エレクトロニカとボカロの融合、「ボカロエレクトロニカ」の特徴や歴史、おすすめ音楽ジャンルの最新版を解説。エレクトロニカは電子音楽の包括的な呼び名とされています。電子音楽や電子音楽に影響されている音楽ジャンル全般を指していると言われていますが、そうなると、現代音楽のほとんどを指してしまうことにもなります。そこで、エレクトロニカにはどのようなジャンルが含まれるのか、そしてどのような歴史があるのかを記事にしています。
エレクトロニカとは?
エレクトロニカとは電子音楽や電子音楽に影響されている音楽ジャンル全般。商業音楽や即興音楽などに幅広い影響を与えた音楽で、2000年代にとても流行しているジャンルの一つ。必ずしもダンスミュージックだけを指すというものでもありません。2000年代以降になるとエレクトロニカは打ち込みを部分的に使用した楽曲が増えてきています。
人気アーティストなどもこのテイストを盛り込んでおり、かなり広く認知されています。エレクトロニカはソフトウェアとハードウェアの発達によって、より緻密で複雑な音楽が作成できるようになり、若者の人気ジャンルの一つです。広義の意味で使われることが多いため、非常に幅広く使われている用語でもあります。では実際にどのようなジャンルが該当するのでしょうか。
特徴
- 電子音中心
- シンセサイザー、サンプラー、コンピュータ音源を多用
- ドラムマシンやエフェクトで独特の音響空間を作る
- ジャンル融合・多様性
- アンビエント、チルアウト、IDM(Intelligent Dance Music)、テクノ、トリップホップなどの要素を含む
- ある意味「電子音楽の総合ジャンル」とも言える
- メロディやリズムの自由度
- ダンス目的ではないため、リズムやテンポは自由
- メロディは抽象的・断片的でも成立する
- 実験的な構造やサウンドデザインが特徴
- 空間的・聴覚的演出
- リバーブやディレイで奥行きや浮遊感を演出
- 聴覚的な「体験」として楽しむことが多い
- 用途
- 自宅でのリスニング、カフェやラウンジのBGM
- 映像作品・ゲーム音楽・広告音楽など、雰囲気作り
代表的なアーティスト
- Aphex Twin(イギリス):IDM・実験的エレクトロニカ
- Boards of Canada(スコットランド):アンビエント寄りの叙情的エレクトロニカ
- Autechre(イギリス):複雑で抽象的なリズムとサウンドデザイン
- 日本ではCorneliusやtofubeatsなど、ポップス寄りのエレクトロニカも存在
ボーカロイドとは?
ボーカロイド(VOCALOID)とは、ヤマハ株式会社が開発した歌声合成ソフトウェアの総称です。コンピュータ上で人間の歌声を再現し、作曲者が入力した歌詞とメロディに合わせて歌わせることができます。
特徴
- 合成音声による歌唱
- 実際の人間の声をサンプリングして作られた声を使用
- 高い音域や複雑なメロディも正確に歌わせられる
- 初期はやや機械的な声だったが、最新バージョンでは自然な歌声に近づいている
- 自由な歌詞・メロディ入力
- 作曲者が歌詞とメロディを入力すると自動で歌わせられる
- 声の高さ(ピッチ)、強弱(ダイナミクス)、ビブラートなども細かく調整可能
- キャラクター性
- 初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカなど、声にキャラクターが付随
- 見た目や設定も人気の要素になり、ライブや映像作品にも展開
- 用途
- オリジナル曲の制作
- ゲーム音楽、アニメ、CM、YouTube動画の音楽制作
- ニコニコ動画やYouTubeなどのインターネット文化で人気を拡大
代表的なボーカロイドキャラクター
- 初音ミク:最も有名。ポップ、ロック、エレクトロニカなど幅広く使用
- 鏡音リン・レン:双子キャラクター。EDMやアップテンポ曲に多く使われる
- 巡音ルカ:女性声で柔らかく、バラードやラウンジ系にも対応
- KAITO・MEIKO:初期世代のキャラクターで、低音域やクラシカルな曲に適する
「ボカロエレクトロニカ」とは
「ボカロエレクトロニカ」とは、ボーカロイドの歌声を用いたエレクトロニカ系音楽のことを指します。つまり、ボーカロイドの「電子的な歌声」と、エレクトロニカの「電子音・実験的サウンド」を融合させたジャンルです。
特徴
- 電子音とデジタル加工
- シンセサイザー、サンプラー、エフェクトを多用
- ボーカロイドの声も加工(ピッチ補正やビブラート調整、リバーブなど)されることが多い
- 実験的・自由な構造
- 伝統的な歌もの構成に縛られず、自由なリズム・メロディ展開
- アンビエントやIDM的な要素を取り入れることも多い
- ボーカロイドのキャラクター性
- 初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカなどが歌唱
- 声のキャラクターが楽曲の世界観に直接影響
- 雰囲気・聴覚体験重視
- ダンス目的というよりも、聴く人に独特な電子音響空間や情感を体験させる
- BGMやネット発表、アート作品の一部としても利用される
代表的な作曲者・アーティスト
- kz(livetune):ポップ寄りエレクトロニカとボーカロイドの融合
- ryo(supercell):初期のボカロ楽曲にエレクトロニカ的アレンジ
- sasakure.UK:実験的なサウンドとボーカロイドを組み合わせた作品
- DECO*27:ボカロ×エレクトロニカ要素を多く取り入れた楽曲
まとめ
- ボカロエレクトロニカ = ボーカロイド + エレクトロニカ
- 特徴は、電子音主体の自由な構造とボーカロイドのデジタルな歌声
- 聴覚体験や空間演出重視で、ネット文化や実験音楽との親和性が高い

エレクトロニカの歴史
エレクトロニカという言葉は1900年代の後半に生まれた言葉と言われています。恐らく1990年代のイギリスやドイツなどでこのジャンルがクラブなどで流されるようになり、クラブミュージック=エレクトロニカという認識が広がりました。
1990年代の中ごろ音楽雑誌が使い始め、一般層にも認知されました。しかし当時はまだケミカルブレイクやビッグ・ビートと言った表現をする人が多く居ました。1990年代のエレクトロニカは生楽器を取り入れたスタイルが多くあり、アーティストでいうと、アメリカのTelefon Tel Avivなどが挙げられます。これらはフォークエレクトロニカとも呼ばれていました。
2000年代に入ると、本格的に流行するようになります。これは電子音楽というジャンルがハードウェアとソフトウェアの革新によって、より精密な音楽を打ち込みで作れるようになったことから、多数のクリエイターが生まれていったのです。そのため、全面的に電子音楽だけのサウンドが流行するようになり、それは今も続いています。
マドンナやビョーク、ダフトパンクなどがこれらの音楽テイストを取り入れています。現役で活躍する多くのミュージシャンは大衆向けジャンルの音楽でも、エレクトロニカの要素を取り入れているのです。
1. 起源:1960〜1970年代
- 初期電子音楽として、モーグ・シンセサイザーやテルミン、アナログシンセが登場
- クラシック作曲家や実験音楽家が電子音を作曲に取り入れる
- 例:カールハインツ・シュトックハウゼン、ウェルナー・ミンコフスキー
- 主に「音響実験」としての位置づけで、一般向けの音楽ではなかった
2. 1980年代:デジタル機器とポップスへの浸透
- デジタルシンセサイザーやMIDIの登場により、電子音楽が制作しやすくなる
- ポップス・ロックに電子音を取り入れる動きが広がる
- 代表的なアーティスト
- Kraftwerk(ドイツ):機械的リズムと未来的サウンドで「テクノ・エレクトロニカ」の原型
- Yellow Magic Orchestra(日本):シンセポップとエレクトロニカの融合
3. 1990年代:エレクトロニカのジャンル化
- 「Electronica」という言葉が、ダンスミュージック寄りではない、家庭用リスニング向け電子音楽を指すようになる
- アンビエント、IDM(Intelligent Dance Music)、トリップホップなどの細分化
- 代表的アーティスト・グループ
- Aphex Twin(イギリス):IDMの先駆け
- Boards of Canada(スコットランド):アンビエント寄りのエレクトロニカ
- The Orb(イギリス):アンビエント・ハウス
4. 2000年代:ポップ・商業音楽との融合
- エレクトロニカ的な音響デザインがポップスや映画音楽に影響
- 家庭向けパソコン・DAWの普及で、個人アーティストでも制作可能に
- 日本での事例
- Cornelius:ポップス+エレクトロニカ
- tofubeats:エレクトロニカ的サウンドをJ-POPやボカロに融合
5. 2010年代以降:ネット文化・多用途化
- YouTubeやSpotifyでのリスニング向け楽曲が増加
- ボーカロイドとの融合(ボカロエレクトロニカ)やラウンジ・チルアウトとの融合
- ゲーム音楽や映像作品でのBGMとしても広く利用
エレクトロニカの有名アーティスト
Club Music
打ち込みを部分的に使用したクラブミュージックはよくエレクトロニカミュージックと言われることが多いです。クラブミュージックといは行っても、ディスコなどのジャンルが当たりますが、電子音楽を使ったものはエレクトロニカと呼ばれることが多いです。テクノなエレクトロの音でバンド系のDJもいます。有名なボーカルも多く、アルバムも多数出ています。ハウスレーベルなどもあります。
Hip Hop Electronic Music
意外と思われるかもしれませんが、ヒップホップ系もエレクトロニカに分類されることがあります。エレクトロニカとヒップホップの融合した音楽も多数出ており、これらのジャンルが含まれることも多くあります。
Dance Music
ダンスミュージックのほとんどは打ち込み音楽と言われており、エレクトロニカに分類されます。エレクトロニカはソフトウェアとハードウェアの発達によって、緻密で複雑な音楽が作成できるようになり、さらなる発展が期待されています。基本の音色はテクノポップ、アンビエント、トランスなどに近いのでこれらのファンが多いです。ダンスのほかにロックのリズムなどが作品で見られることもあります。

エレクトロニカの音楽的特徴
エレクトロニカ(Electronica)の音楽的特徴は、電子音を主体に自由で実験的なサウンド空間を作ることにあります。以下に詳しく整理します。
1. 電子音主体
- シンセサイザー、サンプラー、ドラムマシンなどを多用
- エフェクト(リバーブ、ディレイ、フィルター、グリッチなど)で音色を加工
- 生楽器は使われることもあるが、補助的な役割が多い
2. 実験的・自由な構造
- ダンスやポップスの定型的な構成に縛られない
- テンポ・リズム・コード進行は自由で、断片的・抽象的なメロディも多い
- アンビエント的な長尺展開やIDM的な複雑なリズムパターンも特徴
3. 空間的・聴覚的演出
- リバーブやディレイで奥行きや浮遊感を演出
- 音の配置や定位を工夫して、立体的・幻想的な音空間を作る
- 聴く人に「体験」としての音楽感覚を与える
4. リズムとテンポ
- テンポはゆったり〜中速(60〜140 BPM)と幅広く使用
- ビートは必須ではなく、非定型・断片的なリズムも多い
- ダンス寄りではなく、聴覚体験や空間表現が優先
5. メロディ・ハーモニー
- メロディは必ずしも人間の歌唱に依存しない
- ハーモニーも実験的で、クラシック・ジャズ・ポップの要素を取り入れることがある
- ボーカロイドなどの人工音声との相性が良い
「ボカロエレクトロニカ」の音楽的特徴
「ボカロエレクトロニカ」の音楽的特徴は、ボーカロイドのデジタルな歌声と、エレクトロニカの実験的・電子的サウンドを融合させた点にあります。以下に整理します。
1. ボーカロイドのデジタル歌声
- 人間の歌声ではなく、合成音声による歌唱
- ピッチ補正、ビブラート、声質加工などで自由に表現可能
- キャラクター性(初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカなど)が曲の雰囲気に影響
2. 電子音・サウンドデザイン
- シンセサイザー、サンプラー、ドラムマシンを駆使
- リバーブ、ディレイ、フィルター、グリッチなどで独特な空間を作る
- エレクトロニカ的な浮遊感・立体感・実験性を重視
3. 構造の自由度
- ダンス向けのEDMのような定型構造は必須ではない
- メロディやリズムは断片的・非線形でも成立
- アンビエントやIDM的要素を取り入れることも多い
4. リズム・テンポ
- テンポは中速〜ゆったり(60〜140 BPM)まで幅広く使われる
- ビートは必須ではなく、断片的・変則的リズムも多用
- 聴覚体験や楽曲の雰囲気重視で、踊ることが目的ではない場合も多い
5. メロディ・ハーモニー
- ボーカロイドの声と電子音が主要メロディを形成
- ハーモニーは自由度が高く、実験的・抽象的な音響表現が可能
- エフェクトによって声や音色が楽曲の一部として音響空間を演出

おすすめのエレクトロニカボカロ曲ランキング
「ボカロ × エレクトロニカ(エレクトロニック系)」のおすすめ曲ランキングを、代表曲+特徴付きで5曲紹介します。
🎧 おすすめのボカロ・エレクトロニカ曲ランキング
- Laurel Halo – 「Until I Make U Smile」 feat. 初音ミク
- 非常に実験的でミニマルな構成。 ピアノ、ドローン、エレクトロなパッドが空間を作る。
- Mikuの声が淡く浮かび、まるで仮想空間の住人のような独特の感覚を与える。
- ジャンルとしてはハウス/アウトサイダーハウス的な要素もある。
- DECO*27 – 「モザイクロール」 (Reloaded)/初音ミク
- DECO*27 の代表作。オリジナル版も人気だが、リローデッド版でより洗練されたアレンジに。
- エレクトロニカ感+ポップ感+切なさがミックスされたサウンド。
- 歌詞は恋愛の”もつれ”を象徴的に描いており、音と世界観の両方が印象的
- PinocchioP – 「God-ish」 feat. 初音ミク
- 電子ポップ(エレクトロポップ)要素が非常に強い。
- ニヒリズムや神っぽさをテーマにした歌詞で、哲学的・知的な雰囲気。
- ピノキオP(PinocchioP)はエレクトロニカ寄りのサウンドを得意とするプロデューサー。
- (Bonus) Hachi / Kenshi Yonezu – 「Dune」 feat. 初音ミク
- 米津玄師(Hachi名義)の楽曲。ボカロ+非常にドリーミーな電子的背景を持つ。
- 乾いた砂漠や未来都市を思わせるメロディとサウンドスケープが特徴。
- (Bonus) Tsumiki – 「Phony」
- ドラムンベース+テクノ風のビートが強く、かなりエレクトロニック。
- ボーカロイドではなくCeVIO系(KAFU)ですが、ボカロ系・合成音楽好きには響きやすい。
- リズムが変則的で、聴くたびに新しい発見がある。
音楽をプレイするなら音楽教室がおすすめ
音楽をプレイするなら音楽教室がおすすめです。音楽教室ではプロが歌や楽器を一から全て教えてくれます。さらにジャンルや志向の同じ仲間を作ることもできます。以下の記事で音楽教室を紹介しています。無料体験レッスンから受けてみましょう。



コメント