モデル中古で 4,390円(+送料) というものもありました。
- 海外オークション/セカンドハンドでも、「Rare Joshua Tree Didgeridoo … $1,200.00」など高級手工品の中古品も存在。
- 新品価格帯が数千円〜数万円であるため、中古では「新品の半額以下」になることが多いですが、希少モデル・手工品では値があまり下がらないこともあります。
📌 中古価格の目安
- 入門竹モデル・一般仕様:3,000〜8,000円程度(状態・付属品で変動)
- 中級仕様・装飾付き・長尺モデル:8,000〜20,000円程度
- 手工・伝統木材/限定品:数万円〜十数万円以上(状態・作家・素材次第)
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