ンゴニはマリの伝統音楽で使われる弦楽器です。ボディがひょうたんでできている特徴的な楽器です。西アフリカでコラに次いでポピュラーな弦楽器で「グリオ」が演奏する楽器として有名です。アメリカに渡った楽器で、バンジョーのルーツとなった弦楽器といわれます。弦は通常3本で、ネックの途中から張られていてそれぞれ長さが違う楽器。弦はネックの途中から取り付けられています。
起源と歴史
マリでこの楽器は生まれました。
1. 起源
- ンゴニは西アフリカの伝統弦楽器で、特にマリ共和国、ブルキナファソ、ガーナ、セネガル北部などで広く使用されてきました。
- 起源はグリオ(Griot)文化と深く結びついています。グリオは口承で歴史や伝説を伝える音楽家・語り部であり、ンゴニはその伴奏楽器として発展しました。
2. 歴史的背景
- 古代からのリュート系楽器の系譜
- ンゴニはアフリカ大陸に古くから存在した小型リュート系弦楽器が進化したものとされます。
- 紀元前数百年の頃から、アフリカ内陸部で弦楽器が神事や祭礼、民間伝承に使われていた記録があります。
- マリ帝国(13〜16世紀)での発展
- マリ帝国の宮廷では、グリオが歴史物語を語る際にンゴニを使用
- 王族や貴族の祝祭、宗教儀式、戦争の記録を音楽で伝える重要な役割を担った
- 植民地時代以降
- フランス植民地支配下でも、ンゴニは民俗音楽の中心楽器として残る
- 地域の文化保存、民謡、ダンス音楽に使われ続けた
- 現代への影響
- 20世紀後半からはジャズやワールドミュージックの世界でも注目
- 世界的なアーティスト(Bassekou Kouyatéなど)が演奏し、西アフリカ音楽の象徴として国際的に広がった
特徴と構造、サイズ
では、「ンゴニ(Ngoni)」の特徴・構造・サイズについて整理します。
1. 特徴
- 音色:高音域が明るく、澄んだ響き。リズムと旋律の両方を奏でやすい
- 用途:民謡、祭礼、物語伝承(グリオ文化)、現代ワールドミュージックやジャズにも使用
- 演奏感:軽量で持ち運びやすく、指で弦をはじくフィンガースタイルに最適
2. 構造
- ボディ:
- 小型の木製胴(一般的にヒョウタンや木材で作る)
- 上面にヤギや牛の皮を張り、共鳴を増幅
- ネック:
- 一本の木材で作られ、弦を支える
- ネック上のフレットは少ないか、フレットなしのことも多い
- 弦:
- 弦数は4〜12弦程度が一般的
- 材質はナイロン、ゴートヘア、金属ワイヤーなど
- ピックアップや電子系はなし(伝統型の場合)
- 調弦:
- 弦ごとに音程を微調整
- メロディと伴奏を同時に弾く奏法に適応
3. サイズ
- ネック長:約40〜50cm程度
- 胴体サイズ:手のひらサイズで軽量(持ち運びやすい)
- 重量:約0.5〜1.5kg程度(モデルによる)
- 小型で片手でも演奏可能なデザインが多い
種類について詳細
では、「ンゴニ(Ngoni)」の種類について詳細を整理します。
1. 伝統的ンゴニの種類
1-1. ジャリ(Jali)ンゴニ
- 用途:グリオ(Griot)による歴史や物語の語り伴奏
- 特徴:
- 弦数:4〜7弦が一般的
- 小型で持ち運びやすく、軽快な音色
- 演奏者の指の技術でリズムと旋律を同時に奏でる
- 地域:マリ、ブルキナファソ、セネガル北部
1-2. ドゴンンゴニ
- 用途:ドゴン族の祭礼・儀式音楽
- 特徴:
- 弦数:6〜12弦
- 音域が広く、低音も出せる
- 大型の共鳴胴で豊かな響き
- 地域:マリ北部、ドゴン族居住地域
1-3. コルド(Korodj)ンゴニ
- 用途:部族間の祝祭や舞踏の伴奏
- 特徴:
- 弦数:4〜6弦
- 胴体はヒョウタン型で共鳴が豊か
- シンプルで素朴な音色
- 地域:ブルキナファソ、ガーナ
2. 現代的/改良型ンゴニ
2-1. モダンンゴニ(Modern Ngoni)
- 特徴:
- 弦数が増え、10〜12弦程度
- ピックアップやマイク内蔵モデルもあり、ライブ演奏や録音向き
- 音域が広く、ジャズ・ワールドミュージックでも使用可能
- 用途:現代音楽、国際舞台、レコーディング
2-2. ハイブリッドンゴニ
- 特徴:
- 弦や胴体素材を改良し、エレクトリックギターやアコースティックギター的な要素を導入
- 多弦化でコード演奏やアルペジオ演奏が可能
- 用途:現代音楽・クロスオーバー音楽
3. 種類ごとの弦数・音域の目安
| 種類 | 弦数 | 音域 | 用途 |
|---|---|---|---|
| ジャリンゴニ | 4〜7 | 高音域中心 | グリオの物語伴奏 |
| ドゴンンゴニ | 6〜12 | 高〜低音域 | 祭礼・儀式 |
| コルドンゴニ | 4〜6 | 中高音域 | 舞踏・祝祭 |
| モダンンゴニ | 10〜12 | 広域 | 現代音楽・録音 |
| ハイブリッドンゴニ | 10〜12以上 | 広域 | クロスオーバー音楽 |

ンゴニの曲
ンゴニは西アフリカでとても有名な楽器です。アフリカの伝統音楽で使われることが多いです。
奏法、難易度
では、「ンゴニ(Ngoni)」の奏法と難易度について整理します。
1. 奏法
1-1. 伝統的奏法
- 指弾き(Finger Plucking)
- 右手の指で弦をはじいて演奏
- 一般的に親指と人差し指でメロディとリズムを同時に奏でる
- 伴奏+旋律の同時演奏
- グリオ文化では、旋律とリズムを同時に弾きながら語りや歌を伴奏
- ポジションと押さえ方
- 左手で弦の張力や押さえ方を調整し、音程や音色を変化
1-2. 現代的奏法
- ピック使用
- 高速フレーズやポップ/ジャズ系の演奏に便利
- アルペジオ奏法
- 旋律を分散和音的に弾くことで、伴奏の厚みを増す
- 多弦・コード奏法
- モダンンゴニやハイブリッド型ではコード弾きやハーモニー演奏も可能
2. 難易度
初級向け
- 弦数が少ない伝統型(4〜6弦)
- 単音リズムやシンプルなメロディ弾き
- グリオ式伴奏の基礎を練習する段階
中級向け
- 弦数6〜10弦程度
- 旋律+リズムの同時演奏
- 左手で音程微調整、右手で複雑な指弾きフレーズ
上級向け
- 弦数10弦以上のモダンンゴニ/ハイブリッド型
- 高度な旋律+リズム同時演奏
- アルペジオやコード、複雑なポリリズム演奏
- 録音やステージ演奏での表現力が求められる
有名な奏者
では、「ンゴニ(Ngoni)」の有名な奏者を整理して紹介します。
1. 西アフリカの伝統音楽で有名な奏者
1-1. Bassekou Kouyaté(バセク・クヤテ)
- 出身:マリ共和国
- 特徴:
- 伝統的なモリンゴニ(モダンンゴニ)を使用
- 国際的な舞台でも演奏
- 西アフリカン・ブルースやワールドミュージックで活躍
- 代表的作品:アルバム「I Speak Fula」など
1-2. Mamadou Diabaté(ママドゥ・ジアバテ)
- 出身:マリ共和国
- 特徴:
- グリオの家系出身
- ンゴニの伝統技術を活かし、モダン音楽やジャズとも融合
- 国際的にツアー経験多数
1-3. Toumani Diabaté(トゥマニ・ジアバテ)
- 出身:マリ共和国
- 主にコラ奏者として有名だが、ンゴニの影響を受けた演奏も行う
- 西アフリカの伝統音楽界で影響力が大きい
2. その他注目の奏者
Jelani Eddington(ジェラニ・エディントン)
- 出身:アメリカ
- 西アフリカ音楽やンゴニ演奏を普及
- 教育活動やワークショップも行う
Famoudou Konaté(ファムドゥ・コナテ)
- 出身:ギニア
- 打楽器奏者として有名だが、ンゴニ奏者とも共演多数
- 民族音楽におけるンゴニの伴奏役として活躍

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
「ンゴニ(ngoni)」の 新品・中古での製品ラインナップと価格相場を整理します。楽器の仕様(弦数・材質・製作者・サイズ)や輸入・送料の影響を大きく受けるため、あくまで「目安」としてご覧ください。
🎯 製品ラインナップ(代表例)
以下のようなモデル・仕様が現行で確認できます:
それぞれ簡単に特徴を整理します:
- Hand‑made N’Goni by Arouna (10‑16 strings):アメリカ在住の職人 Arouna による手作り。10弦〜16弦仕様で「from $899~」との価格提示あり。
- Kamele Ngoni (10‑18 strings):西アフリカの伝統「カマレ・ンゴニ」タイプ。10〜18弦仕様。価格帯 $670〜$1,042 という記録あり。
- Kamalengoni 10‑14 strings lutherie made‑to‑order:フランス拠点の工房による受注製作モデル。10弦で €1,600、14弦で €3,400との価格例あり。
- Ngoni‑Kora (16 strings with pickup):16弦仕様、ピックアップ付のハイブリッド仕様モデル。価格 £1,300 という記録あり。
- Kamale Ngoni 12‑14 strings (retail):一般小売仕様。12弦・14弦モデルで $700〜$800という価格設定あり。
- Used Travel Ngoni (used condition):中古仕様・トラベルサイズ。使用良好状態品で A$633 という販売例あり。
- Professional luthier’s Ngoni 10 or 16 strings (custom):カスタム工房製作、素材が高級材。価格は「要問い合わせ」ながら仕様から高額想定。
- Ngoni Kamalengoni 8‑14 strings (entry retail):入門・廉価小売仕様。8弦で €320、10弦で €370、12弦で €420、14弦で €470という記録あり。
📊 価格相場の目安
価格は仕様・製作者・状態・輸入コスト等で大きく変動しますが、以下が参考範囲です(目安:1 USドル ≒ 約¥150〜¥170換算、ユーロ・ポンドは為替により変動)。
新品/手作りモデル
- 入門〜小売仕様(例えば 8〜12弦、小規模工房) → €320〜€500 程度(約 ¥50,000〜¥90,000)例あり。
- 中級仕様(10〜14弦、良質材・手作り) → US$600〜US$1,000(約 ¥90,000〜¥170,000)例あり。
- ハイエンド/カスタム仕様(16弦以上、高級材・ピックアップ付き等) → US$1,300〜US$1,700+(約 ¥200,000〜¥300,000以上)例あり。
- 受注製作特注モデル(国内/欧州ラグジュアリーモデル) → €1,600〜€3,400(約 ¥250,000〜¥600,000以上)例あり。
中古/使用品
- 良好な中古・トラベルサイズなど → US$400〜US$700(約 ¥60,000〜¥120,000)例あり。
- 非常に廉価モデル/状態や仕様控え目なもの → eBayで “Pre‑Owned” で $125(約 ¥20,000)という記録もあり
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