ツィターはオーストリア・ドイツ・スイス等ドイツ語圏を中心に弾かれている民族楽器です。弦楽器であり、5本のメロディー弦と30本以上の伴奏弦を横に張り、メロディー弦を右手の親指にはめた金属製の爪で弾きます。ヨーロッパの民俗楽器として使用されてきた楽器で、伝統音楽で使われる楽器です。ツィターに似た楽器は世界中に発達しており、中近東のカーヌーン、中国の琴、日本の箏もツィターの同種類の楽器です。
起源と歴史
ヨーロッパでこの楽器は生まれました。
1. 起源
- ツィターは弦楽器の一種で、特にヨーロッパ中部で発展した鍵盤やネックを持たない平たい弦楽器です。
- 名前の由来はドイツ語の「Zither」で、ラテン語の「cithara(キタラ)」に由来するとされます。
- 起源は非常に古く、中央ヨーロッパやアルプス地方の民俗音楽において、民家やサロンでの演奏用として発展しました。
2. 歴史の流れ
18世紀以前
- 平たい弦を共鳴箱に張った原型的なツィターが登場。
- ドローン弦や伴奏用弦を備え、旋律と伴奏を同時に演奏できる構造が特徴。
18世紀後半~19世紀
- オーストリア・バイエルン地方で「**ザルツブルク・ツィター(Salzburg Zither)」「ミッテンヴァルト・ツィター(Mittenwald Zither)」」が登場。
- 民族音楽だけでなく、サロン音楽・家庭音楽でも広く演奏されるようになる。
- 弦数や形状が多様化し、フレット付きメロディ弦や伴奏弦を備えるモデルが出現。
20世紀
- 映画『The Third Man』(1949年)で Anton Karas が演奏したことで、世界的に注目される楽器となる。
- コンサート・ツィターとして、クラシック音楽や民俗音楽の両方で使用されるようになる。
- 教育用・演奏用としての小型モデルも登場し、普及がさらに拡大。
現代
- 民俗音楽・クラシック音楽・映画音楽など幅広い用途で使用。
- 形状や弦数、演奏方法のバリエーションが豊富で、地域ごとの特色も色濃く残っている。
まとめ
- 起源:ドイツ語圏・アルプス地方の民俗音楽用弦楽器
- 発展:18世紀末〜19世紀に家庭・サロン音楽に普及
- 世界的注目:1949年『The Third Man』の映画サウンドトラック
- 現代:民俗音楽、クラシック、教育用、小型〜大型まで多様なモデル
特徴と構造、サイズ
では、ツィター(Zither)の特徴・構造・サイズについて整理します。
1. 特徴
- 弦楽器の一種で、ネックがなく弦が平らな共鳴箱に直接張られているタイプ。
- 音色は民族的・牧歌的で、柔らかく澄んだ響き。アルプス地方の民俗音楽やサロン音楽に向く。
- 演奏用途:旋律弦と伴奏弦を同時に演奏可能で、1人でメロディ+和音を表現できる。
- 演奏方法:指・爪・ピック(プレクトラム)などで弦を弾く/はじく。
2. 構造
| 部位 | 説明 |
|---|---|
| 共鳴箱(ボディ) | 弦の振動を増幅する平たい箱型。材質はスプルース、メイプル、マホガニーなど。 |
| 弦 | メロディ用弦・伴奏弦・ドローン弦があり、弦数はモデルにより20本〜40本以上。 |
| フレット(オプション) | メロディ弦にフレットを設けたタイプは、正確な音程で演奏可能。フレットなしモデルもあり、民族音楽向けに使われる。 |
| 支持部・足/台 | 膝上、テーブル、専用スタンドに置いて演奏する。 |
3. サイズ
- 小型モデル(入門・ポータブル)
- 横幅:約30〜35cm、長さ:約60〜70cm、厚み:約5cm
- 重量:約0.7〜2kg
- 弦数:20〜25本程度
- 中型・家庭用モデル
- 横幅:約40〜50cm、長さ:約80〜100cm
- 重量:約3〜5kg
- 弦数:25〜35本
- コンサート・大型モデル
- 横幅:約50〜60cm以上、長さ100cm以上
- 重量:5kg以上
- 弦数:30〜40本以上
- フレット付き・複雑な伴奏弦構造があり、プロ演奏用
種類についてバリエーション
では、ツィター(Zither)の種類・バリエーションについて整理します。
1. 音域・弦数による分類
| 種類 | 弦数 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 入門・ポータブルモデル | 20〜25本程度 | 初心者向け、小型で軽量。旋律弦中心で伴奏弦が少ないことが多い。 |
| 家庭用・中型モデル | 25〜35本程度 | 家庭での演奏や民俗音楽用。旋律+伴奏弦が揃っており1人で演奏可能。 |
| コンサート・大型モデル | 30〜40本以上 | プロ演奏用。旋律弦+複雑な伴奏弦構成で、フレット付きも多い |
2. 地域・スタイルによる分類
| スタイル | 特徴 |
|---|---|
| ザルツブルク・ツィター(Salzburg Zither) | オーストリア発祥。片側が丸みを帯びたボディで、旋律+伴奏弦が揃う。 |
| ミッテンヴァルト・ツィター(Mittenwald Zither) | ドイツ・バイエルン地方。両側が丸い形状で、民族音楽で使用。 |
| アルプス・ツィター(Alpine Zither) | 山岳地方の民俗音楽向け。弦数は少なめで、ドローン弦付き。 |
3. 演奏方式による分類
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| フレット付きモデル | メロディ弦にフレットがあり、正確な音程で演奏可能。クラシック/コンサート向け。 |
| フレットなしモデル | 民俗音楽用。音程調整は耳や指で行う。装飾的演奏が可能。 |
| コード・ツィター(Chord Zither) | 伴奏弦を簡単に押さえて和音を作れるタイプ。初心者や伴奏用に便利。 |

ツィターの曲
ツィターはオーケストラ楽器として使用されることが多いです。
奏法、難易度
では、ツィター(Zither)の奏法と難易度を整理して解説します。
1. 基本奏法
(1) 弦の弾き方
- 右手:主に旋律弦を弾く。指や爪、ピック(プレクトラム)で弦をはじく方法がある。
- 左手:伴奏弦やドローン弦を押さえたり弾いたりして、和音や持続音を作る。
- 同時演奏:旋律+伴奏を1人で演奏できるのが特徴。
(2) ポジション
- 膝の上やテーブルの上に置き、手を自由に動かせる位置で演奏。
- 大型モデルでは専用スタンドや台に置く場合もある。
(3) 装飾音・特殊奏法
- ハンマリングやプリング、トレモロ(素早く弦を弾く)
- ドローン弦を活かした持続音
2. 上級テクニック
- 複数部の同時演奏:旋律+伴奏+ドローンを同時に操作する高度な技術。
- フレット操作:コンサートツィターでは正確な音程を保ちながら複雑なフレーズを弾く必要がある。
- リズム表現:民俗音楽特有のリズム・装飾を自然に出す演奏技術。
3. 難易度
| 難易度 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| ★☆☆ | 初心者 | 弦数少なめの入門モデル。旋律単独で演奏可能。 |
| ★★☆ | 中級者 | 伴奏弦・ドローン弦も使い、左右手を独立して演奏。 |
| ★★★ | 上級者 | コンサートツィターで旋律・伴奏・装飾音を同時に演奏。フレット操作やトリルも必要。 |
| ★★★★ | プロ | オーケストラや録音用演奏で、高度な表現力・音色コントロールが要求される |
有名な奏者
では、ツィター(Zither)の有名な奏者を整理します。
1. 歴史的な奏者
Johann Petzmayer(1803‑1884)
- オーストリア出身のツィター奏者
- 19世紀にツィターを家庭音楽・サロン音楽からコンサート楽器として確立
- ウィーンでの演奏会で人気を博し、ツィターの普及に大きく貢献
Anton Karas(1906‑1985)
- オーストリアのツィター奏者
- 映画『The Third Man』(1949年)サウンドトラックで演奏し、ツィターを世界的に有名にした
- 独特のリズミカルな旋律と伴奏の組み合わせで人気
2. 現代の著名奏者
Günter Strack(ゲンター・シュトラック)
- ドイツ・オーストリアを中心に活動
- コンサート・民俗音楽双方で活躍するツィター演奏家
Michael Krug
- 民族音楽/アルプス地方のツィター演奏で知られる
- フォーク音楽フェスティバルや録音作品で活躍
Gisela Schuster
- 現代のコンサートツィター奏者
- クラシック音楽・室内楽でも演奏経験あり

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ツィター(Zither)」の 新品・中古の製品ラインナップと価格相場について、現在入手可能なモデル・価格データをもとに整理します。楽器購入を検討される際の参考としてご活用ください。
🎼 製品ラインナップ例
以下はツィター/類似弦楽器の実際の販売例です。日本国内・海外ともに「ツィター」という名称のものが多様に出品されており、仕様(弦数・サイズ・仕様)によって価格が大きく異なります。
それぞれの簡単な説明:
- Zither Heaven Cherry Bowed Psaltery w/22 Strings:22弦仕様、チェリートップ材使用という中級モデル。価格例:約 ¥42,796。
- Zither 21‑Strings Portable Guzheng/ Zither 53×32cm:21弦・ポータブルサイズ、比較的入門仕様。価格例:約 ¥29,733。
- Portable Professional 21‑String Guzheng/Zither Beginner:21弦・ポータブルシリーズの一つ。価格例:約 ¥47,875。
- Portable Professional 21‑String Guzheng/Zither (Alternate Spec):同じく21弦仕様、仕様若干異なる別モデル。価格例も同じく約 ¥47,875。
- OrientalMusicSanctuary Paulownia Guqin – 7‑String Chinese Zither:こちらは中国伝統の7弦ツィター系(グチン/古箏系)ですが、ツィターの広義のバリエーションとして参考。価格例: ¥64,967。
- SUZUKI TAS‑12 Asunaro Taishōgoto (Zither‑like):日本の和楽器「大正琴」をツィター類似楽器として紹介。12絃仕様、価格例:約 ¥23,375。
- その他、「複数弦ミックスセット」「21弦ポータブルシリーズ」など、モデル・仕様違いのバリエーションも含まれています。
📊 価格相場の目安
ウェブ上および専門ショップのデータから、ツィター/ツィター類似楽器の価格の目安を整理します:
- 新品モデル(ヨーロッパ製・南ドイツ/オーストリア製など)では「新しいツィターは EUR 1,500 以上」という記述があります。
- 中古/ヴィンテージモデルでは、「1935年製ドイツ・ツィター」がおおよそ US$200〜400 程度という事例あり。
- 欧州の専門ショップでも、入門〜中級ツィターが「£」(英ポンド)価格帯で出ており、幅が大きい。
- 中国系/21弦ポータブル・モデルなど比較的安価な仕様では日本で数万円台(上記例で約¥29,700〜¥47,800)という実例あり。
- 中級~高級ツィター、特注・手工・多数弦仕様では数十万円以上となる可能性。
つまり、ざっくり言えば
- 入門・軽量モデル:数万円〜十数万円
- 中級・一般仕様:十万円~数十万円
- 本格仕様・手工製・欧州製:十数万円~百万円超、あるいはそれ以上もあり得る
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