楽器のフリューゲルホルンは金管楽器の一つで、ジャズやオーケストラ演奏で使用される楽器です。フリューゲルとはドイツ語で、翼を意味しています。全長・音域や、使うマウスピースのリムやカップの大きさなど、トランペットと共通する点が多くトランペットとよく間違えられることがある楽器です。しばしばソロ演奏で使われることがあり、それなりの技術を必要とされることが多いです。現代では広く知られている楽器です。
起源と歴史
ヨーロッパでこの楽器は生まれました。管の部分が大きな特徴でバルブがあります。ベル径、ボア径含め各メーカーで設計が異なっており、奏者が活動するジャンルを選ばず様々な選択肢があるのが魅力です。形状大きくは吹奏で豊かで他と比べて存在の大きい楽器です。トランペット奏者も吹く楽器です。
1. 誕生と名称の由来
- フリューゲルホルンは 19世紀初頭のドイツ・オーストリアで誕生した金管楽器です。
- 元々は 「バルーン型信号用ホルン(valved bugle)」 として軍隊で使われていました。
- 名前の由来はドイツ語 「Flügel(翼)」 に由来し、かつて騎兵や軍隊の 横隊(翼隊)を指揮するために吹かれたホルン が原型とされています。
- 当時の軍隊では、軍旗の左右に配置された部隊(Flügel)に指示を伝える際に、この楽器が用いられました。
2. 軍楽隊・吹奏楽での発展
- 19世紀中頃〜後半、フリューゲルホルンは ピストンバルブ付きに改良され、トランペットやコルネットのように音程を自由に変えられるようになりました。
- 軍隊の行進や合奏だけでなく、 市民吹奏楽団やオーケストラ にも導入され、広く演奏されるようになります。
- この時期に 管のコニカル構造(内径が徐々に広がる形) が採用され、柔らかく温かみのある音色が特徴となりました。
3. ジャズ・現代音楽への導入
- 20世紀初頭〜中頃、特に ジャズの発展とともに フリューゲルホルンの使用が広がりました。
- トランペットよりも 柔らかくまろやかな音色 が、バラードやソロ演奏に最適とされ、数多くのジャズ奏者が採用。
- 吹奏楽・オーケストラでも、トランペットの代替や色彩的な補助楽器として利用されるようになりました。
4. 現代での位置付け
- 現在では、フリューゲルホルンは ジャズ・吹奏楽・オーケストラ・映画音楽・吹奏金管バンド など多様なジャンルで使用されます。
- 近年は プロ仕様から初心者モデルまで幅広く製造され、音色の個性や演奏者の好みに応じたモデルが存在 します。
- 伝統的な軍楽隊起源から、現代音楽やジャズに至るまで、幅広く演奏の幅が広がった楽器です。
特徴と構造、サイズ
では フリューゲルホルン(Flugelhorn) の「特徴・構造・サイズ」について詳しく解説します。
🎺 特徴
- 柔らかく温かみのある音色
- トランペットやコルネットよりも管が太く、コニカル(円錐状)になっているため、丸みのある柔らかい音を出すことができます。
- ジャズのバラードや吹奏楽の中音域で特に効果的。
- 主に中低音域の表現が得意
- 高音域も演奏可能ですが、トランペットほど鋭くはならず、音が柔らかく広がる印象。
- ソロ・メロディ・和音補助どちらにも適応。
- 音域の特性
- 基本は B♭調 が多く、C調やE♭調のモデルもあり。
- 音程の安定性やコントロールはトランペットに近いが、高音域ではやや難しい場合がある。
🛠 構造
| 部位 | 特徴 |
|---|---|
| ボア(管の内径) | コニカル管。マウスパイプからベルまで徐々に太くなる。これにより柔らかく丸い音色を実現。 |
| ベル(ラッパ部分) | トランペットより広めで、音の広がりと温かみを増幅。材質は主に真鍮。 |
| バルブ | 主に3ピストン。モデルによっては4番バルブ付き。バルブ操作で音程変更。 |
| マウスピース | コルネットに近い深めのカップ型が多い。音色を柔らかく、吹きやすくする役割。 |
| チューニングスライド | 調整用スライドで微妙な音程補正が可能。 |
| 材質 | 真鍮が主流。表面仕上げはラッカー塗装・銀メッキ・金メッキなど多様。 |
📏 サイズ・仕様の目安
| 項目 | 標準的仕様 |
|---|---|
| 調性 | B♭(標準)、CやE♭もあり |
| 全長(管を伸ばした場合) | 約1.2〜1.3 m(管を巻いた状態では手に持ちやすいサイズ) |
| ベル直径 | 約12〜14 cm(モデルによって異なる) |
| ボア径 | 約11〜12 mm(マウスパイプ)→ベルに向けて拡大 |
| 重さ | 約1.1〜1.5 kg |
| バルブ | 主に3ピストン、4番バルブ付きモデルもあり |
| マウスピース口径 | 約16〜17 mm、深めのカップ型が多い |
種類について詳細
では フリューゲルホルン(Flugelhorn)の種類・モデル別の詳細 を整理します。
フリューゲルホルンは基本的に 管の形状や材質、調性、バルブ仕様 によっていくつかのタイプがあります。大きく分けると以下の通りです。
1. 管の形状による分類
| 種類 | 特徴 | 音色・用途 |
|---|---|---|
| クラシック型(標準フリューゲルホルン) | 伝統的な円錐管コニカル設計、3ピストン | 柔らかく温かい音色。吹奏楽・ジャズ・ソロ向き |
| ロータリーバルブ型 | ピストンの代わりにロータリーバルブを装備 | オーケストラ向けに多く、滑らかな音色変化。ドイツ・オーストリアで人気 |
| ショートボア型(小型モデル) | 管がやや短め、ベルも小さい | 初心者・学生向け。軽く吹きやすく、扱いやすい |
| ロングボア/プロ仕様型 | 管が長め・ベル大きめ | 豊かな倍音、プロ演奏者向け。音量・表現力が高い |
2. 調性・音域による分類
| 調性 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| B♭(変ロ調) | 標準的で最も一般的 | 吹奏楽、ジャズバンド、ソロ演奏 |
| C調 | 高音域の安定性が高く、オーケストラに向く | オーケストラ・クラシック演奏用 |
| E♭調 / A♭調 | 小型で高音域向け | 学生用・練習用、あるいは特殊編成用 |
3. バルブ仕様による分類
| バルブ | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 3ピストン(標準) | 一般的なフリューゲルホルン | ジャズ・吹奏楽・教育用 |
| 4番バルブ付き | 低音域の拡張、音程補正が容易 | プロ演奏者・クラシック音楽向き |
| ロータリーバルブ型 | 滑らかで連続した音程変化が可能 | ヨーロッパのオーケストラで採用例多 |
4. 材質・仕上げによる分類
| 材質 | 特徴 | 音色 |
|---|---|---|
| 真鍮(Brass)ラッカー仕上げ | 標準仕様。耐久性・コストバランスが良い | 明るく柔らかい音色 |
| 銀メッキ(Silver-plated) | 高級仕様。音がよりクリアで倍音豊か | ジャズ・プロ向け |
| 金メッキ(Gold-plated) | 高級・装飾仕様。音色が豊かで暖かい | ソロ・録音向け |
5. 使用目的別モデル
| 用途 | モデル例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 初心者・学生用 | ショートボア型・国内ブランド(Playtech, Kaerntner) | 軽量・吹きやすい、安価で入門向き |
| 中級者用 | ZEN-ON ZFG550S、国内中級モデル | 音色バランス良、演奏安定性高い |
| プロ・上級者用 | YAMAHA YFH-631G / 631GS、Schilke FH / Conn 1FR | 豊かな倍音、精密調整可能、録音やコンサート用に最適 |

フリューゲルの曲
フリューゲルはジャズやオーケストラなどで使われることが多い楽器です。
奏法、難易度
では フリューゲルホルン(Flugelhorn)の奏法と難易度 を詳しく整理します。
🎺 奏法
1. 基本的な構え
- 右手でバルブ操作(ピストンまたはロータリーバルブ)、左手で管を支えます。
- 腕や手首の負担を軽減するように構え、体全体で息を支えます。
- マウスピースを唇に軽く当て、口の形(アンブシュア)を作ります。
2. 音の出し方
- 息の圧力と唇の振動で音程を決めます。
- トランペットよりボアが太いため、息の量が多めでも音が割れにくく、柔らかい音色が出せます。
- 低音域では息をゆったり、大音量では腹筋を使い安定した息を送るのがポイント。
3. ピッチ・音程調整
- フリューゲルホルンは、3ピストン・4番バルブ・チューニングスライドで音程を調整可能。
- 高音域では、トランペットよりも口の形と息の圧力で微調整が必要です。
4. 表現技法
| 技法 | 説明 |
|---|---|
| レガート(滑らかに) | フリューゲルホルンの柔らかい音色を活かす基本技法 |
| スタッカート(短く切る) | 吹奏楽やジャズのリズム強調に使用 |
| マルカート/アクセント | 1音ごとの強弱で表現力を増す |
| ビブラート | 唇を微妙に振動させて音に揺れを与える。ジャズではソロ表現で多用 |
| スライド/グリッサンド | 滑らかに音程を変化させる。バラードやジャズのソロで特に効果的 |
| トリル | 2つの音を素早く交互に演奏。表現力の幅を広げる |
⚡ 難易度
1. 初心者向けか?
- 入門は比較的容易
- トランペットより息が入りやすく、柔らかい音が出やすい
- 低音域の安定性があり、初めての金管楽器として適する
2. 難易度のポイント
| 項目 | 難易度の理由 |
|---|---|
| 高音域の安定 | ボアが太いため、トランペットより高音の正確な音程が難しい |
| 音色コントロール | 柔らかい音色を維持しながら表現力豊かに演奏するには経験が必要 |
| 息の量とアンブシュア | 長時間の演奏で唇と息のコントロールが必須 |
| 複雑なリズム対応 | ジャズや吹奏楽の高速フレーズでは指のバルブ操作と息のタイミングが重要 |
有名な奏者
では フリューゲルホルンの有名な奏者 を紹介します。ジャズ・吹奏楽・クラシックなど幅広く活躍している奏者がいます。
🌟 ジャズ・フリューゲルホルン奏者
1. チェット・ベイカー (Chet Baker, 1929–1988)
- 国籍:アメリカ
- ジャンル:ジャズ・ビバップ/クールジャズ
- 特徴:
- トランペットも演奏するが、フリューゲルホルンでのバラード演奏が有名
- 柔らかく哀愁ある音色で「歌うような演奏」が特徴
2. トミー・フラナガン (Tommy Flanagan, 1930–2001)
- 国籍:アメリカ
- ジャンル:ジャズ
- 特徴:
- 主にピアノ奏者だが、フリューゲルホルン奏者との共演でその音色を活かす演奏スタイルが知られる
3. ケニー・ドーハム (Kenny Dorham, 1924–1972)
- 国籍:アメリカ
- ジャンル:ジャズ・ハードバップ
- 特徴:
- フリューゲルホルンでのソフトな音色を多用
- ジャズのバラードやセッションで人気の奏者
4. トム・ハレル (Tom Harrell, 1946–)
- 国籍:アメリカ
- ジャンル:ジャズ
- 特徴:
- フリューゲルホルンをメインに、複雑なハーモニー・メロディを自在に操る
- 現代ジャズでもトップクラスの演奏技術
🌟 吹奏楽・クラシックでの奏者
1. アドルフ・サッカー (Adolf Scherzer)
- 国籍:ドイツ
- ジャンル:クラシック・吹奏楽
- 特徴:
- ロータリーバルブ型フリューゲルホルンの演奏で知られる
- 吹奏楽の中音域を豊かに彩る技術が高い
2. マイケル・マーシル (Michael Marshill)
- 国籍:イギリス
- ジャンル:オーケストラ・吹奏楽
- 特徴:
- フリューゲルホルンの中音域での柔らかい音色をオーケストラに融合
- ソロ演奏や録音でも定評あり

新品と中古の製品ラインナップと価格相場
フリューゲルホルン(フリューゲルホルン)の 新品/中古の製品ラインナップと価格相場を、日本国内および海外の実例から整理しました。あくまで目安としてご参照ください。
上記各モデルの簡単な説明:
- YAMAHA YFH‑631G:国内定番プロ仕様。Amazonで約 ¥509,259 と掲載。
- YAMAHA YFH‑631GS:同ブランドの銀メッキ仕様、約 ¥304,851。
- ゼンオン ZFG550S:国内ブランド中級仕様、約 ¥77,000。
- MAXTONE FH‑50L:比較的廉価な初心者~趣味仕様、約 ¥66,000。
- Levante LV‑FH6205:輸入中級モデル、Amazon掲載価格約 ¥160,594。
- Soleil SFG‑1:入門モデルとしての価格帯、楽天で約 ¥27,800。
- その他まとめ表記:プロ仕様ヤマハ2種、国内中級モデル2種で比較。
🔍 新品価格帯の目安
- 入門~低価格モデル: 約 ¥30,000〜¥80,000(例:Soleil、MAXTONE、国内中級)
- 中級モデル: 約 ¥80,000〜¥200,000程度(輸入/国内ブランド含む)
- プロ仕様・高級モデル: 約 ¥300,000〜¥600,000+ のレンジ
🛒 中古/ユーズド市場の価格例
- 海外(Yamahaのフリューゲルホルン)で、YFH‑631などモデルの中古が US$1,100~US$1,700程度(約¥154,000〜¥238,000) で出品されています。
- 初期モデル・入門モデルの中古で「US$289(約¥45,000〜)」「£672(英国/約¥120,000前後)なども確認されています。
- 日本国内の中古楽器店でも、風格ある中古管楽器を多く扱っており、輸入・調整込みで価格変動があります。
📊 中古価格帯の目安
| グレード | 価格帯(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 入門・練習用中古 | 約 ¥30,000〜¥80,000 | 仕様簡略/使用歴有 |
| 中級仕様中古 | 約 ¥100,000〜¥200,000 | ブランドモデル/良好コンディション |
| プロ仕様・高級仕様中古 | 約 ¥200,000以上 | 名器/限定仕様/状態良好 |
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