ホルンは管楽器、金管楽器で音色や特徴や魅力について解説します。16世紀から17世紀ごろのフランスで生まれたといわれています。いまでは世界で多数のメーカーが製造しており、オーケストラにおける花形楽器と呼ばれています。ホルンはまるで巻貝のような形状をしているため、とても特徴的で目立つ楽器でもあります。現在トップメーカーと言われているのは日本、ドイツ、アメリカ、オーストリアにある会社です。
起源と歴史
ホルン(French Horn)の起源と歴史について、詳しく整理します。クラシック音楽で使われる現代のホルンに至るまでの進化の流れを、時代ごとにまとめます。
1. 起源(紀元前〜中世)
- 原始的な起源:
- 古代より、人類は狩猟用の角や動物の骨を吹いて音を出す道具を使用していた。
- 音は信号や儀式の手段として使われ、これが現代ホルンの原型とされる。
- 古代・中世ヨーロッパ:
- 「角笛(horn)」として宮廷や狩猟で使用。
- 素材は動物の角や木製で、音階は非常に限られていた。
- 主に狩猟や軍事用の信号として使われることが多かった。
2. ルネサンス〜バロック時代(16〜18世紀)
- 狩猟用ホルン → 音楽用ホルンへ
- 「コル・ド・シャス(cor de chasse)」などの名称で呼ばれ、宮廷音楽や宗教音楽で使用。
- 金属製に進化し、形状も現在のリング型に近い形状が登場。
- 自然ホルン(ナチュラルホルン)
- バルブがない時代のホルン。音は倍音列に基づき、限られた音しか出せなかった。
- 演奏者は唇の振動と手の位置(ハンドストッピング)で音程や音色を調整。
- バロック音楽や古典派音楽のホルンパートは、この自然ホルン用に作曲されている。
3. 古典派〜ロマン派(18〜19世紀)
- バルブの発明(19世紀初頭)
- ロータリーバルブやピストンバルブにより、クロマティック(半音階)演奏が可能に。
- 作曲家はより複雑で表現豊かなホルンパートを書くことができるようになった。
- オーケストラでの活躍
- モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスなどの作品でホルンは重要な役割を果たす。
- 「柔らかい木管的音色」と「遠くまで響く金管的音色」を同時に表現可能となり、オーケストラの音色バランスに欠かせない楽器に。
4. 近代〜現代(20世紀〜21世紀)
- ダブルホルンの登場
- F管とB♭管を切り替えられるダブルホルンが発明され、音域と演奏の安定性が向上。
- 特にソロや難易度の高いオーケストラパートで不可欠。
- 現代ホルンの特徴
- ロータリーバルブ式やピストンバルブ式のモデルが主流。
- オーケストラ・吹奏楽・映画音楽・室内楽など幅広く活躍。
- 演奏技術は非常に高度で、アンブシュア(唇の振動)、息のコントロール、手の位置など複数の技術を同時に使う必要がある。
まとめ
| 時代 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 古代〜中世 | 動物の角や骨を使用、信号・儀式用 | 狩猟・宗教儀式・軍事 |
| ルネサンス〜バロック | 金属製リング型、自然ホルン | 宮廷音楽・宗教音楽 |
| 古典〜ロマン | バルブ発明、クロマティック演奏可能 | オーケストラ・サロン演奏 |
| 近代〜現代 | ダブルホルン、精密バルブ技術 | オーケストラ、吹奏楽、映画音楽、室内楽 |
開発会社
現在世界では多数のホルン製造メーカーが存在します。一覧を紹介します。音域はチューバや他の木管の楽器とは違い、少し高いです。現代の管楽器や木管楽器のトランペットやトロンボーン、フルート、オーボエとは出す音に違う魅力があります。コンサートで併用され広い活躍が可能です。
| 社名 | 国 | 特徴 |
| YAMAHA | Japan | ホルンは1968年にヤマハ初のフルダブルホルンを発売。それ以後、改良製品が発売され続けています。 |
| ALEXANDER | Germany | 1909年に誕生し、世界中のホルン奏者から愛され続けられているメーカー |
| H.F.Knopf | Germany | クノッフ一族がドイツ、マルクノイキュルヘンにて楽器工房を設立した1800年代からずっと続いているメーカーです。 |
| Kuhn | Germany | 1902年に設立されたリコ・キューンはとても評判の高いメーカーです。 |
| Hans Hoyer | Germany | ドイツ フォークトランド地方の由緒ある金管楽器ブランドです。 |
| Wenzel Meinl | Germany | ドイツ・ザクセン州の熟練した職人が製造しているブランド会社 |
| C.G.CONN | United States | アメリカンホルンの代名詞とされているブランドです。 |
| HOLTON | United States | 1898年に小さな楽器店から始まりました。多くの奏者から愛用されるようになりました。 |
| Jungwirth | Austria | ウイーン郊外に工房を構える会社です。古楽器を中心に製作をしている会社。 |
特徴と構造、サイズ
ホルン(French Horn)の特徴・構造・サイズについて整理します。オーケストラや吹奏楽での役割を理解するためにも、演奏や選び方の参考になります。
1. 特徴
- 音色の特徴
- 柔らかく、丸みのある音色から遠くまで響く音まで表現可能
- 金管楽器でありながら木管楽器のような柔らかさも持つ
- オーケストラや吹奏楽で「中音域のハーモニーの潤滑油」として重要
- 奏法の特徴
- アンブシュア(唇の振動)と息の量で音の高さ・音色を変化
- ハンドストッピング(ベル内に手を入れる奏法)により音程や音色を微調整
- バルブ操作で半音階を演奏可能
- 用途の広さ
- オーケストラ、吹奏楽、室内楽、映画音楽など幅広く活躍
- ソロでも豊かな表現力を発揮
2. 構造
主なパーツ
- マウスピース
- 唇の振動を音源に変える部分
- 小型で円錐形に近い形状で唇のコントロールをしやすい
- チューブ(管体)
- 長さ:約3.5〜4 m(まっすぐに伸ばした場合)
- 巻き取りが多く、ベルに向かって徐々に広がる
- 管の長さや巻き数によって音色や音域が変化
- バルブ
- ロータリー式やピストン式が主流
- 3〜4個のバルブで、管の長さを変えて音程を調整
- ダブルホルンではF管とB♭管を切り替え可能
- ベル
- 音が最終的に出る広い開口部
- 手を入れることで音色や音程を微調整する
- 支柱・ロータリー・チューニングスライド
- 管長の微調整や安定した音程確保のための可動部分
3. サイズ
| 項目 | 標準的な範囲 | 説明 |
|---|---|---|
| 管長 | 3.5〜4 m(F管の場合) | チューブをまっすぐ伸ばした場合 |
| ベル直径 | 約30〜35 cm | 小型から大型までモデルにより異なる |
| マウスピース | 外径約2.5〜3 cm | 標準サイズは演奏者の口形に合わせて選ぶ |
| 重量 | 約1.2〜1.5 kg | 素材や巻き方で差がある |
| バルブ数 | 3〜4個 | 標準は3、ダブルホルンは4個(切替バルブ含む) |
4. 種類と構造の違い
- シングルホルン:F管またはB♭管のみ
- ダブルホルン:F管とB♭管を切替可能、音域と安定性が向上
- フルダブルホルン:さらに管の組み合わせが複雑、音色の選択幅が広い
- ナチュラルホルン:バルブなし、倍音列に基づく演奏、歴史的作品演奏に使用
💡 ポイント
- ホルンは巻きの多い長い管と広いベルが特徴で、音色の柔らかさと遠達性を両立
- バルブ・手・息・唇を組み合わせた奏法が必須で、演奏者の技術が音色に直結
- サイズや管長の違いが音域・音色に大きく影響するため、モデル選びは演奏目的に合わせることが重要
ホルンの種類比較
| 種類 | 管の構成 | バルブ | 音域・音色 | 特徴・用途 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|---|
| シングルホルン | F管 または B♭管の1種類 | 3バルブ | F管:低音域が豊か、B♭管:明るく軽やか | 基本練習用・初心者向け、オーケストラでの標準ホルン | 初級〜中級 |
| ダブルホルン | F管とB♭管を切替可能 | 4バルブ(切替バルブ含む) | 音域が広く、低音は豊か、高音は明瞭 | 中級〜上級者向け、オーケストラ・吹奏楽で標準的に使用 | 中級〜上級 |
| フルダブルホルン | F管とB♭管に加え、さらに管の切替が可能 | 4バルブ以上 | 音色の選択幅が最も広く、倍音や音色の変化を自在に操れる | プロ奏者やコンサート用、ソロ演奏に最適 | 上級〜プロ |
| ナチュラルホルン | バルブなし、F管など単一管 | バルブなし | 倍音列に基づく音、柔らかくナチュラルな響き | 古典〜バロック音楽の歴史的演奏、レトロな音色 | 中級〜上級(技術が要求される) |
シングルホルン
シングルホルンは、1つの楽器で1つの調だけを演奏できる楽器です。構造が比較的シンプルで、歴史が最も古い形態のホルンで、原始的なホルンともいえます。後述のダブルホルンやトリプルホルンはこのシングルホルンから派生しています。
ダブルホルン
ダブルホルンは、1本の楽器で2種類の調性を切り替えられるようにしたものでシングルホルンから改良されたものです。さらにダブルホルンには2つの種類に分類されます。「セミダブル」と「フルダブル」があり、これは切り替えの違いによって分類されます。迂回管があるのが「セミダブル」、バルブで切り替えるのが「フルダブル」です。
トリプルホルン
トリプルホルンは、1本の楽器で3種類の調性を切り替えられるようにしたもので上記のホルンをさらに改良したもの。重量も重く、長時間の演奏にはそれなりの体力を要します。多くのオーケストラで使用されています。

奏法、難易度
ホルン(French Horn)の奏法と難易度について整理します。ホルンは金管楽器の中でも特に演奏が難しい楽器とされており、奏法の理解は上達に直結します。
1. 奏法の特徴
アンブシュア(唇の振動)
- 唇を振動させて音を作る。
- 音程や音色は唇の緊張度・形・位置で変化する。
- 高音域では唇の微細なコントロールが必要。
バルブ操作
- 3〜4個のバルブで管長を変え、半音階を演奏。
- ダブルホルンの場合は、F管とB♭管の切替で音域や音色を調整。
- ペダルのように息と指の操作を同時に行う必要がある。
ハンドストッピング
- ベルの中に手を入れ、音程や音色を微調整する技術。
- 独特の「止め音」や半音調整に使用され、表現力の幅を広げる。
音色表現
- 柔らかいメロディ、遠くに響く強奏、急激なフォルテ、弱音(pp)まで表現可能。
- オーケストラや室内楽では「他の楽器と調和しながら自己主張する」技術が求められる。
2. 難易度
初心者向け
- 音を安定して出すこと自体が難しい
- 低音域は比較的出やすいが、高音域は唇の微調整が必要
- 基本的な音階練習から始めることが必須
中級者向け
- ハンドストッピングやバルブ操作の組み合わせで半音階を正確に演奏
- フレーズや表現力をコントロール
- オーケストラでのパート演奏に対応
上級者・プロ
- 高音域での安定した演奏、強弱のコントロール、音色の変化を自在に操る
- ダブルホルン・フルダブルホルンを使いこなし、F管とB♭管を瞬時に切替
- ソロ演奏や録音で微細な音色調整を行う
難易度まとめ
| レベル | 特徴 | 必要な技術 |
|---|---|---|
| 初心者 | 音を出すだけでも難しい | アンブシュア、呼吸法の習得 |
| 中級者 | 半音階や表現力の幅を習得 | バルブ操作、ハンドストッピング |
| 上級者 | 高度な表現力・安定性 | 管切替(ダブル/フルダブル)、微細音色調整 |
💡 ポイント
- ホルンは金管楽器の中でも特に「音を安定して出すこと」と「正確な音程」が難しい
- アンブシュア・バルブ・手・息を同時にコントロールする高度な技術が必要
- 初心者はシングルホルン、中級者以上はダブルホルン・フルダブルホルンで表現力を伸ばすのが一般的
初心者向け練習方法
① 音を出す練習(アンブシュアの安定)
- マウスピースだけで音を出す「マウスピース練習」
- 唇の振動を確認し、低音域の音から出す
- 呼吸法を意識
- 息は腹式呼吸で安定して吐く
- 息の強さで音量・音色を調整
② 基本的な音階練習
- シングルホルンの音階をゆっくり吹く
- 低音域 → 中音域 → 高音域の順に音を伸ばす
- 長く伸ばす音でアンブシュアを安定させる
③ バルブ操作の確認
- 指の動きと息のタイミングを合わせる
- まずは簡単なスケールで正確にバルブを押す練習

有名な奏者
ホルン(French Horn)の有名な奏者についてまとめます。クラシック界で世界的に評価されているホルン奏者を中心に紹介します。
1. 世界的に有名なホルン奏者
| 名前 | 国籍 | 活動・特徴 |
|---|---|---|
| デニス・ブレイン (Dennis Brain) | イギリス | 20世紀を代表するホルン奏者。自然で豊かな音色と技術の高さで、ホルン演奏の標準を確立。録音も多く、現代ホルン奏者に多大な影響。 |
| バリー・タックウェル (Barry Tuckwell) | オーストラリア | 国際的ソリスト。フルダブルホルンの名手で、ソロ演奏とオーケストラでの活躍で知られる。教育者としても有名。 |
| フリッツ・ラウバー (Fritz Lehnert / Fritz Lehnert) | ドイツ | ドイツ・オーストリア流の演奏法を確立し、オーケストラ奏者・教育者として影響力大。 |
| オリヴァー・スネル (Oliver Snell) | ドイツ | 現代のソロ奏者、室内楽奏者として活躍。柔らかく表現力豊かな音色が特徴。 |
| エリック・ジュール (Eric Ruske) | アメリカ | 現代オーケストラ奏者、教員。モダンホルンの演奏技術を発展させる。 |
2. 日本で活躍するホルン奏者
| 名前 | 活動 | 特徴 |
|---|---|---|
| 木幡 智子 (Tomoko Kohata) | NHK交響楽団 | 国内オーケストラの首席奏者。透明感のある音色で定評。 |
| 柴田 裕 (Hiroshi Shibata) | 東京都交響楽団 | 多彩な音色表現でソロ・室内楽でも活躍。 |
| 渡辺 典子 (Noriko Watanabe) | 東京交響楽団 | ホルン奏者として国内外でコンサート活動、教育にも力を入れる。 |
新品と中古の価格相場
ホルン(French horn)を購入する際、モデル・ブランド・仕様・状態によって価格が大きく変わります。以下に国内・海外の参考データと、具体的なモデル例を挙げながら「新品/中古」の相場を整理します。
🎯 価格相場のポイント
- 初心者用モデルとプロ仕様モデルでは価格差が非常に大きい。
- 新品はブランド・ダブルホルン仕様(F管+B♭管)・仕上げなどで価格が跳ねる。
- 中古は使用年数・バルブの状態・修理履歴・付属品などで価値が左右される。
- 日本国内で流通している価格帯を中心に、海外参考価格も併せて紹介。
モデル例(新品・中古)
以下、実際の販売価格とともにモデルを紹介します。
それぞれ簡単に解説します:
- YAMAHA YHR‑314II:新品価格例として約 ¥287,100。国内での良さそうなエントリーモデル。
- ゼンオン ZFH700 フレンチホルン:新品価格例として約 ¥93,500。比較的手頃な中級機。
- J.Michael FH‑700 シングルフレンチホルン:新品価格として約 ¥69,000。初心者向けのシングルモデル。
- J.Michael FH‑850 フルダブルホルン:新品価格として約 ¥122,000。フルダブル仕様でも比較的手頃な価格帯。
- French Horn (一般モデル):新品価格として約 ¥223,300。モデル明確ではないがレンジの参考。
- シングルフレンチホルン Bb 3キー 単列モデル:新品価格として約 ¥38,059。かなりエントリー・低価格帯。
- (再掲)YAMAHA YHR‑314II:別出品としても同等価格帯。
- (再掲)ゼンオン ZFH700:別出品として同等価格帯。
🔍 新品 vs 中古の相場レンジ
新品の目安
- 入門/エントリーモデル(シングルホルン) → 約 ¥60,000〜¥200,000前後。
例:J.Michael FH‑700 が約 ¥69,000。 - 中級/ダブルホルン仕様 → 約 ¥200,000〜¥500,000+。
例:YAMAHA YHR‑314II が約 ¥287,100。 - プロ仕様/高級ブランド/特別仕上げ →場合によっては 数百万円規模になることも(海外ブランド・ヴィンテージ等)。
海外中古でも $10,000(≒¥1,500,000)前後の例あり。
中古の目安
- 比較的使用年数少・状態良い初心者モデル → 上記新品価格の 30〜70% 程度。
- 中級〜上級モデル・ブランド品・ヴィンテージ仕様 →新品の 50〜80% 程度、または場合によっては新品価格を上回る場合も。
海外の中古例として $6,500(約 ¥1,000,000前後)など。 - 日本国内でも「新品 ¥485,100」の YAMAHA YHR‑567D の例あり。
- 中古相場は「仕様」「ブランド」「状態」「付属品」「バルブの切替仕様(ダブル/フルダブル)」「管の巻き方・ベルの素材」などで大きく変わるため、あくまで目安。
これから楽器を買いたいなら
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