クラベスとは、キューバ起源の楽器の一つ。商品価格が安くパーカッションの購入品としても人気。拍子木の一種で2本の堅い円筒形の木を叩き合わせることで音が出ます。ラテンアメリカの舞踏リズム楽器としてよく登場する楽器です。キューバ音楽、特にソンには欠かせない楽器でサルサでも使用されています。楽器としての誕生は近代になり、その後広く伝播していった楽器と言われています。
起源と歴史
キューバでこの楽器は生まれました。ベルの打楽器の種類であり、クラベルやクラリーノとも呼ばれます。クラシックでもこの種類は良く演奏されます。
■ 起源:アフリカの伝統にルーツがある
クラベスの原型は、アフリカに古くから存在していた木製のスリットドラムや木の棒を打ち合わせる楽器がルーツと考えられています。
- 西・中央アフリカでは、木材を叩いてリズムを刻む文化が古代から存在
- これが16~19世紀の大西洋奴隷貿易によってカリブ海地域へ伝わった
特に、バントゥー系民族やヨルバ族などのリズム文化がキューバを含むカリブ地域へ持ち込まれ、後のクラベスに発展していったと言われています。
■ キューバでの発展:楽器としてのクラベスの確立
クラベスは、キューバで現在の形として発展します。
● 19世紀キューバ
- サトウキビ輸送船で使用していた**木製の船のくさび(clavijas)**を叩いてリズムを取ったことが起源の一説
- これが「クラベス(鍵・棒)」と呼ばれるようになった
- アフリカ系住民の音楽(ルンバ、アバクア、ソン)を中心に重要な楽器となる
● クラーベ(Clave)リズムの確立
クラベスは「2-3クラーベ」「3-2クラーベ」などのリズムパターンを刻む楽器として使用され、
キューバ音楽全体の基礎構造を決定するほどの役割を持つようになる。
■ 20世紀:世界のラテン音楽へ広がる
- 1920〜30年代:キューバ音楽(ソン、ルンバ)がアメリカへ広がる
- 1940〜50年代:サルサへ発展し、クラベスも世界的に普及
- モダンジャズのリズムにも影響を与える
特にティト・プエンテやニューヨークのラテンバンドがクラベスの普及に大きな役割を果たす。
■ 現代
- ラテン音楽だけでなく、クラシック・ポップス・教育現場・映画音楽など幅広いジャンルで使用される
- 素材も伝統的な硬い木(ローズウッド、グラナディーロ)から、樹脂製まで多様化
特徴と構造、サイズ
クラベス(claves)の特徴・構造・サイズを分かりやすくまとめます。
🪵 クラベスの特徴
■ 1. とても明るく鋭い音
- 「カッ」「カン」といった高く抜ける音が特徴
- 金属ではなく木製なのに、リズムの中でもはっきりと聞こえる存在感がある
- ラテン音楽の“リズムの心臓”と呼ばれるほど中心的な役割
■ 2. シンプルなのに重要なリズム楽器
- 外見はただの木の棒2本
- しかし、クラーベ(clave)と呼ばれる2-3 / 3-2 の基本リズムを刻む重要な楽器
- バンド全体がこのリズムを基準にすることも多い
■ 3. 扱いやすく初心者でも叩ける
- 叩くだけのシンプルな操作
- 音楽教育でもよく使われる
- 携帯しやすく壊れにくい
🧱 クラベスの構造
クラベスは同じ太さ・長さの棒を2本で構成されます。
● 典型的な構造
- 円柱形の木の棒 2 本
- 全く同じ形のものを使う場合が多いが、
1本だけわずかにくぼみ(resonance groove)があるタイプも存在 - 片手に1本持ち、もう1本で叩いて音を出す
● 持ち方による音の違い
- 手のひらに軽く浮かせて持つ → 共鳴して大きな音
- しっかり握って持つ → 音が短く乾いた感じに
※クラベスは“楽器そのもの”というより、叩き方と持ち方で響きを調整する楽器でもある。
📏 サイズ(長さ・太さ)
一般的なサイズは以下の通り:
■ 長さ
- 20〜25cm(標準)
- プロ用は22〜23cmが多い
- 子供用や音楽教育用は15〜18cmもある
■ 太さ(直径)
- 2〜3cm程度
- 太いほど音が低く、細いほど音が高くなる
■ 重さ
- 材質によるが、
1本あたり80〜150gくらいが一般的
🪵 使われる素材
■ 伝統的な素材(高級)
- グラナディーロ(硬くて響きが良い)
- ローズウッド
- ココボロ
■ 現代的な素材
- メイプル、オークなど一般的な木材
- ファイバーグラスや樹脂製(耐久性が高い)
素材で音の硬さ・明るさ・音量が大きく変わります。
種類についてバリエーション
クラベス(claves)には、素材・構造・音色・用途の違いによっていくつかの種類(バリエーション)があります。
ここでは、わかりやすく分類して紹介します。
1. 素材による種類
■(1)ハードウッド(硬木)クラベス
ラテン音楽で最も一般的。音が大きく、響きが長い。
- グラナディーロ(最も人気・プロ用の定番)
- ローズウッド
- ココボロ
- ホンジュラスマホガニー
特徴:高くて鋭く、通りの良い音
用途:ライブ、サルサ、ジャズ、プロの演奏
■(2)ソフトウッド(軟木)クラベス
柔らかい木材で作られたクラベス。
- メイプル
- パイン
- オーク
など
特徴:音が柔らかく、少し低め
用途:音楽教育、室内演奏
■(3)樹脂製・ファイバーグラス製クラベス
現代的な素材。耐久性が非常に高い。
特徴:音量が安定、高耐久、湿度に強い
用途:屋外、公立学校、パーカッションアンサンブル
2. 構造による種類
■(1)スタンダード(同じ棒2本)タイプ
最も一般的。2本の棒が全く同形。
特徴:均一な音・伝統的スタイル
■(2)“レゾナンスクラベス”(共鳴溝つき)
片方の棒に**浅いへこみ/溝(resonant chamber)**を入れたタイプ。
特徴:
- 音量が大きくなる
- より明るく抜ける音
- プロの演奏で人気
■(3)中空クラベス(Hollow Claves)
棒の内部をくり抜いて軽くしたタイプ。
特徴:
- 音が明るく大きい
- 軽いので長時間の演奏に向く
メーカーLP(Latin Percussion)がよく出しているパターン。
3. サイズによる種類
■(1)標準サイズクラベス
- 長さ:20〜25cm
- 太さ:2.0〜3.0cm
最もバランスが良い。
■(2)スモールサイズ(子供用)クラベス
- 15〜18cm程度
- 学校・教育用に使われる
■(3)ラージサイズ(アンサンブル用)
- 25〜30cm
- 太めで低音が出る

クラベスの曲
キューバ音楽に使用されます。その中でもサルサやソンなどでよく使われます。
奏法、難易度
クラベス(claves)の奏法と難易度について、初心者向けからプロの技までわかりやすくまとめます。
🥁 奏法(Playing Techniques)
クラベスは「叩くだけ」に見えますが、実は持ち方・角度・力加減で音が大きく変わります。
■ 1. 基本の持ち方(とても重要)
● クラベホルダーの手(受ける側)
- 片手を軽く丸め、指を広げて”橋”のような空洞を作る
- その上にクラベスを乗せる
- 空洞=共鳴室となり大きく響く
→ これが正しくできるだけで音量と抜けが大幅に変わる!
● ストライカー(叩く側)
- もう片方でクラベスを持ち、端から3〜4cmほど離れた位置で持つ
- 軽く振って中央付近を打つ
■ 2. 基本の打ち方
● タップ(弱打)
- 手首だけで叩く
- 軽くて短い音
● ストローク(強打)
- 腕を少し使い、しっかりとした「カン!」という音を出す
- ラテン音楽ではこの音が基準
■ 3. 音色を変える奏法
● ① 握り込み(音をこもらせる)
クラベホルダー側の手を少し握ると、音が短く“乾いた”感じに。
● ② 浮かせ(大音量)
手を緩く構え、クラベスを浮かせると共鳴が増える。
● ③ ロール(高速連打)
高速で一定のリズムを刻む技術。
ジャズやラテンのプロがよく使う。
■ 4. リズムパターンの奏法
クラベスの核となる奏法は「クラーベリズム」。
● 有名な2種類
- 2-3クラーベ
- 3-2クラーベ
これらのパターンを正確に刻むことが非常に重要で、
ラテン音楽全体の“土台”を作る。
■ 5. アンサンブルでの奏法
- 音が小さいと意味がないので常に抜ける音で
- 他のパーカッション(コンガ、ボンゴ、ティンバレス)との“かみ合わせ”を意識
- 一定テンポを保つ「メトロノーム的役割」を担うことも多い
🎚 難易度(どれくらい難しい?)
■ ★☆☆☆☆(簡単) 基本的な音を出すだけなら簡単
- 小学生でもすぐ音を出せる
- 持ち方と叩き方だけ理解すればすぐ楽しめる
- 音楽教育でも使われるのはそのため
■ ★★☆☆☆(普通) 安定した音を出すのは少し練習が必要
- 響く音を出すための“空洞の作り方”に慣れが必要
- 音の強さや高さを均一にするのは意外と難しい
■ ★★★☆☆(中級) クラーベリズムを正確に刻むのは難しい
- ラテン音楽ではずっと一定のリズムで外さないことが求められる
- テンポが速い曲だとさらに高難度
- リズム感・安定感が問われる
■ ★★★★☆(やや難しい) プロレベルの表現は高度
- ジャンルに応じて音色や強弱のコントロール
- 他のパーカッションとのアンサンブル判断
- ダンス音楽ではリズム“グルーヴ”を生み出す責任が大きい
有名な奏者
クラベスはシンプルな楽器ですが、ラテン音楽のリズムの中心を担うため、多くの名パーカッショニストがクラベスに精通しています。
ここでは「クラベスの名手」として特に知られる演奏家や、クラベス奏法に強い影響を与えた著名人物を紹介します。
■ 1. イシドロ・“マノロ”・バルデス(Isidro “Manolo” Valdés)
アフロ・キューバンのルンバ界で最も有名なクラベス奏者の一人。
キューバの伝統リズム「クラーベ」を世界へ広めた功労者。
ポイント
- ルンバの基本形を確立
- アフロ・キューバ音楽を支えたリズム職人
■ 2. カルロス・“パタート”・バルデス(Carlos “Patato” Valdés)
主にコンガ奏者として知られるが、クラベスの達人としても評価が非常に高い。
クラーベリズムの重要性を世界に伝えた人物。
■ 3. ティト・プエンテ(Tito Puente)
「ラテンの王様」と呼ばれた大ミュージシャン。
ティンバレス奏者として有名だが、クラーベの打ち方・理論に影響を与えた。
ポイント
- クラーベリズムの教育普及に大きく貢献
- 演奏やレクチャーでクラベスの重要性を強調
■ 4. ジョバンニ・ヒダルゴ(Giovanni Hidalgo)
史上最高のパーカッショニストの一人。
コンガ奏者だが、クラベスの運用やクラーベ理論の説明が世界的に評価されている。
■ 5. アミルカ・リチャードソン(Amilka Richardson)
アフロ・キューバン音楽の研究家兼パーカッショニスト。
クラーベのリズムや歴史の解説が世界中の音楽家に影響。

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
クラベス(claves)の新品/中古の製品ラインナップとその価格相場について、現在(2025年時点)の主なモデルと傾向をまとめました。
1. クラベスの新品ラインナップと価格例
まず、新品でよく売られている代表的なクラベス製品と、その価格帯を紹介します。
主な製品例:
- MEINL Wood Claves Classic CL1RW
→ 約 ¥2,420(Amazonなど) - MEINL Wood African Claves CL3RW
→ 約 ¥5,800(楽天など) - MEINL Traditional Wood Claves
→ 約 ¥3,450 - MEINL Wood Claves Hollow CL1HW
→ 約 ¥2,520 - LP LP261 Grenadilla Wood Clave
→ 約 ¥5,280(サウンドハウス) - ROHEMA Claves #61421
→ 約 ¥2,420
その他・国内ショップでの新品価格例
- SAITO:高級ローズウッド製クラベス(SCL27) → 定価 ¥4,675。
- Schlagwerk(アカシア材) SR-CL8102 または SR-CL8105 → ¥2,200
- MEINL CL4IW(インディアンウォールナット材/伝統クラシック) → ¥3,344。
- タイユーン(Tycoon)TVW-P クラベス(マカ材):アウトレットで ¥3,080。
- Aucfan(オークション相場を集計するサイト)によると、クラベスの新品参考価格として ¥14,182 のものも過去にあり。
2. 中古(またはオークション/フリマ)での価格相場
クラベスは比較的小型・シンプルな打楽器なので、中古市場でも多く出回っており、価格帯もかなり幅があります。
- Yahoo!オークション(過去180日)の落札例:¥500〜¥14,500。平均落札価格は 約 ¥3,385。
- オークファン(クラベス全体の中古相場分析)では、直近90日で平均落札価格 約 ¥3,046。
- メルカリでのクラベス出品例:
- 木製クラベス 24本セット → ¥1,800
- MEINL Wood Claves Classic(中古) → ¥3,900
- パール(Pearl)CL-01K → ¥7,682 など。
3. 価格相場・傾向まとめ
- 新品の価格帯:だいたい ¥2,000~¥10,000前後が多め。素材(ローズウッド、グラナディーラなど)やブランド、構造(中空・ソリッド)で価格が変動。
- 中古・オークション相場:平均して ¥3,000〜¥4,000前後 が中心。ただし高級木材やプロ用クラベスはかなり高くなるケースもある。
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