エモ・ラップとは?特徴や歴史、おすすめ音楽ジャンルの最新版を解説。エモ・ラップはつい最近出てきたヒップホップのジャンルの一つです。エモラップは近年、注目を浴びているジャンルです。エモロックやローファイヒップホップから派生した一種で歌うようなラップスタイルのジャンルと言われており、ヒップホップがとても盛んなアメリカにおいて、2000年代に発祥したとされています。
エモ・ラップとは?
エモ・ラップとはエモロックやローファイヒップホップから派生したジャンルです。ジャンルの特徴として、政治的・思想的なヒップホップによく見受けられる音楽的要素に対して、ロック風の演奏スタイルを取り入れています。そのためこのジャンルはヒップホップとロックのエモが融合したジャンルと言われており、主流のヒップホップとはかけ離れた新しいヒップホップの一つとして注目を集めています。
このジャンルはメロディアスで感情的な音楽性、そしてしばしば心情を吐露するような歌詞が特徴です。他にも鬱、孤独、不安、薬物乱用、ニヒリズム、自殺、傷心などに焦点をあてることが多い傾向にあります。エモ・ヒップホップのビートは生演奏の楽器を取り入れていることが多いです。
1. 定義
- ジャンルの融合
- 「エモ」=感情的で内省的な歌詞やメロディ
- 「ラップ」=ヒップホップのリズムとフロー
- その融合により、心の葛藤や孤独、鬱・恋愛・自己否定などの感情を直接的に表現するラップが特徴
- トラップやLo-Fiビートを背景にすることが多い
2. 音楽的特徴
- 歌詞・テーマ
- 内面的で感情的、自己開示的な内容が中心
- 孤独、不安、失恋、自己否定、精神的葛藤などを率直に表現
- 詩的・メロディックなフック(サビ)が多い
- リズム・ビート
- ヒップホップ/トラップ由来のビートが基盤
- 808キック、スネア、ハイハットがよく使用される
- ドラムパターンはシンプルながら、メロディとの対比で感情を強調
- メロディ・ボーカル
- ラップだけでなく、歌唱的フックやハミング、ラップと歌の融合も多い
- Auto-Tune(オートチューン)やリバーブで声を加工して感情を増幅
- 音色・サウンドデザイン
- Lo-Fi、アンビエント、エレクトロニカ寄りの背景音が多い
- ギターやピアノ、シンセなど、ロック的・エモ的な要素を取り入れる
3. 代表的アーティスト
- XXXTENTACION:孤独・自己否定の表現で世界的ヒット
- Lil Peep:エモ・パンク+ラップの先駆者
- Juice WRLD:恋愛や心の葛藤をメロディックにラップ
- 日本の例:iriやVivyなど、一部アーティストがエモ・ラップ寄りの楽曲を制作
エモ・ラップの歴史
エモ・ラップは新しいジャンルで、余り歴史がありません。ヒップホップがアメリカを中心に流行したのは2000年代以降で、当時はエミネムやカニエ・ウェストなどがとても流行していました。実際にこのエモラップジャンルが発祥したとされているのは2010年頃のアメリカです。XXXテンタシオン、リル・ピープが台頭したあたりから流行し始めました。
当時はサウンドクラウド・ラップと呼ばれており、SoundCloudなどにアップロードされていただけの音楽でしたが、2017年に発表されたリル・ウージー・ヴァートの”XO Tour Llif3″がビルボードで7位になり、このジャンルが徐々に一般層に認知されてい行きました。XXXテンタシオン、リル・ピープなどはその後、死去していますが、このジャンル自体はビルボードチャートでも上位に登場するようになり、メジャージャンルになろうとしています。
1. ルーツ:2000年代前半〜中盤
- エモ・ロック/ポストハードコアの影響
- My Chemical Romance、Fall Out Boy、Brand Newなどのエモバンドが感情表現の手法を確立
- インターネットとホームレコーディングの普及
- SoundCloudなどのプラットフォームで若手アーティストが自己制作楽曲を公開
- 先駆的アーティスト
- Bones、Night LovellなどがLo-Fi・暗めのトラップビートに内省的な歌詞を乗せる
2. 成長期:2015〜2017年
- SoundCloudラッパーの登場でジャンルが形成
- Lil Peep、XXXTENTACIONが代表的
- 特徴
- トラップ系ビートにエモ・ロック風のギターやピアノを融合
- 自己肯定感の低さや孤独感、鬱などを率直に歌う
- SNSやYouTubeでの拡散により、世界中の若者に人気
3. メインストリーム化:2017〜2020年
- Lil PeepやXXXTENTACIONのヒットにより、エモ・ラップが世界的に注目
- ジャンルの拡張
- メロディック・ラップ、トラップ、Lo-Fiサウンドとの融合
- オートチューンによる感情増幅が標準化
- Juice WRLDが恋愛・孤独をテーマにしたメロディックなエモ・ラップで商業的成功
4. 現在:2020年代
- ジャンルとしての多様化
- ネット世代中心に活動する新しいボカロ×エモ・ラップ、Lo-Fi × エモ・ラップなど派生ジャンルも登場
- エモ・ラップ的要素は、ポップス、J-POP、ボカロ曲などにも影響
- 日本でもネット発信型アーティストを中心に受容されつつある

有名アーティスト
XXXTentacion
アメリカのラッパー。2013年ごろからSoundCloudで活動を始め、2017年頃からブレイクしたアーティストです。2018年にはシングルである「Sad!」がビルボードチャート1位になりました。その後、フロリダで銃殺されてしまいました。
Lil Peep
アメリカのラッパーです。2016年頃から有名になり、エモラップを代表するアーティストになりました。しかし2017年にフェンタニルも過剰摂取をしてしまい、死去してしまいました。
Juice Wrld
アメリカのラッパー。2017年デビューEP『JuiceWRLD 9 9 9』をリリース、楽曲「Lucid Dreams」が人気を集めました。多くのヒップホップブログで取り上げられ、楽曲「All Girls Are the Same」が人気になりました。
エモ・ラップの音楽的特徴
エモ・ラップ(Emo Rap)の音楽的特徴は、感情的・内省的な歌詞表現とヒップホップ/トラップのビートを融合させたスタイルにあります。以下に詳しく整理します
1. 歌詞・テーマ
- 内面的で感情的な内容が中心
- 孤独、不安、鬱、失恋、自己否定、葛藤など
- 詩的・メロディックな表現を多用
- ラップだけでなく、**歌唱的フック(サビ)**も取り入れ、感情を強調
2. ボーカル・歌唱表現
- ラップと歌の融合が多い
- Auto-Tune(オートチューン)やリバーブで声を加工し、儚さ・切なさ・感情の増幅を演出
- 声のトーンやビブラートで心理的な表現を強化
3. ビート・リズム
- ヒップホップ/トラップ由来のビートが基盤
- 808キック、スネア、ハイハットを多用
- リズムはシンプル〜中程度で、メロディとの対比で感情を強調
- ダンス目的ではなく、歌詞やメロディの感情表現が中心
4. メロディ・ハーモニー
- フック部分はキャッチーでメロディック
- コード進行やサウンドはエモ・ロック由来の哀愁・切なさを表現
- ギターやピアノなど生楽器サウンドをトラップビートに組み合わせることも多い
5. 音色・サウンドデザイン
- Lo-Fi、アンビエント、ドリーミーなシンセサウンド
- 空間系エフェクト(リバーブ・ディレイ)で感情の深さや広がりを演出
- 全体的に暗め・切なめのトーンが多い

エモ・ラップの社会的背景と影響
エモ・ラップ(Emo Rap)の社会的背景と影響は、ジャンル自体の誕生や発展が若者の心理・ネット文化・社会環境と密接に結びついていることに特徴があります。以下に整理します。曲は2019年あたりから露出が目立っています。新たな時代を迎えました。
1. 社会的背景
- 若者の精神的葛藤の可視化
- 孤独、不安、鬱、自己否定など、従来のヒップホップではあまり扱われなかったテーマを正面から表現
- SNSやネット文化の普及により、若者が自分の感情を発信・共感できる場が増加
- インターネット・SoundCloud文化
- 2010年代半ば、SoundCloudなどのプラットフォームで個人制作の楽曲が世界中に配信可能に
- プロダクション環境の低コスト化で、若手アーティストでも容易に作品を公開
- ネット上での共感・ファン形成がジャンルの拡大を後押し
- メンタルヘルス意識の高まり
- 精神的な問題をテーマにすることで、社会的にタブー視されていた感情表現がオープンに
- 若者が自己表現と共感を通じて、孤独や不安の共有を経験
2. 音楽的・文化的影響
- ジャンルの拡張
- エモ・ラップはトラップ、Lo-Fi、アンビエント、エレクトロニカなど様々なジャンルに影響
- 日本のネット系音楽、ボカロ楽曲やLo-Fi Hip-Hopにも影響を与えている
- 感情表現の多様化
- ラップにおける「強さ・社会批判」だけでなく、「弱さ・内面」を表現するスタイルが定着
- これにより、ヒップホップ全体の表現領域が拡張
- ファッション・カルチャーへの波及
- エモ・ラップは音楽だけでなく、ファッションやアート、ネットミーム文化にも影響
- 黒やモノトーン、キャラクター的な感情表現を取り入れた若者文化を形成
- メンタルヘルスの意識啓発
- 歌詞やテーマを通じて、鬱や不安を共有・認知させる効果
- 若者が自分の感情に向き合い、共感・支援コミュニティの形成にも寄与
3. 社会的意義まとめ
- 感情の可視化:孤独や不安、自己否定といった感情を率直に表現
- ネット文化との親和性:SNS・SoundCloudで共感を得やすい
- ジャンル的影響:ヒップホップ、ポップ、Lo-Fi、ボカロなど多様な音楽に影響
- 若者文化の形成:音楽・ファッション・アートを通じた自己表現の拡張
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