ハーディガーディとはヨーロッパで発明されたかなり変わった楽器です。ハーディーガーディーはバイオリンに似た外観なのですが、付属するハンドルを回すと、バイオリンのような、バグパイプのような音が聞こえてくるという奇妙な楽器です。中世のヨーロッパでは奏でられる美しいメロディーに合わせて、踊っていたと言われています。西欧、東欧、北欧とヨーロッパ全域に分布する楽器です。起源は古く、11世紀ごろから使われ始めたと言われています。
起源と歴史
ハーディ・ガーディは英語の名称で「hurdy gurdy」と呼ばれており、これはヨーロッパのハンガリーでこの楽器は生まれました。ドローンの演奏もでき、現在は独特の旋律とキーが特徴になっています。弓と駒を使い、弦楽器のなかまで音程の調整ができます。
🔹 起源
- ハーディ・ガーディは 弦を直接弓で弾くのではなく、車輪で弦をこすって音を出す弦楽器です。
- 起源は 中世ヨーロッパの11世紀頃とされます。
- 当初は「Organistrum(オルガニストルム)」と呼ばれる大型の二人用楽器として登場しました。
- 宗教音楽(教会の合唱伴奏)で使用され、1人が車輪を回し、もう1人が旋律操作を行う形式でした。
🔹 中世〜ルネサンス期
- 13世紀頃、小型化された「Symphonia(シンフォニア)」が登場し、1人で演奏可能になりました。
- 民衆音楽や舞曲、宮廷音楽の伴奏として広く使われるようになりました。
- フランス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ各地で普及し、各地で地域特有の形式に発展。
🔹 ルネサンス〜バロック期
- 16〜17世紀には、木工技術の進歩により、音響性能や演奏性が向上。
- バロック期には特に フランス宮廷で「田舎趣味」として人気を博しました。
- 同時期、**ドローン弦やバズ音(buzzing bridge)**などの工夫が加えられ、リズムや装飾音を出せるようになりました。
🔹 18〜19世紀
- ヨーロッパ全土で民衆音楽の中核楽器として使用されましたが、バイオリンやピアノの普及により徐々に衰退。
- 特に都市部では使用者が減少しましたが、フランスの農村地帯では生き残りました。
🔹 20世紀以降
- フォーク・リバイバル運動により復興。
- 現代では民俗音楽だけでなく、ポップス・ロック・現代音楽・ワールドミュージックなど多ジャンルで演奏されます。
- 手作り楽器の職人や現代の工房により、オリジナルやカスタムモデルも製作されています。
特徴と構造、サイズ
ハーディ・ガーディは、中世ヨーロッパに起源を持つ 機械的な弦楽器 で、他の弦楽器にはない独自の仕組みを持っています。
🔹 特徴
- 車輪による摩擦弦奏法
- 弦を直接弓でこするのではなく、ロジン(松脂)を塗った車輪をクランクで回すことで音を出す。
- 車輪が弦を摩擦し続けるため、持続音(サステイン)が自然に生まれる。
- ドローン弦による持続音
- 複数のドローン弦(drone strings)が背景で常に鳴る。
- バグパイプのような、メロディに重なる持続的な低音を作る。
- 鍵盤操作でメロディ
- メロディ弦(melody strings)の音高は、鍵盤(キー)を押すことで変化。
- 指板の代わりに「タンジェント」が弦に触れ、音程を決める。
- バズ橋(Buzzing bridge)によるリズム効果
- ドローン弦の一部に「バズ音」を生じさせる橋があり、打楽器的なアクセントを加えられる。
- ジャンルを問わず多用途
- 民俗音楽、舞曲、宗教音楽、現代音楽、ポップスまで幅広く対応。
🔹 構造
| 部位 | 役割 |
|---|---|
| 車輪(Wheel) | クランクで回して弦を摩擦する、弓の役割 |
| クランク(Crank) | 車輪を回すためのハンドル |
| メロディ弦(Melody strings) | 鍵盤で音高を変え、旋律を奏でる |
| ドローン弦(Drone strings) | 常に鳴り続ける持続音を提供 |
| タンジェント(Tangent) | 鍵盤押下で弦に触れ、音程を決定 |
| バズ橋(Buzzing bridge) | ドローン弦にリズム的なバズ音を加える |
| 本体(Body / Soundbox) | 木製の共鳴箱。ギター型やリュート型など様々な形状 |
🔹 音色の特徴
- 持続音が豊か:ドローン弦が常に鳴るため、バッキングなしでも厚みのある音
- メロディは明瞭:タンジェントを押すことで正確な音程が得られる
- 独特のバズ音:踊りや舞曲にリズムを与える
🔹 サイズ
| 形式 | 全長 | 重さ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 初期型オルガニストルム | 約1.5〜2 m | 非常に重い(2人で演奏) | 大型・宗教音楽用 |
| 小型シンフォニア | 約80〜110 cm | 約3〜5 kg | 片手でクランク、もう片手で鍵盤操作 |
| 現代モデル | 約90〜110 cm | 約3〜5 kg | ギターに近いサイズで持ちやすく、演奏しやすい |
- 材質は 木材(スプルース、メイプル、ローズウッドなど) が中心
- 弦は 羊腸弦またはナイロン弦、鉄弦 など、モデルによって異なる
種類について詳細
ハーディ・ガーディは、時代や地域、用途によってさまざまな種類があります。ここでは 構造・弦・演奏機構の違い に着目して整理します。
🔹 1. 歴史的な分類
| 種類 | 特徴 | 時代・用途 |
|---|---|---|
| Organistrum(オルガニストルム) | 大型・二人で演奏する、低音弦が多い、鍵盤は棒で操作 | 中世11〜12世紀、宗教音楽・教会 |
| Symphonia(シンフォニア) | 小型化、1人でクランクと鍵盤操作可能、メロディ弦とドローン弦あり | 13世紀以降、民衆音楽や舞曲、宮廷音楽 |
| ロココ型(18世紀フランス) | バロック・ロココ様式、装飾的な形状、バズ橋を搭載 | 18世紀フランス、宮廷・田舎趣味音楽 |
🔹 現代の分類(構造・機能による)
1. 鍵盤タイプ
- メロディ弦の音高を鍵盤で操作
- タンジェントが弦に触れて音程を決める
- 例:標準的な現代ハーディ・ガーディ
- 初心者から上級者まで広く使用可能
2. バズ(Rhythm / Trompette)タイプ
- ドローン弦に「バズ橋」を設け、リズムやアクセントを加えられる
- 舞曲や民俗音楽で多用される
- バズ音を使いこなすには一定のテクニックが必要
3. ドローン弦数による分類
- 1〜2本ドローン:小型・軽量で初心者向け
- 3本以上ドローン:音の厚みが増す、上級者向け
4. 弦の種類による分類
- 羊腸弦(Gut Strings):伝統的で柔らかい音色
- ナイロン弦(Synthetic):安定性が高く耐久性あり
- 鉄弦(Steel Strings):明瞭で強い音量、フォークや現代音楽向き
5. 特殊構造タイプ
- モダン・カスタムハーディ・ガーディ
- ピックアップ内蔵でアンプ接続可能
- ドローンやメロディの音量バランスを調整可能
- MIDI対応モデルもあり、現代音楽・録音用途に適応
🔹 世界的な地域差
| 地域 | 特徴 |
|---|---|
| フランス | バロック期の伝統を受け継ぐ装飾型、バズ橋装備が多い |
| 東ヨーロッパ(ハンガリー・ルーマニアなど) | 民俗音楽向けの簡易型、軽量で舞踏向き |
| スペイン(ガリシア地方) | 小型・明るい音色、舞曲で使用 |
| 現代工房(北米・欧州) | 録音・ライブ向けの高機能モデル(ピックアップ、MIDIなど) |

ハーディガーディの曲
ハーディガーディは非常にマニアックな楽器であることから、あまり歌謡曲では使われていません。そのため、民族音楽や、BGMで多用される楽器です。
奏法、難易度
ハーディ・ガーディは独特の構造を持つため、演奏方法や難易度も他の弦楽器と大きく異なります。
🎸 奏法
1. クランク操作
- 右手(多くの場合)はクランクを回す。
- クランクを回す速さや力加減で音の持続や強弱が変化。
- ポイント:安定した回転速度が美しい持続音の基本。
2. 鍵盤操作(メロディ弦)
- 左手で鍵盤を押して音高を決める。
- 鍵盤を押すタイミングとクランクの回転速度を連動させる必要がある。
- ポイント:正確なリズムと音程を維持するためには、両手の協調が重要。
3. ドローン弦・バズ音の操作
- ドローン弦は常に鳴り続けるが、バズ橋がある場合は クランクの回転や圧力でリズムを生む。
- バズ音を出すには、クランクを早めに回したり、角度を調整するなどのテクニックが必要。
4. 音量・表現の調整
- クランク速度で音量を変える。
- メロディ弦の強弱やバズのオンオフで演奏表現を豊かにする。
🎯 難易度
初心者向け
- モデル:1〜2本ドローン、バズなしの軽量鍵盤型
- 特徴:
- クランクと鍵盤操作の基本のみで演奏可能
- ドローン音が自動的に背景を作るため、旋律に集中できる
- 難易度:★★☆☆☆(基本的な旋律は数日〜数週間で習得可能)
中級者向け
- モデル:バズ橋付き、複数ドローン弦、羊腸弦
- 特徴:
- バズ音でリズム表現が必要
- クランク速度と鍵盤操作の調整が要求される
- 難易度:★★★☆☆(安定した持続音とリズムを両立する練習が必要)
上級者向け
- モデル:複数ドローン+バズ橋+ピックアップ内蔵やMIDI対応
- 特徴:
- 電子音や録音向け調整、表現の幅が広い
- 両手の高度なコントロールと演奏経験が必須
- 難易度:★★★★☆〜★★★★★(プロや舞台演奏レベル)
有名な奏者
ハーディ・ガーディは民俗音楽や現代音楽、フォーク・ルネサンスリバイバルで人気があり、世界中に著名な奏者がいます。
1. アラン・スティーヴンス(Alan Stivell)
- 国籍:フランス(ブルターニュ)
- ジャンル:ケルト音楽・フォーク
- 特徴:
- 現代ブルターニュ音楽の第一人者
- ハーディ・ガーディを中心に、多くのアルバムで演奏
- 伝統的な旋律に現代的アレンジを加える
2. アンドリュー・パワーズ(Andrew Power)
- 国籍:アイルランド
- ジャンル:フォーク・ワールドミュージック
- 特徴:
- 舞曲・民俗音楽での技巧派
- 複数ドローンを駆使した複雑なリズム表現
3. ジーノ・ロペス(Gino Lopez)
- 国籍:アメリカ
- ジャンル:フォーク、ワールドミュージック
- 特徴:
- 現代フォーク・ロックとの融合演奏
- ピックアップ内蔵モデルを用いたライブ演奏
4. フィリップ・ピエール(Philippe Pierre)
- 国籍:フランス
- ジャンル:ルネサンス・フォーク
- 特徴:
- 古楽器の復元と演奏に精通
- バズ橋やドローン弦の多彩な使用で舞曲を表現

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ハーディ・ガーディ(hurdy‑gurdy)」の新品と中古の製品ラインナップおよび価格相場について、分かる範囲で整理しました。手作り・少量生産の楽器なので、モデル・仕様・製作者によってかなり価格差があります。以下、代表的なラインナップと相場をまとめます。
🎯 代表モデル例(製品ラインナップ)
以下、一部商品をピックアップしています。仕様(弦数・ドローン数・鍵数・装飾)により価格が変わるため、「同じ名前でも仕様違いあり」です。
それぞれ特徴を簡単に:
- Hand‑made 6‑string 24‑key Hurdy Gurdy Maple:メープル材使用・6本弦・24キーの本格仕様。高価格帯。
- Hand‑made Hurdy Gurdy with Case:手作り仕様でケース付。仕様詳細はやや不明だが中級~上級向け。
- Hurdy Gurdy (Silver):比較的低価格帯の手作りモデル。入門~中級向け。
- UGEARS Wooden Model Hurdy Gurdy Toy:木製キット/モデル玩具タイプ。演奏用というよりインテリア或いは学習用。
💰 新品価格の相場
- 新品の本格的な手作りハーディ・ガーディは US $1,800〜US $4,500+(日本円でおおよそ 約¥25万〜¥70万以上)という例があります。
- 入門用~中価格帯モデルでも、欧州製作家のモデルで €800〜€1,300(約¥12万〜¥20万) 程度の価格帯が紹介されています。
- 極めて廉価なモデル(玩具/キット)であれば US $400〜$800(約¥6〜12万程度) という情報もありますが、「練習用」や「装飾用」に近く、演奏用としての完成度は低めという注意もあります。
🔄 中古価格の相場
- 中古市場では、例えば「ほとんど使用されていないモデル」が “New Price £670 → Used” といった出品例もあります。
- また、ハーディ・ガーディ専門の中古・手作り楽器フォーラムでは「新しい良質モデルでも CAD $1,200未満で探せる」という投稿もあり、仕様を抑えればかなり低価格で入手可能という声があります。
- ただし「安価=高品質ではない」「仕様・調整・製作者によって値段のバラつきが非常に大きい」という警告も出ています。
これから楽器を買いたいなら
これから楽器を買いたいなら以下の記事を参考にしてみてください。オンラインと店頭いずれの対応もしており、登録はすぐにできます。案内に沿って登録しましょう。
中古楽器を売りたいならどうする?
中古楽器を売りたいなら中古の買い取り業者で買い取ってもらうことがおすすめです。パーツや部品での買取もあります。無料査定がありますのでまずは相談してみてはいかがでしょうか?
これからレッスンをしたい方は?
これからレッスンをして楽器が上手くなりたい、楽しみたいと言う方には音楽教室がとてもおすすめとなります。以下の記事で紹介していますので参考にして申し込みをしてみましょう。





コメント