打楽器で使われるコンガの音について解説します。これは樽型のボディ上面に張ったヘッドを、おもに手のひらで叩いて演奏するドラムパーカッションです。3種類あり、口径が小さく高音のものを「キント」、中音のものを「コンガ」、口径が大きい低音のものを「トゥンバドーラ」と呼び、2つの大きさを組み合わせて演奏されることが多いです。17~18世紀にかけてキューバで生まれました。もともとは民族楽器でしたが、現在は広く知られている楽器です。
起源と歴史
キューバでこの楽器は生まれました。
1. 起源
- コンガ(Conga)は、ラテン音楽で使われる高く細長い手打ち太鼓です。
- その起源はアフリカの伝統打楽器にあります。西アフリカや中央アフリカ(コンゴ、アンゴラなど)の民族音楽で用いられていた太鼓がルーツです。
- 奴隷貿易によりアフリカからカリブ海地域に持ち込まれ、特にキューバで独自の発展を遂げました。
2. キューバでの発展
- 19世紀末から20世紀初頭にかけて、キューバの黒人コミュニティや民間音楽で使用されるようになります。
- 当初は廃材の樽や木製胴体に革を張ったシンプルな太鼓でした。
- ラテン音楽のリズム(ソン、ルンバ、サルサなど)を演奏するために、サイズや打面の張り具合、音程を調整できるように改良されました。
3. 20世紀以降の普及
- 1930年代以降、コンガはラテンジャズやサルサ、マンボ、ルンバなどの音楽ジャンルで中心的役割を担うようになります。
- 伝統的な手打ちスタイルは保持しつつ、ラグ式テンション(ボルトで打面を張る)やファイバーグラス製胴体など、耐久性・音程調整の容易さを求める改良が行われました。
- 現在では、世界中のポップス、ジャズ、ファンク、ラテン音楽など幅広いジャンルで使用される打楽器として普及しています。
特徴と構造、サイズ
1. 特徴
- 手打ち太鼓
- 主に手(指・手のひら)で叩く。スティックは使わないのが基本。
- 多彩な音色
- 打ち方や部位によって、開放音(ベース音)、トーン音、スラップ音など多彩な音色を表現可能。
- リズムの中心
- ラテン音楽(サルサ、ルンバ、マンボなど)でリズムを支える中心的存在。
- 演奏スタイルの自由度
- 座奏・立奏・肩掛けなど多様な演奏スタイルに対応。
- 音程調整可能
- 近代のラグ式テンション構造により、打面の張力を調整して音程を変えられる。
2. 構造
2-1. シェル(胴体)
- 高く細長い筒状。
- 材質:
- 木製(ステーブ構造):伝統的で温かい音色
- ファイバーグラス/合成樹脂:耐久性・持ち運び性に優れる
- 一般的に底は開放されている。
2-2. ヘッド(打面)
- 材質:
- 牛革・水牛革・山牛革(天然皮)
- 合成素材(プラスチック系)
- 打面の端はリングで固定され、**ラグ(ボルト)**で張力を調整可能。
2-3. ラグ・テンション機構
- 打面の張力をボルトで調整することで音程や音色を微調整。
- 伝統的なロープ張りもあるが、現代はラグ式が主流。
3. サイズ
| 項目 | 標準値 |
|---|---|
| 高さ | 約70〜80 cm |
| 打面径 | 約25〜35 cm(10〜14インチ) |
| 重量 | 約5〜10 kg(材質による) |
| 台座/スタンド | 座奏用スタンド、ラックマウント、肩掛けタイプあり |
- 複数台セット(2〜4台)で演奏する場合、サイズや音程の違いを組み合わせる。
- 小型ミニコンガは練習用や子ども向けで高さ50 cm前後、打面径10インチ前後のものもある。
種類について詳細
コンガの種類(サイズ・用途・構造別)について詳しく整理します。
1. 音程・サイズによる種類
コンガは打面の径や胴体の高さによって、音域や役割が異なります。ラテン音楽では複数台を組み合わせて演奏することが多いです。
| 名称 | 打面径目安 | 音域 | 用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| Quinto(キント) | 約10〜11インチ(25〜28 cm) | 高音域 | ソロやメロディ的フレーズを担当。最も高音のコンガ。 |
| Conga(コンガ/Segundo) | 約11〜12インチ(28〜30 cm) | 中音域 | リズムの中心を担当する標準サイズ。 |
| Tumba(トゥンバ/Salidor) | 約12〜14インチ(30〜35 cm) | 低音域 | ベース音担当。太く深い音色でリズムを支える。 |
| Requinto(レキント) | 約9〜10インチ(23〜25 cm) | 高音域 | キントより小さく、ソロ演奏向き。 |
| Mini/Practice Conga | 約8〜10インチ(20〜25 cm) | 練習用 | 家庭練習や子ども向け。音程は控えめで持ち運びやすい。 |
参考:複数台(2〜4台)を組み合わせ、Quinto+Conga+Tumbaなどで音域をカバーするのが一般的。
2. 構造・材質による分類
| 種類 | 特徴 | 音色・用途 |
|---|---|---|
| 木製ステーブ胴(Wood Stave) | 伝統的な木材接ぎ合わせ。温かく自然な音色 | プロ演奏向き。オーセンティックなラテン音楽に最適 |
| ファイバーグラス/合成樹脂(Fiberglass / Synthetic) | 耐久性・持ち運び性に優れる | 屋外演奏やマーチング、ライブ演奏向き |
| ラグ式テンション(Bolt / Lug) | 打面張力をボルトで調整可能 | 音程調整が容易で、現代ラテン音楽に広く使用 |
| ロープ式テンション(Rope Tuning) | 伝統的なロープ張り方式 | 調律はやや困難だが伝統音色を再現可能。民族音楽向き |
3. 台座・演奏形態による分類
| 種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 座奏用スタンド | 座ったまま演奏可能 | ラテンジャズや家庭練習 |
| ラックマウント/スタンド式 | 複数台を横に並べて演奏 | プロ演奏やステージ演奏 |
| 肩掛け/ストラップ式 | 立ったまま演奏可能 | マーチング、ライブパフォーマンス向き |
4. 用途別の選び方
- ソロ演奏/高音表現:Quinto、Requinto
- 標準リズム担当:Conga(Segundo)
- 低音・リズム支え:Tumba(Salidor)
- 初心者・家庭練習:Mini/Practice Conga
- 持ち運び・屋外演奏:ファイバーグラス製+肩掛けタイプ

コンガの種類ごとの音色
quinto
conga
Tumba
奏法、難易度
1. 基本奏法
コンガは手で叩くことを前提とした打楽器で、指や手のひらの使い方で音色が変わります。
1-1. 打音の種類
| 打音 | 手の部位 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| ベース(Open Tone / Bass) | 手のひら全体で打面中央 | 低音、リズムの土台を作る |
| トーン(Tone / Closed Tone) | 指先または手の縁で打面 | 高めの音色、メロディ的フレーズ用 |
| スラップ(Slap) | 指先で強く弾く | パーカッシブな鋭い音、アクセントやソロに使用 |
| ミュート(Muted / Choke) | 手で打面を押さえながら叩く | 音を短く止める、リズム変化やフレーズの強弱に活用 |
1-2. 演奏スタイル
- 片手・両手の使い分け:左右手で異なる音色を同時に出す
- 複数台の使用:Quinto+Conga+Tumbaなど、複数台を並べて音域をカバー
- リズムパターン:サルサ、ルンバ、マンボ、ジャズ、ファンクなどジャンルに応じた複雑なパターンを演奏
1-3. 高度なテクニック
- トレモロ:素早く同じ打音を連打して揺れるような効果
- フラメンコ風アクセント:手首のひねりや指の弾きで独特の音色
- 即興演奏:ラテンジャズやソロで音色・リズム・アクセントを自在に表現
2. 難易度
| レベル | 内容 |
|---|---|
| 初心者 | – ベース音・トーン音・スラップ音の基本を習得 – シンプルなリズムパターン(4/4や8ビート)で演奏 – 片手ずつの練習から開始 |
| 中級者 | – 両手を使った複雑なリズムパターン – 2〜3台のコンガを同時に演奏 – スラップ音やミュート音を曲中で使い分け |
| 上級者 | – 即興演奏や複雑なポリリズム(多重リズム)の演奏 – 高速フレーズ・スラップ・ベース・トーンの混在 – ジャズやラテンソロ演奏で高度な表現力を発揮 |
有名な奏者
コンガの有名な奏者について整理します。ジャンル別に紹介します。
1. ラテンジャズ・ラテン音楽系
- チューチョ・バルデス(Chucho Valdés)
- キューバ出身のピアニスト兼作曲家で、コンガ奏者との共演で知られる
- ラテンジャズの発展に大きく貢献
- カルロス・”パノチョ”・バルデス(Carlos “Patato” Valdés)
- キューバ出身のコンガ奏者
- スラップ奏法や複雑なリズムパターンで知られる
- ラテンジャズやソン・ルンバなど幅広いジャンルで活躍
- マンディンゴ・サルセード(Mongo Santamaría)
- キューバ出身のコンガ奏者
- 「Afro-Cuban Jazz」を世界に広めた第一人者
- ジャズ、ラテン音楽のクロスオーバーで著名
- ウィリー・ボボ(Willie Bobo)
- プエルトリコ系アメリカ人
- ラテンジャズ、ソウル、ファンク系で活躍
- 教育者としてもコンガ奏者育成に貢献
2. サルサ・ラテンポップ系
- ジョニー・ロドリゲス(Johnny “Dandy” Rodriguez)
- ニューヨークサルサシーンで活躍
- 複雑なリズムパターンと正確なスラップ音で知られる
- ペドロ・アブリル(Pedro “Pello” Abalé)
- キューバ音楽界の伝統的コンガ奏者
- ルンバやソンなど、古典リズムの継承者
3. その他ジャンル
- レニー・ホワイト(Lenny White)
- ジャズ・フュージョンでコンガを用いる
- ドラムセットとコンガを組み合わせた演奏が特徴
- ジョー・クリーン(Joe Cuba)
- サルサのパーカッション奏者として有名
- コンガとボンゴの融合スタイルでラテン音楽の発展に寄与

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
コンガの新品・中古製品ラインナップおよび価格相場を、日本国内の流通価格をもとに整理します。ご購入検討の参考になれば幸いです。
✅ 新品のラインナップと価格例
以下は国内取り扱いの新品モデルのうち、比較的価格が明示されているものをいくつか紹介します。
各製品の簡単な説明:
- LP 10″ & 11″ Conga Set (Stand付):10インチ&11インチの2台セット+スタンド付き。価格例:約 ¥62,800。
- LP LPM198‑AW Mini Tunable Conga:ミニチュアサイズで調律可能モデル。価格例:約 ¥12,056。
- MEINL Mini Conga Natural MC100NT:ブランドミニモデル。価格例:約 ¥12,470。
- Pearl PMC‑1 Mini Conga:かなり低価格のミニモデル。価格例:約 ¥9,328。
- LP LPM198‑KP Karl Perazzo Mini Conga:著名奏者モデルミニ。価格例:約 ¥11,858。
- PLAYTECH Mini Conga PMC100 (Stand付):スタンド付き練習用/子ども用ミニ。価格例:約 ¥22,800。
新品価格の相場まとめ
- 入門・ミニサイズ:概ね ¥10,000〜¥30,000 程度。
‑ 例:Pearl PMC‑1 約 ¥9,328。 - 中級仕様(通常サイズ・2台セットなど):概ね ¥50,000〜¥100,000 程度。
‑ 例:LP 10″ & 11″ セット 約 ¥62,800。 - 高級仕様・ブランド・2台以上のセット・大型モデル:¥100,000以上の例あり。例として、定価 ¥349,800 の LP Galaxy Giovanni シリーズも。
🕰️ 中古品のラインナップと価格相場
中古市場では、仕様(サイズ、材質、ブランド)、状態、付属品、修理歴などによって価格が大きく変動します。
中古価格の実例・目安
- 楽天市場の中古検索では、「中古 CONGA」で数千円〜数万円という価格帯も見受けられます。例:中古品 “非常に良い” 状態で ¥20,980。
- 中古・専門店では木製構造・ブランド仕様で「定価 ¥132,000 → 中古価格 ≒ ¥99,000」などの例あり。
中古価格の目安
- 入門・練習用ミニ/低仕様中古:数万円以下〜数十万円。
- 中〜仕様良・ブランド中古:¥30,000〜¥70,000程度。
- 高級仕様・ブランド・大型モデルで状態良好なら、¥100,000以上になることもあります。
✅ 購入時のチェックポイント・アドバイス
- 材質(木製ステーブ胴/ファイバーグラス)、打面材質(本革/合成皮)を確認。音色・耐久性に影響。
- サイズ・音程(Quinto/Conga/Tumba等)を用途に合わせる。
- 調律方式(ラグ式ボルト/ロープ張り)や付属スタンド/ケースの有無も重要。
- 中古の場合は「シェルの割れ・革の劣化・ラグの歪み・音色・付属スタンドの状態」を必ず確認。
- 用途を明確に:練習用か、ライブ用か、セット構成か。それによりサイズ・仕様・予算を決めると選びやすい。
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