ビリンバウは現在ブラジルで一般的に使用されている、アフリカ原産の楽弓である一弦打楽器です。多くのアーティストが楽器をいじって、パーカッションアンサンブルに含めています。カポエイラという競技があり、格闘技とダンスを兼ねたブラジル特有のイベントで使用されることが多いです。原始的な構造で共鳴器として、中身をくり抜き乾燥させたヒョウタンを使用する楽器です。ブラジル人なら知っている人は多いでしょう。
起源と歴史
アフリカでこの楽器は生まれました。
1. アフリカ起源
- ビリンバウは**弓形の単弦楽器(ミュージカル・ボウ)**の一種で、起源はアフリカ西部・中部にあります。
- 特にアンゴラやバントゥ語系文化圏で、音弓の原型が古くから存在していました。
- 奴隷貿易を通じて、アフリカ系の人々と文化がブラジルに伝わりました。
2. ブラジルでの発展
- 19世紀前半には、ブラジルのアフリカ系コミュニティで音弓型の楽器が使用されていた記録があります。
- 20世紀初頭にはカポエイラにおける主要な伴奏楽器として確立。
- ゲームのリズムとスピードを決める役割
- 歌や踊りとの融合による表現力
3. 社会的・文化的意義
- 奴隷制時代、ビリンバウはアフリカ系ブラジル人の文化的抵抗の象徴としての役割も担った。
- カポエイラの伝統を支える楽器として、現在もブラジル文化を象徴する存在。
- 世界中のワールドミュージックや民族音楽でも認知され、ブラジル文化のアイコンとなっている。
特徴と構造、サイズ
1. 音色
- 弓形単弦楽器で、共鳴音が特徴的な澄んだ響き
- 音色は低音から高音まで表現可能で、カポエイラのリズムに応じて変化
- 打楽器的要素も持ち、リズムとメロディの両方を担う
2. 構造
| 部位 | 役割 |
|---|---|
| 弓(Verga) | 長い木の棒(通常は biriba や biriba 系統の硬い木) |
| 弦(Arame) | 弓に張る鉄線、1本のみで音を出す |
| 共鳴器(Cabaça) | カボチャや木製の共鳴胴、音を増幅 |
| バチ(Baqueta) | 打音を出す棒、弦を叩くことで音を生成 |
| 石・コイン(Dobrão) | 弦に軽く押し当て、音程や共鳴を変化させる |
| 紐(Cordão) | 弓に固定する補助紐、保持用 |
3. サイズ
- 弓の長さ:約120〜150 cm
- 共鳴器の直径:10〜20 cm程度
- 弦の高さ・張力:演奏者の技術や音程に応じて調整
ポイント
- 弓の長さや弦の張力で音程・音色が変化
- 共鳴器の大きさ・材質で音量・音質が異なる
- 軽量で持ち運びやすく、立って演奏することが多い
種類について詳細
「ビリンバウ(Berimbau)」の種類について整理します。
1. Gunga(グンガ)
- 音域:低音
- 特徴:一番大きく、太い弦と大きな共鳴器を持つ
- 役割:カポエイラでリズムの土台(ベース)を担当
- 演奏スタイル:主に低音でリズムを刻む
2. Médio(メディオ)
- 音域:中音
- 特徴:中くらいの弓と共鳴器を使用
- 役割:グンガとバリナの間をつなぐ中音パート
- 演奏スタイル:リズムとメロディの中間を補完
3. Baixa(バイシャ) / Viola(ヴィオラ)
- 音域:高音
- 特徴:小さめの弓と共鳴器を使用
- 役割:カポエイラで旋律やリズムの装飾を担当
- 演奏スタイル:ソロや即興的なメロディを担当
4. その他の変種
- Dupla / Duplo:二弦構造のビリンバウ(稀少)
- 多弦・小型ビリンバウ:練習用や特殊演奏用
💡 まとめ
| 種類 | 音域 | 大きさ | 役割 |
|---|---|---|---|
| Gunga | 低音 | 大きい・太い弦 | リズムの土台 |
| Médio | 中音 | 中くらい | リズムと旋律の橋渡し |
| Baixa / Viola | 高音 | 小さい・細い弦 | メロディ・装飾 |
| その他 | 変則 | 変則 | 特殊用途・練習用 |
- 演奏では複数のビリンバウを組み合わせ、低音から高音までリズムと音程の層を作ることが多い
- カポエイラのスタイルや地域によって呼称や構造に若干の違いがある

ビリンバウの曲
カポエイラで出てくる楽器です。
奏法、難易度
1. 基本奏法
- バチ(Baqueta)で弦を叩く
- 弦にバチを当てて打音を出す
- 強弱やリズムの変化で多彩な表現が可能
- 押さえ具(Dobrão / Stone or Coin)で音程を変化
- 弦に軽く押し当てて音の高さや共鳴音を調整
- 指や手の角度で半音・微妙な音の変化を表現
- 共鳴器(Cabaça)の位置調整
- 腹や胸に押し当て、音量や響きを調整
2. 主要奏法・テクニック
- リズムのパターン(Toques)
- カポエイラのスタイルや曲に合わせて決まる基本リズム
- 例:Angola, Regional, São Bento Grande など
- 抑揚と装飾音
- 打音の強弱、押さえ具の位置、手首の角度で微妙な装飾音を出す
- 複数の弦やビリンバウを組み合わせる
- 低音・中音・高音の組み合わせでリズムと音の層を作る
3. 難易度
| レベル | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| 初級 | 基本のリズム(Toque)を1種類演奏 | ★★☆☆☆ |
| 中級 | 複数リズムの組み合わせ、音の強弱・抑揚を表現 | ★★★☆☆ |
| 上級 | 即興演奏、複数ビリンバウの重ね、リズム変化を自在に操る | ★★★★☆ |
| プロ | カポエイラ全体の演奏リード、音程・リズム・表現力を同時に統制 | ★★★★★ |
ポイント
- リズム感と手首の柔軟性が最重要
- 押さえ具とバチの角度・力加減で音色を自由に操る
- 複数ビリンバウを組み合わせる場合、聴覚の分離能力と即興力が求められる
💡 習得のコツ
- 基本のリズム(Toque)をマスターする
- バチと押さえ具の角度・位置を意識して音色を調整
- 複数ビリンバウの組み合わせを練習し、リズム層を理解
- カポエイラの音楽・動きと同時に演奏する練習
有名な奏者
1. ブラジルの伝統的奏者
- Mestre Pastinha(パスチーニャ師)
- カポエイラ・アンゴラの伝統を守り、ビリンバウ奏者としても有名
- カポエイラのリズム教育に大きく貢献
- Mestre Bimba(ビンバ師)
- カポエイラ・レジオナルの創始者
- ビリンバウ演奏技術とカポエイラ指導法を確立
- Mestre João Pequeno(ジョアン・ペケーノ師)
- アンゴラスタイルでの演奏が高く評価される
- 若い世代への教育・伝承にも尽力
2. 現代の著名ビリンバウ奏者
- Naná Vasconcelos(ナナ・ヴァスコンセロス, 1944–2016)
- ジャズ・ワールドミュージックでも活躍
- ビリンバウを独自の即興表現に応用
- Jaques Morelenbaum(ジャクス・モレレンバウム)
- 弦楽器・ビリンバウを組み合わせた現代音楽で活動
- ブラジル音楽の国際的普及に寄与
- Thiago da Purificação(チアゴ・ダ・プリーフィカソン)
- カポエイラ界で若手の名手
- ビリンバウ奏法の伝統と新しい技術を融合

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ビリンバウ(Berimbau)」の新品および中古における製品ラインナップと価格相場を整理します。購入を検討する際の参考になれば幸いです。
🛒 製品ラインナップ例
以下は、実際に販売されているモデルの一部です(新品が主ですが、一部中古・アウトレット的な価格も含まれます)。
以下、それぞれ簡単な説明です:
- Contemporânea ビリンバウ CO‑BBMVL(付属品付き):日本国内取り扱いの人気ブランド「Contemporânea」の仕様。付属品(カシシ、バチ、鉄ディスク等)付きで、価格例として 約 ¥45,213 程度。
- MEINL Berimbau BE1R:ドイツのブランド MEINL によるモデル。仕様詳細付属あり。価格例として €150.40(約 ¥22,000〜¥25,000級)。
- スタンダード ビリンバウ 単品モデル:比較的廉価な基本モデル。日本の通販で例として 約 ¥32,656 など。
- ハンドメイド/入門用 ビリンバウ モデル:ハンドメイドまたは入門仕様モデル。価格がさらに抑えられた例も見られます。
- (上記の「プレミア仕様」「別流通」「別仕様」「廉価版ハンドメイド」も同様の範囲・仕様変化のバリエーションです)
📊 価格相場の目安
新品/中古それぞれの目安をご紹介します(為替・時期・仕様・材質・輸入費用でかなり変動します)。
新品本体
- 世界の専門店では、基本モデルで €15~€300 程度という価格帯が確認されています。
- 日本国内取り扱い例:チューナブル仕様で ¥40,000 程度という価格も。
- 参考として、英国のショップでは「Small Contemporânea berimbau」£88.50(約 ¥15,000〜20,000)という表示あり。
- よって、日本円換算で “入門〜基本仕様”で約 ¥15,000〜¥50,000前後 がひとつの目安となります。
- より高級仕様・手工芸・装飾付き・ブランド付となると ¥50,000〜¥100,000以上 もあります。
中古・出品例
- オークション・中古楽器市場では、ビリンバウが新品同様または付属品付きで出品されており、米ドル換算で “$100程度” のものも。 eBay
- 国際通販サイトでも「45 €~80 €」という価格帯のモデルも。
- 日本国内オークションでは“新品・未使用/中古”で多数出品されている記録あり。
- よって中古では、仕様・状態によって “新品価格の半額〜7〜8割” 程度で流通しているケースもあります。
✅ 購入時のチェックポイント
- 弓(Verga)の材質・長さ、共鳴器(Cabaça)の大きさ・材質が音色・価格に大きく影響。
- 弦(Arame)の太さ・材質、付属品(バチ・カシシ・ドブラォン)が揃っているか。
- ブランド・製作工房の信頼性や「チューナブル仕様」などの付加価値が価格に反映。
- 輸入品・海外通販の場合は送料・関税・配送手配・為替の影響を考慮。
- 中古購入の場合は使用痕・材質の劣化(特に共鳴器のカボチャ素材)や修理歴を確認。
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